シンハラ語ホームページ、一押しを教えて

シンハラ語質問箱 Sinhala QA56
2005-11-29 2019-Aug-31


Goooooogleでシンハラ語を検索してます。トップに『かしゃぐら通信』がくるのは、まあ、いいとして、その後にいろいろなHPが並んでいて、それも数万もあります。シンハラ語のHPをいくつか読んでみたいのですが、何か、お勧めはありますか。これが一押しというHPを、紹介してください。…
 

2005年にはこんな回答をした

 「シンハラ語ホームページ、一押しを教えて」は2005-11-29時点での質問で、当時こんな回答を返しています。  シンハラ語のホームページは山とあります。グーグルで「シンハラ語」を検索すると7万、8万のあたりを揺れているようです。
 以前、シンハラ語に関するホームページは4万ぐらいとご紹介したのですが、その倍になりました。
 その中でもセンスが好いのは、いえ、7万、8万すべてセンスが良くてすべてお勧めと言っておきますが、『かしゃぐら通信』好みなのははこれ。TEACUPブログの「+シンハラ語講座+2004」です。このブログへの書き込みが、また最高。
 惜しいかな、最も新しいTEACUPサイトには「終了しました」とあって、中身が更新されていないのですが、それまでに書き込まれたページには新しさに満ちて役に立つ情報がいっぱい。ここには「スリランカ生活気分そのまま、シンハラ語満喫気分まんぷく」が溢れています。
 このサイトが紹介するシンハラ語のニュアンスは、シンハラ人の感覚に近くて、その説明が、また、やけにしっかりしています。 また、スリランカの物価に関する情報は観光にちょっと行かれる方にはかなり便利。スリランカでぼられた、なんてことになってしまう人は後を絶たないけど、ここには生活臭のする「ものの値段」が記されています。
 管理人さんも、管理人さんが「教祖」のようにあがめるハシャーニさんも、とてもいい書きこみをされています。それと、なんと言ってもロワさんのシンハラ語解説がお見事。シンハラ語って、やっぱり日本語のアレだったのか!って、日本語を話す私たちは感じてしまうことが多いのですが、この「+シンハラ語講座+2004」を覗いてみれば、ん、実感!です。
 アヤシイ商売とか、ナントカ援助とか、そうした悪巧みビジネスや援助ボラからは離れているTeacupのブログです。『かしゃぐら通信』としては再開を切に希望するゥ!、なのです。

2019年はこんなことに

 と、2005年にはTEACUPのブログをご紹介していたのですが、このブログ、跡形もなく消えました。あの頃とはネットのありようが変わった。
 「シンハラ語QA no56」は2005年の頃、スリランカのホームページ一押しはなに?と読者の方に訊かれて上記のような回答をしました。
 でも、あのときにご紹介したホームページはもう消えていますから、「ハシャーニ」「ロワ」をキーワードにして探しても検索結果に現れるのはこの「シンハラ語QA no56」だけ。そう言えば、シンハラ語をキーワードにグーグル検索するとKhasyaReport(当時は「かしゃぐら通信」)がまず先に出てきたけど、今は、ずいぶん後にならないと検索に引っかからない。まッ、それはいいか。

 時代はゆれて移ろい、ネットの情報は朝露のように消え去ります。
 現在2019-Sep-08ではシンハラ語のサイトが沢山咲き乱れて、これが一押しだ、なんて言えるサイトはありません。シンハラ語を学べる教室の紹介サイトがやたらに増えたり翻訳業務請負があったり。スリランカ情報を書き込むブログも増えた。すばらしい変化です。
 この「かしゃぐら通信」KhasyaReportも1995年のサイト立ち上げのときからすれば、ずいぶんと内容が変わっています。
 初期はスリランカの観光地紹介とか、街歩きのヒントとか、どこの店がうまいとか、臆面もなくガイドブックみたいなこともしていて、あちらこちら、手を伸ばしていました。
 でも、TOMOCAの時代に戻ってシンハラ語とカレーライスをテーマに内容を小さく固めるように「かしゃぐら通信」の行く道がこの数年で定まるようになって、「シンハラ語の話し方」のスタンスと「南の島のカレーライス」の視点をこのサイトに据えて佇むようになりました。

日本で暮らすシンハラ人のためのシンハラ語サイト

 時代は変容する。日本人にスリランカの現地情報を伝えると同時に、日本に暮らすスリランカ人に日本のことを伝えることが大切になっています。

 千葉県船橋市のホームページ「広報ふなばし」に「外国の方へ For foreign residents」というタイルがトップ画面左側にそれとなく置かれていて、それをタップして先に進むと、
ජීවන මාර්ගෝපදේශ(シンハラ語)
という文字が目に飛び込むから、これをクリック。すると、 ජීවන මාර්ගෝපදේශ(生活情報)のページに飛んで、このシンハラ文字タイトルの下に二行のシンハラ文が表示されています。
 この「生活情報」に書かれているのは、

මහජන සෞඛ්‍ය රක්ෂණය පිළිබඳ දැනගන්න මහජන සෞඛ්‍ය රක්ෂණය පිළිබඳ දැනගන්න/ඹබ වෙතට ආ දැනුම් දීම කුමක්ද ?

 という二つの項目。シンハラ語以外の「生活情報」ページでは何やかや項目が多いのですが、シンハラ語の「生活情報」はこの二つだけです。
 市の国保保険料の滞納者に対して短期被保険者証を発行します、という日本語「督促状」の解説文です。
 これが、丁寧で、しかも、親切。 とりあえず、上の文をクリックすると、お目当ての「シンハラ語版 සිංහල අනුවාදය 」がpdfで出てくる。
 මහජන සෞඛ්‍ය රක්ෂණය පිළිබඳ දැනගන්නでは「私たちみたいな外国人はそれに入らないってのは良くないかな?」と「ちばこくほ」マスコットが迷っていると、「そうなんですよකය කස ේමයි」と応えが返ってきます。そして、観光以外で3ヶ月以上お住まいならみんな国保に入らなければならないんです、と回答が続くのですが、ここからはどの言語でも応えは一緒。
 でも、「入らないってのは良くないのかな?」と言って逡巡するのはとてもシンハラ的。これ、打ち消し表現なんです。英語だと「私たち外国人も登録しなければいけないか?」と能動態で疑問を投げかける。打ち消し話法で全加入を勧めてくるシンハラ語はどこかやわらか。
 ちょっとページを下ると国保に加入すれば医療費の支払いは3割負担、加入しないと全額負担という国保制度の山場に差し掛かるのですが、ここのシンハラ訳も傑作。保険証を提示すれば、たとえば医療費が5千円だった場合、3割の1500円になる、と平叙文で言っといて、だけど保険証を出さないと「100パーセントもジブンで支払わなければならない」と強調表現(助詞の*を使ってる)。まともな所得を稼いでいるシンハラ人ならニコッとして保険料の支払いに行く、かも。

 ふなばしが市内に暮らす外国人に対して「暮らしのガイド」を始めたことを2018年11月19日付けの東京新聞が次のように報じています。

 船橋市は、外国人の国民健康保険(国保)加入者向けに、六カ国語に翻訳したパンフレットや催告書の説明書を作った。市内で暮らす外国人と国保加入者が増えているものの、制度が分からないといった声に対応した。

 この六カ国は英語、中国語、韓国語、ベトナム語、ネパール語、シンハラ語(スリランカ)。総務省の外国人向け広報にはシンハラ語版はないから、船橋市はダイバーシティ行政のトップを走っていることになる。
 このお知らせのシンハラ文はネットでも読むことができて、その出だしを読むと日本の国民としては誇らしげな気分になる。

ජපානය තුළ සිත් සැහැල්ලුවෙන් තම ප්‍රතිකාර ලබා ගැනීමට පිණිස සියලුම ජනයා තිළ වශයෙන් වෛද්‍ය ප්‍රතිකාර රක්ෂණ ක්‍රමයට ඇතුලන් කර ඇත.

日本では、治療を簡単に受けられるように、すべての人が医療保険に加入しています。

 上は船橋市の国保保険料納入を知らせるシンハラ通知文の出だし。下はそのグーグル翻訳文。グーグル翻訳はなぜかシンハラ文の抄訳になって出てくるけど、でも、大体、意味が分かる。  船橋市のシンハラ語での国保制度の紹介は、おそらく、国保中央会が言う「国民健康保険(国保)とは、病気やケガをした場合に安心して医療を受けることができるよう、加入者が普段から保険料(税)を納め医療費の負担を支えあう、助け合いの制度です」のこと。https://www.kokuho.or.jp/summary/national_health_insurance.html
 ජපානය තුළ සිත් සැහැල්ලුවෙන් තම ප්‍රතිකාර ලබා ගැනීමට පිණිසは「国民健康保険(国保)とは、病気やケガをした場合に安心して医療を受けることができるよう」で、
සියලුම ජනයා තිළ වශයෙන් වෛද්‍ය ප්‍රතිකාර රක්ෂණ ක්‍රමයට ඇතුලන් කර ඇතが
「加入者が普段から保険料(税)を納め医療費の負担を支えあう、助け合いの制度です」の部分。
もっとも、このシンハラ文は英語版の

National Health Insurance GuideのIn Japan, all residents must be enrolledin a public healthinsurance systemof some kind so that they can receive medical care with peace of mind.

をシンハラ訳したものだろうからビジネスライク。「助け合い」の意味は抜けてしまった。  中央会が言う「助け合い」という日本的な情緒を英語のwith peace of mind(安心して)に置き換えてしまうと相互の「助け合い」の気持ちが「私一人の安心」に置き換わる。また、කර ඇතは文語だからシンハラ語バージョンは(この部分)上から目線でおカミっぽい。「~である」文体は文語シンハラの特徴だから、これはどうしようもない。

 グーグル翻訳でこの文を日本語にして読むときは、船橋市のpdf表示されるシンハラ文を一度メモ帳などにユニコードで打ち出して、それをグーグル翻訳窓に貼り付ける必要があります。pdfのシンハラ文字はそのままコピーすると文字化けを起こしてしまい、訳しボケが起こる。翻訳する原文が翻訳システムで読み取れないとき、勝手にいい加減な訳を表示してしまう。つまり、せっかくの船橋市のシンハラ語表示という先進的な行政努力を見事なまでに打ち砕いてしまうのだけど、日本人がシンハラ語学習のために「広報ふなばし」https://www.city.funabashi.lg.jp/index.htmlのシンハラ人向け生活情報ページhttps://www.city.funabashi.lg.jp/foreign/p066104.htmlを読むなんてことも想定してないだろうし、手間をいとわず自分でシンハラ文字をユニコードで打ち込めば結構いい線の訳文をグーグル翻訳は提示してくれる。
 アマゾンのfireタブレットをお使いの方は、(何の因果か)残念だけど、htmlページのシンハラ文字が豆腐化けしてしまうからシンハラ・バージョン「生活情報」ページのシンハラ文字は読めない。それでも、その先のPDFページに辿り着けばfireタブレットもシンハラ文字を表示するから、何とか辿り着いてください。
   船橋市にはベトナム、ネパール、スリランカの住民登録者が増えていて、外国籍の住民は国保保険料の納入率が低いとのことだけど、国保は助け合い。අන්‍යෝන්‍ය සහයෝගය mutual supportなのです。

 この船橋市のシンハラ語・サイトはシンハラ語の解説付き督促状だけど、これ、もっとさまざまな行政情報が加わってくると思う。地方自治は総ての人を守る行政の典型。そこにスリランカのシンハラ人も加わっている。