カムイミンタラ逍遥 その6

7月18日 曇りときどき晴れ

10:17 ナキウサギ

ナキウサギ
目の前にナキウサギが
山頂への登りもナキウサギの鳴き声が多い。気づくと目の前に座っていたので写真に収めた。1歩踏み出してまたシャッターを切る。この調子で1歩ずつ撮ればしまいにはかなり大きい写真が撮れるぞ、と思ったら次の1歩で逃げられてしまった。驚かせてごめんな。

10:18 北沼を見下ろす

北沼
北沼を見下ろす
ふと振り返ると北沼が全貌を見せていた。水の色は今回は「熊の目」の方がきれいだったかもしれない。
立っているのは身長155cmの相棒K。岩の大きさがわかろう。

10:26 山頂は目の前

山頂部
山頂は近い
大岩の盛り上がりが見え、足元が土になると山頂はすぐ近くだ。大岩を右にまわりこむようにすると山頂が見えてくるのだ。
・・・なんと山頂には大勢の人がいた。

10:31 トムラウシ登頂(高度計:2040m, 温度計:18.7℃)

トムラウシ山頂
トムラウシ山頂
2度目のトムラウシ山頂は、またしても雲の中だった。今回の方が雲は多い。まあ、待っているうちに晴れるかもしれない。帰りにも時間がかかることを考えると、下山開始は12時ごろでいいだろう。先客は全てツアー登山のようだ。15人以上いる。しきりに話しかけてくるので適当にあしらい、湯を沸かしてお茶の準備をする。ツアーはすぐに南に去っていった。どうやら山頂には10分ほどしかいられなかったようだ。
我々のほかに誰もいなくなった山頂で、再びこの地に立てた幸せを噛みしめた。このあと登山者は結構頻繁にやってきたが、先ほどのような喧騒はなかった。
山頂標識が新しくなっていた。2年前に来たとき、それまでのものが根元から折れていて、転がっていた。持とうとするとものすごく重かったので、おそらく人力で壊れたのではないだろう。新しい標識は以前のものの根元に接木のように設置されており、触ってみるとぐらぐら揺れた。ずいぶん軽い素材で出来ているようだった。

12:00 トムラウシ山頂発(2055m, 23.2℃)

火口湖
トムラウシ山頂の火口湖
1時間半ねばったが結局雲は晴れず、展望が得られたのは銀杏が原の方だけだった。残念だったが、ここはポジティブに、また来る楽しみが出来たことを喜ぶことにして、下山。帰りも時間がかかることだろう。17時までにテントに着けばいい。(って、コースタイムは2時間半なんだけど)

12:20 山腹のツガザクラ

ツガザクラ
おばさんに踏みしだかれたエゾツガザクラ
下っていると、中高年の6人パーティが登ってきた。疲れたらしく、みんな座り始めた。・・・って、おいこら、そこは花畑だろ。しかもこの山頂部の溶岩ドームの中で一番きれいな群落。注意するとしぶしぶ立ち上がった。往きに見たときはシマリスが花を食べるようなしぐさをしていたが、花は無事だろうか。
そういえば山頂にもごみがあった。表題から察するに記念のつもりのようだが、はたから見ればただのごみ。わざわざ板に彫って、ご苦労なこった。山頂標識の裏に名前入りのシールを貼っているオヤヂもいた。誰もそんなもの見たくない。こういうことをする奴は、苦労して登った山頂にガラクタが溢れていてもいいと思っているのだろうか? 山頂標識を千社札いっぱいの神社の門のようにしたいのだろうか? 考えれば考えるほど、謎はますます深まるばかりであった。
下を覗くと、北沼と南沼を結ぶ道の周りが花できれいに見えた。

12:37 北沼分岐(1925m, 24.6℃)

12:55 北沼南斜面

花畑
北沼南端の花畑
分岐から、さきほど上から見てきれいだったあたりに寄り道してみた。チングルマ、アオノツガザクラ、エゾツガザクラが咲いていた。実際きれいだったので、寄った甲斐があったと思った。南沼方面から人が来たので話を聞くと、どうやら南の方にはまだまだきれいなところがあるようだ。しかし登り返しがいやだったので(軟弱)、深追いせずにそのまま引き返すことにした。

13:34 2000m台地へ

山頂部
山頂部にガスが湧く
北沼から2000m台地に登り始めるとガスが湧いてきた。振り返るとトムラウシがちょうど隠れるところだった。このあと、ずっとガスが晴れることはなく、本日のトムラウシの見納めとなった。
寄り道したとはいえ、下山を開始してからここまで1時間半かかっていることに気づき(コースタイムは15分)、少しペースを上げようということになった。

13:47 ロックガーデン

ウコンウツギ
ロックガーデン最上部のウコンウツギ群落
ロックガーデンに差し掛かるあたりで、あらためてあたりを見渡すと、ウコンウツギがたくさん咲いていた。

15:14 天沼(1750m, 19.9℃)

天沼
霧の深くなった天沼
ロックガーデンを下り終えてから、なんだか雲が低くなってきたような気がしてきた。
ナキウサギの声がすると反応して歩みが止まってしまうので、どうしても時間がかかってしまう。

15:51 ヒサゴのコル(1700m, 18.7℃)

雪渓
ガスに包まれた雪渓をヒサゴ沼へ下る
コルに着いた頃は、ちょうど沼がガスで見えなかった。こうなると、雪渓の下りはちょっと怖い感じだ。朝登ってきたステップを通るのはやめ、左端を岩に沿って下ることにした。キックステップで充分で、アイゼンは使わなかった。

16:28 ヒサゴ沼(1595m, 18.6℃)

花畑
ヒサゴ沼上部の花畑
どうにか17時前に着いた。雪渓から最後に着地したのは夏道よりちょっと上だったが、そこが偶然、花がきれいだったのでなんだか得した気分になった。沼畔に着くと蚊の大群が舞っていた。久しぶりに気温が上がり、羽化したのだろうか。息をしていると鼻や口の中に入ってきそうなので、しょっちゅう息を止めて歩かなければならなかった。
今日の夕食は牛すじカレー。デザートにフルーチェも食べ、満腹。
海の日3連休が近いせいか、今日はヒサゴ沼もかなり混んでいた。テントも20張りくらいはあっただろう。おそらく10人を超えるツアーが、小屋に入れずにテントに流れてきた。ガイドもでかいテントを担いでたいへんだ。みんなテントで寝るのが初めてらしく「窒息はしませんか」などと大騒ぎであった。今日は登頂の興奮で寝付けそうにないので放っておいたが、ほかのテントの人が「おばさん、うるさい」と一喝すると静まった。しかしテントに変更したツアーはほかにもあったようで、遠くでまだ騒いでいる声が聞こえていた。いつの間にか自分も眠ってしまった。
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