QアンドA88
「構わない」が「カマンナェ」は出来すぎだ?

足⇔アディ 膝⇔ヒサ 腹⇔バダ おまけに「構わない」が「カマンナェ」。これって、できすぎ!
 どこかのインターネットラジオのブログにシンハラ語と日本語の不思議な取り合わせが書いてあった。なんか出来すぎなんだけど…


No.88 2008-Mar-03 2015-Apl-14

 

体をあらわす単語って変化しにくい

 それを書いた方って、CD-ROMの「解説・シンハラ語の話し方」で「足⇔アディ」の声を聞いたのかしら。それとも、「話し方」のテキストか、「熱帯語の記憶」を読まれたのかしら。それとも、銚子のネットラジオ”すきくる”で聞いた?
 とにかく、そのブログに書いてあったことって、「かしゃぐら通信」がいつも言っていることなので、間違いない!?

 体を表現する単語って時を経ても変化しにくいのだそうです。ながい時を経過しても変化しにくい単語がお互いに似ているって、なにか怪しい?

日本語にあってシンハラ語にもある単語

 その怪しいことって、ほかにもまだまだあるんです。千葉や茨城や名古屋や京都や、シンハラの方々が日本人のくらしの中に溶け込んでいるところは日本全国にかなりありますから、人のよさそうなシンハラ人とめぐり合えたら、会話の中で「日本語にあってシンハラ語にもある単語」のことを試してみてください。ほんと。眼からうろこの「どんだけぇ~」状態になりますから。

「恥」と「チィー」

 例えば「恥」。シンハラ語でチィーです。「はじ」の「は」を抜いて「じ」を弱く言うと濁音が抜ける。濁音が抜けると「ち」になる。「はっ、ちぃー(恥)」と言ってみる感じ。この「ちぃー」がシンハラ語の「恥」。でも、「ちぃー」と言うと「静かに!」と言う意味もあるから、これはちょっと通じないかも。

「もろ」と「ムル」

 「もろ」って、あまりいい言葉じゃなくなった気がするけど、「諸手」「もろ差し」と言うと、相撲で相手を攻める様子が浮かんできます。また、「モロだぜ」と下劣に言えば「全部だよ」と言う意味。この「もろ」がシンハラ語では「ムル」。MOLOとMULUに書き換えると母音のOとUが交換していることがわかって来て、「もろ」は「ムル」に繋がりそう、って気がしてくる。そこで「諸手」をシンハラ語にすると「ムル・アタ」と言うから、やっぱり同じってことが見えてくる。「ムル(総て)・アタ(手)⇔諸手」という訳。「アタ」は「手」のことで、「手(て)」もやっぱり昔の日本語で「た」と言っていたし、それ以前には「あた咫」と言っていた。


「ちゃらちゃら」と「チャラーチャラ」

 「ちゃらちゃら流れる御茶ノ水」の「ちゃらちゃら」は「チャラーチャラ」と言う。ラはシンハラ文字ではL音のLA。日本語の「ら」はR音。一応そうなっているのだけど、これは英語を基準とした分け方でしかない。シンハラ語のR音は摩擦が強すぎて英語のR音にならないし、日本語の「ら」音にもならない。シンハラ語のL音はむしろ日本語のR音に近い。だから「ちゃらちゃら」はそのまま「チャラーチャラ」。

「あめ」と「アマ」

 「雨」はシンハラ語で「ワッサ」。でも「アマ」「アマタ」という「水」を意味する言葉がある。だから「雨水(あまみず)」は「アマ」。これを「アンマー」と言ってしまうと「母」の意味になるから注意。

「パー」と「パール」

 「パーになる」は「パール」。日本語の「パー」が無くなることを意味しているとすれば、それは「パール」の意味そのもの。「パール・ウナー」と言えば「無くなった/空
カラになった」のこと。

「まやかし」「ひな」「坊や」「子等」

 「まやかし」は「マーヤーワ」。
 小さなものを表す「ひな」はそのまま「ヒナ」。
 「坊や」は「ボーランダー」。
 「子等(こら)」は「コッラ」
 この辺の単語は耳がそのつながりを直感してくれるから説明も要らないでしょう。

「あした」と「パスワダー」、「あさって」と「アニッダー」

 ちょっと面白いのは日にちの呼び名。
 「あした」は「パスワダー」と言う。「パスワダー」の語頭のP音が取れて「あすわだぁ」と言ってみると、「あす
(明日)」だか「あすた(東北弁っぽい明日)」だか、はたまた「明日だ!」なのか、とにかく限りなく「あした」に近づいちゃう。もしかすると「あした」の「た」は「ダー」ではないかと勘ぐりたくなる。「あさって」の「て」だって「ダー」なのかも。同様に、「あさって(明後日)」はシンハラ語で「アニッダー」。「ひあさって」は「インアニッダー」。ぴったりと寄り添ってるよね。
 日本語では「た」」「て」と揺れる音がシンハラ語では「ダー」のまま動きません。シンハラ語の「ダー」はDAYのことですから、もしかしたら日本語の「あした」「あさって」の語末の「た/て」も、元々はDAY(日にち)のことがったのかも。

「嘘」と「ボル」

 最後に「嘘」はシンハラ語でどう言うか?
 「嘘」はシンハラ語で「ボル」。意味は「ほら」に近い。「ほら吹き」の「ほら」です。
スリランカで料金を高く吹っかけられて「ぼられたぁ!」と絶叫したことがあったとしたら、そのときの「ぼられる」が「ボル」されることなり、などと解説してもいいかな。
 この「ボル」の説明はちょっと「ぼってる」感じがあるので、あまり正確じゃありません。ここのところの微妙なニュアンスやムードはお近くにシンハラの方がおられれば、その方に確認してみて。きっと、おもしろい「ボル」話がたくさん出てくると思います。気をつけてね。