大雪山白雲岳 (2/3)

7月23日 晴れのち曇り

トムラウシ
夜明けのトムラウシ(04:00)
3時半に目が覚めた。空は高曇りだった。朝のテント内の気温は11.4℃だった。夜中にトイレに起きたときは10.8℃だった。
トムラウシ山はよく見えていた。あの山を眺めながらのロングトレイルを歩きたいという一念でここまでやって来た。それはこの日は実現できそうに思えた。しかしその後の予報がよろしくない。トムラウシは去年も登ったばかりだし、きっぱりと諦めよう。そこで本日の行程だが、コマクサ平まで行くか、それとも忠別沼まで行くか。迷い迷って、コマクサ平を選択した。今日コマクサ平に行っておけば、明後日は裾合平を下山ルートにできる。しかし、コマクサ平はあまりにも下すぎるので、おそらくそこまでは行かないだろうという気がした。が、少なくとも第四雪渓くらいまでは見ておきたい。
朝食は岳食のにゅうめんだけでは足りなくて、旭川で買ったパンも食べた。コーヒーまでいれたら、なんか無駄にピクニック的な食事になってしまった。

5:44 テント場発(高度計:2015m)

花
小屋のすぐ下の花畑とトムラウシ(05:56)
雪渓
スクリームを連想させる雪渓(06:38)
小屋を出てすぐに高根が原への道と分かれ、左下の雪渓へと下っていく。この板垣新道はハイマツなどのブッシュに囲まれ、ある意味大雪山らしい道だった。
10分もすると、雪渓沿いの花畑に到達。ここは白雲小屋からもよく見えていて、きれいそうだなと思っていたら実際に素敵だった。トムラウシ山が遠望できるのがまたイイ。チングルマ・エゾツガザクラ・アオノツガザクラのお馴染みのトリオが我々を囲んだ。
雪渓を渡るとき、下の方にも花畑はないかと探索したが、近場にはたいしたものはなかった。が、かわりにカッコウとサメビタキを目撃した。
いったん地面に乗り上げると、そこにはエゾコザクラが。おおっと、斜面にはアオノツガザクラだ。もう、花好きにはたまらないっす。
ふたつめの雪渓は凸凹で超歩きにくかった。陰影がホラー映画のスクリームを思い起こさせた。

6:53 分岐

分岐
分岐から白雲岳を眺める(06:53)
緑岳
緑岳へはエゾハハコヨモギの道を行く(06:59)
雪渓のあとはガラ場にとりついた。登り道の途中にも花は咲いている。にょろにょろエゾハハコヨモギの群落や、可憐で華麗なエゾツツジが目立った。15分も登ると小泉岳稜線鞍部の分岐点に出た。この間、ずっとノゴマがさえずっていた。
稜線で右(南)の緑岳に向かう。

7:09 緑岳登頂(2030m)

トムラウシ
緑岳からトムラウシをのぞむ(07:24)
道
小泉岳へ一本道を行く(07:30)
緑岳への道は、荒涼としているようでいて実は植物の結構多い道だ。
緑岳は山中の特徴的な小丘で、不思議な魅力を湛える山だ。山頂からの眺めはすこぶる良い。白雲も旭岳も姿がよいし、トムラウシも前景の高原沼が一役買っている。実は大雪山中でも屈指の展望の山なのだ。
20分ほど景色を堪能してから来た道を引き返した。

7:51 板垣新道分岐を通過(2020m)

旭岳
エゾハハコヨモギとエゾツツジと旭岳(07:35)
白雲岳
エゾハハコヨモギとイワギキョウと白雲岳(07:39)
分岐を過ぎて小泉岳への登りにかかる。と言っても標高差は200mもない。この登りでは相変わらずエゾツツジがきれいだったのと、ホシガラスシマリスとの遭遇があった。
ぼちぼちウルップソウが増えてきたが、いずれも花は終わっていた。昨日北海平で話したあの大雪マニアの人、つぼみと散ったあとと、ちゃんと分かってんのか? 花も変わらずで、「小泉岳の花畑は日本一」というのはここではなく、どうやら銀泉台-赤岳ルートのことではないかと思えてきた。

8:40 小泉岳登頂(2165m)

小泉岳
小泉岳山頂からの白雲岳・旭岳(08:42)
のっぺりとした小泉岳にも、ちゃんと山頂標識はあった。小泉分岐までほんのわずかのところだった。分岐だと通行がうるさい気がして、ここで一休みすることにした。
このあとは、最低でも第四雪渓までは行くことにした。

9:12 赤岳通過(2095m)

道
赤岳付近(09:13)
花
第四雪渓のアオノツガザクラ群落(09:24)
小泉岳-赤岳間が一番花が少ない気がした。赤岳は通過して第四雪渓へと下った。素晴らしい花畑が広がっていた。

9:44 第三雪渓の上部(1955m)

道
第四雪渓を下りきってから振り返り見る(09:37)
とにかく行けるところまで行ってみようと、第四雪渓を下りて平坦になっても先を行く。その突端に出ると、はるか先にコマクサ平が見えた。ちょうど第三雪渓の上部だ。いくら花が凄いと言っても、ここを下るのもチトかったるいし、これまでの行程から、情報源の不確実性も心配だ。行ってみて、実は去年見たコマクサの方がきれいだった、とかいうこともないこともない。ということで引き返し決定。

10:19 第四雪渓(1985m)

ツガザクラ
彩りもきれいな2種のツガザクラ(10:29)
花
第四雪渓のチングルマ群落(10:38)
第四雪渓下部の折れ曲がった看板に腰かけてしばし休んだ。それにしても暑い。暑すぎる。
ほどほどに休んだら、腰をあげて写真を撮りつつ赤岳へと登る。いやいや、去年歩いて知ってはいたけど、それにしたって、この花畑は実に素晴らしい。気がつくと、1年前と同じところで同じ写真を撮りそうになっていた。アオノツガザクラとチングルマが一面でよかった。相当凄いのだけど、前日のアレを見て麻痺しちゃっている気がする。が、それでもアオノツガザクラとエゾツガザクラの混成群落はこちらの方がきれいかなあと思った。この2種類は、すぐ近くに一緒に咲いているのに交配しないのが不思議だ。

10:51 赤岳(2090m)

旭岳
赤岳山頂付近からの旭岳(10:58)
道
茫漠とした道を小泉岳方面へ向かう(11:05)
赤岳の岩の陰に頭をつけて冷やしてからまた小泉分岐へ向かった。上天気で、旭岳もよく見えていた。

11:31 白雲分岐(2125m)

水が欠乏してきたので、北面の雪渓まで採りに行こうと歩いたが、あまりにも遠いのでまた分岐へと戻った。すぐに白雲岳へと向かう。

12:07 白雲岳登頂(2225m)

旭岳
残雪の旭岳(12:14)
トムラウシ山は残念ながら雲の中だったが、旭岳はよく見えていた。この縞々模様を見るのは久方ぶりだ。
暑かったが、風が吹くと気持ちよかった。

13:55 下山開始(2225m)

ちょっとうつらうつらしたりして、でも結局何も変わらないのでテント場へ戻ることにした。2時間近くいた間に、山頂に来たのは4人だけだった。

14:30 白雲分岐(2125m)


14:59 テント場着(1995m)

この日の最高高度は2230m、最低高度は1955m、積算上昇は520m、積算下降は515mだった。
3泊の予定が2泊になったことで、この夜の食事はメインのほか山盛りサラダに山盛り副菜と、豪勢なものになった。おかずが多すぎてご飯は炊かなかった。
天気予報はまた少し変わり、天気が崩れるのは24日から25日にずれたようだった。いずれにしてもあまりよくないので、トムラウシ縦走を断念したのは正解と思われた。
この夜は少なくなると思われたテントは、前日並みの13張だった。
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