Uxbridge -モードの見た車窓の風景- 


  Leaskdale の牧師館に住んでいたモードは、Uxbridge から汽車でトロントへ行くのを楽しみにしていたそうです。York-Durham Railway は残念ながら廃線になっています。6月に Uxbridge を訪れた折りに汽笛を聞き、再建された Uxbridge の駅にディーゼル機関車が停車しているのを見ることができました。夏の間の週末のみ、Heritage Railway がボランティアの運営で、Uxbridge - Stouffville の間を走っているとのことでした。モードの見た車窓の風景が見られるのです。それならぜひ紅葉の奇麗な季節が良いかなと楽しみはとっておくことにしました。

  月末に日本への帰国を控えた10月12日、日曜日。トロントの街は街路樹がオレンジや黄色に見事に染まって本当に奇麗です。お昼少し前に Uxbridge 目指してでかけました。Freeway からの風景も、一般道に降りてからも、こんもりした森がいくつも秋色に染まっていてとても素敵です。

  Uxbridge の駅に着いたのは12時を過ぎたころでした。残念ながら TRAIN 2 はたった今出たばかり、次の TRAIN 3 は3時発とのことでキップだけ買って、駅を後にしました。ダウンタウンでランチをとり、向かいのクラフトショップでハロウィンのかぼちゃとお化けちゃんの飾りを買いました。そのあと Mrs. Clark を訪ねて8月の牧師館 の写真をお渡ししてもうすぐ帰国することを伝え、お別れを言ってきました。

  2時45分に駅へ戻ると、ちょうど TRAIN 2 が駅に入ってくるところでした。列車は Uxbridge - Stouffville 間を往復しているので、駅の複線を利用してディーゼル機関車を先頭から最後尾へつなぎ替えます。客車からはずされたディーゼル機関車がゆっくりゆっくり走って、複線をバックして、また本線にもどってきます。連結器につなぐのはプロの技、見ていてあきません。これで最後尾が先頭になりました。

  これは 6月 の写真です。空の色がどことなく違いますね。カナダでも10月の空は澄んで青く輝いていました。機関車をつなぎ終えると、乗車開始です。ボランティアの車掌さんがキップにパンチを入れてくれました。

  客車は3両つながっていました。建造年を見たのですが、残念ながら忘れてしまいました。モードが利用した時代のものか定かではありませんが、古いのは確かでしょう。最初はがらがらだった車内も、発車直前には満席になりました。えっ!こんなにお客さんが乗るの?とびっくりしたほどです。実はツアーのおばさま、おばあちゃま方だったようで、片道だけ乗って Stouffville で待っていたバスに乗り換えていました。

  "All Aboard!" さあ、モードと同じ列車の旅が始まります。列車はガタンゴトンとゆっくり走っていきます。道を横切る度に踏切の警報器が鳴っています。車窓からの眺めは雑木林の中を抜けたり、家の裏手を走ったりと、すべてが美しいものと言うわけではありませんでしたが、ところどころ広々とした牧草や農場に紅葉の森の広がった素敵な風景に出会えました。舗装され道幅が広がっているであろう車道と違い、単線の軌道はモードの時代とあまり風景が変わっていないのではないでしょうか。車窓からのデジタルカメラの写真です。しばらくお楽しみください。







  Stouffville からの復路は車内も空き、 広々と座って帰ってきました。 車内には売店もあり、鉄道関係のギフトやおもちゃ、生のリンゴとホットアップルサイダーを売っていました。 息子はリンゴをかじり、私と夫はあつあつのアップルサイダーで暖まりました。それにしても20kmを1時間ちょっとかけて走る本当にのんびりとした列車の旅でした。モードはいったい何時間かけてトロントまで出かけていたのでしょうか。Uxbridge の駅に戻ったのは5時45分。すっかり遅くなってしまい、 Leaskdale の牧師館 へ足を延ばすことはできませんでした。Siloamの果樹園 も閉園時間が過ぎています。 そのまままっすぐ家へ帰ることにしました。その帰り道、夕日の中で紅葉がますます燃え上がって見える風景に出会うことができました。もうすぐトロントともお別れです。

Last Update: 22 Nov 1998
冬☆ Leaskdale ☆ Norval ☆ Uxbridge   春☆ Uxbridge ☆ Leaskdale ☆ Uxbridge
夏☆ Leaskdale ☆ Bala   秋☆ Uxbridge ☆ Norval ☆ Jane


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