QアンドA96
 シンハラ語の辞書にはどんなものがある?

「シンハラ語の話し方」で会話文法を学んでいます。楽しくシンハラ語が学べるのですが、学ぶに連れてシンハラ語の辞書が欲しくなりました。お勧めの辞書がありますか。


No-96 2008-Apr-05 , 2008-Apr-21 ,


 お勧めの辞書というより、私が日ごろ使っている辞書をご紹介します。古い辞書は手に入りにくいようですが、中にはインドのアジアン教育サービスから復刻版が出ている辞書もあります。復刻版ならアマゾンなどで手に入れることが出来ます。

English-Japanese
Japanese-Sinhalese
Dictionary
A.F.Fernando / 1978

  英語=日本語、日本語=シンハラ語辞典
  A・F・フェナンドゥ著 1978年

 
 私がこの辞書の存在を知ったのは日本へ来るシンハラ人のカバン屋さん(宝石商のこと)が、ぼろぼろに使い古したやつを大事そうに抱えていたのを見たからだった。シンハラ文字が読めるなら、この辞書をお勧めする。日本人向けに、これと同じような辞書が作られたなら、日本人の話すシンハラ語もかなり進化すると思う。だけど、まだ、そうした辞書はない。
 古風な日本語の用例が随所にあるが、日本語をシンハラ人がどう理解しているかを知るにも恰好の資料。
 
写真は1978年の初版本
Sinhalese-English Dictionary
Charles Cartter / 1924
  シンハラ語=英語辞典
  チャールス・カーター著 1924年 M.D.グナセーナ社刊
 
 ア行のアで始まるその最初のページにこれだけ懇切丁寧にシンハラ語の出だしの言葉を説明する辞書は他にない。その丁寧さは最後のページまで変わらない。この辞書の日本語版が発行されればシンハラ語への悩みも解消するだろうけど、これだけの作業をこなせるだけの余裕が日本人にはまだないみたい。表紙には何も文字が書いてないけど、この無印が貫禄充分の証かも。
 1965年に新版が出て、1993年にはインド・ニューデリーのアジアン教育サービスから復刻版が出され、1997年には復刻版が版を重ねている。今、アマゾンで手に入るのはこの復刻版だ。これはオリジナル本より文字が小さいので読みにくいかも。A・F・フェナンドゥの辞書と併せて手元に置けばかなり役に立つ。

 チャールス・カーターは1914年にニュージーランドで亡くなった。この「シンハラ語=英語辞典」は彼の意志をつないで複数のシンハラ人学者らが完成させたもの。辞書編纂の作業が続けられたのはこの下に紹介する同氏の「英語=シンハラ語辞書」が燦然と輝いていたからに他ならない。
English-Sinhalese Dictionary
Charles Cartter / 1889


   英語=シンハラ語辞典
チャールス・カーター著 1889年 M.D.グナセーナ社刊
 
 
 100年以上も前の辞書だが、口語シンハラの実際を知る上で有用な資料だ。チャールス・カーターはこの辞書から編纂を始め、次に「シンハラ語=英語辞書」の作成に取り掛かっていく。ここに集められたシンハラ語の単語とその用例は豊富で、シンハラ語の口語資料としても役立つが、如何せん100年前のシンハラ語だ。 表紙写真は復刻版(アジアン教育サービス)。原版表紙はシンハラ=英語辞典同様に何も書かれていない無印良品。
Clough's
Sinhala English Dictionary
The Rev B. Clough / 1830

Wesleyan Mission Press
クルーガーのシンハラ語=英語辞典
B・クルーガー著 1830年刊 AES.復刻版 1982
 チャールス・カーターのシンハラ語辞典と双璧をなす重篤な辞書。クルーガーのほうが半世紀以上早くシンハラ語辞書を作り上げている。カーターの辞書とは説明の異なることが多い。文法関係の基本説明はクルーガー、例文による応用はカーターの辞書という具合に使い分けることもできる。この辞書も手元に欲しい。
シンハラ語ノート(改訂版)
小林俊孝編集 / 1988
青年海外協力隊駒ヶ根訓練所

シンハラ語ノート(改訂版)
小林俊孝編集 / 1988 青年海外協力隊駒ヶ根訓練所 非売品
 
 JAICA隊員用のシンハラ語=日本語辞書。略解にシンハラ語文法が簡単に紹介されている。ここではシンハラ文を格文法で捉え、品詞としてニパータを紹介している。名詞の格変化においてニパータが作用することを日本人に知らせたのはこの本が始めてだと思う。この「シンハラ語ノート(改訂版)」に先駆けて作られたのが下に紹介する手書きの「シンハラ語ノート」。
シンハラ語ノート
著者名、発行年など記載なし
画像なし
シンハラ語ノート
著者名、発行年など記載なし 非売品
 
 日本語=シンハラ語辞書。英語=シンハラ語辞書の既成の枠にとらわれず、日本語の視点からシンハラ語の単語とフレーズを紹介している。この辞書では既にシンハラ語の「する」と「なる」の違いが意識されていることが窺われるから、シンハラ語の意志動詞、無意志動詞を知るには好著だろう。上記のシンハラ語ノート(改訂版)ではさらに明確に「する」(意識)と「なる」(無意識)の差が意識されていて日本語の訳文にその違いが表されているが、シンハラ語の現場を感じるにはこちらの「シンハラ語ノート」が適している。 
シンハラ語の話し方・別冊
日本語=シンハラ語小辞典
/2009

編集・発行/かしゃぐら通信


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シンハラ語の話し方・別冊 日本語=シンハラ語小辞典
編集・発行/かしゃぐら通信 2009年4月29日刊
 
「かしゃぐら通信」が「シンハラ語の話し方」の別冊として発行したシンハラ語小辞典。ハンディで、肩のこらないシンハラ語辞典。とは言え、動詞過去形の掲載やニパータの説明、それにシンハラ語の最新研究成果の紹介などもある。
English and English-Sinhala Dictionary
Sri Sudharman D.de Zylva Walisinghe / 1966
M.D.Gunasena & Co.LTD
英英辞典+英語=シンハラ語辞典
ダ・ジルワ・ワリシンハ著 1966年 MDグナセーナ社刊

 
英英辞典にシンハラ語辞典を組み合わせた「一粒で二度おいしい」辞典。この下のマララセーカラ辞典で引いても英単語の意味がイマイチ分からないシンハラ人はこれを読めば便利にわかるかも、という辞典。
English-sinhalese dictionary
G.P.Malalasekera 1956
M.D.Gunasena & Co.LTD
英語=シンハラ語辞典
G.P..マララセーカラ著 1956年初版 MDグナセーナ社

 1958年に刊行されて以来、圧倒的な支持を受けて版を重ねている。受験をひかえた学生なら必ず一冊、この辞書を勉強机に備えているという伝説のベスト・セラー。私が持っているのは1986年発行の第12版。マララセーカラの辞書を持っていないなんてもぐりだと受験生に言われて、あわててコロンボで買い求めた。

ここに紹介したシンハラ語辞書の内、以下に掲げる辞書ははAmazonで扱っています。
シンハラ語=英語辞典 チャールス・カーター著
クルーガーのシンハラ語=英語辞典

英語=シンハラ語辞典G.P..マララセーカラ著
シンハラ語の話し方・別冊 日本語=シンハラ語小辞典