KhasyaReport さとやま食らいふ 015

梅ジャム、とろりとろり

小梅の皮までジャムに溶かし込む。スムージィな
ペーストになる。

枝に生った小梅をいつもぐか? そのころ合いを見図るのがどうしたものか、わからない。毎朝、小梅を眺めて、?ぐにはまだ早い、いや、もう良いかい、とちぐはぐ思うのだけど、そのうち小梅が落ち始めた。収穫のときが見えてこないなら舌で確かめるかと、小梅をかじる。酸味はないし梅の香りも、なんだか、パッとしない。まあ、いいか、後熟と言うこともあるし。とにかく小梅を摘んだ。
 畑から家に運んで数日待って、また、小梅をかじってみた。酸味がない。何の変哲もない。このままジャムを作って大丈夫だろうか。ええい、ままよ、と調理に手を出した。
 材料は小梅とグラニュー糖だけ。小梅の重量を測って同量のグラニュー糖を加えるのだけど、このジャムの保管は冷蔵庫にするつもりだからグラニュー糖は40パーセントに抑えた。ジャムと一緒にのし梅を作る。こちらはグラニュー糖を60パーセントに増やして寒天を加えて固める。
面白くて摘んでいたらこんなにいっぱい。

グラニュー糖を加えると小梅の水分が表面に引き出されてくる。熱を加えるとその水分で小梅たちがふにゃふにゃになって、そして、強烈な甘酸っぱいにおいを放ってきた。そうだったのか。火を加えさえすれば梅は本来の梅以上に梅になるのか、なんて、梅を3回もリフレインしたけど、それほどに強烈な梅の味を香りを放ってくれた。おまけにこの熱調理状態の小梅はすぐに溶ける。皮も溶ける。
グラニュー糖を加えて火にかける。
熱を加えると小梅はその酸味と酸っぱい
香りをひろげた。
 熱いうちに種を取る。指がやけどするぐらいだった。ジャムの粘りぐあいを頃合いに決めてジャムにする分を取る。残りはのし梅だ。これはジャムより甘くして寒天で固める。ところが、寒天を加えてもうまい具合に固まらない。熱で酸味が増大して寒天の固化が効かないようだ。粗熱が取れるまで放っておいても硬化しないから、いっそ凍らしてしまおう、とその時ひらめいた。
 フローズンのし梅は評判が良かった。冷凍庫で固めたらのし梅仕様になったので、山からとってきた笹の葉で巻いて仰々しくお茶うけにして出したらめっぽう口当たりがいいと褒められた。誰もフローズンとは気づかない。やって見なくちゃ分からない。やって見たら、だれもフローズンに気づかない。


小梅が軟らかくなったら熱いうちに種を取る。冷めてからでも大丈夫。



さとやま食らいふ目次山里ライフ かしゃぐら通信から

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