Uxbridge -アヴォンリーの春- 


  早春の肌寒いPEIから帰るとトロントは気温27度、 一気に初夏の陽気になっていました。 その週末、 6月8日の日曜日。 日本へ帰国する両親を10時のフライトにあわせて空港へ送りました。 空は真っ青。 きっと Uxbridge の果樹園の林檎も咲いたはずです。 このまま家へ帰らずドライブしましょう。

  空港を出て Freeway401 を東へ、 そのまま家へ寄らずに Freeway404 を北へ、 Aurora Rd. で降りてまっすぐ果樹園へ行きました。 たった1週間でも緑がずっと濃くなった気がします。

  Siloam の果樹園 の駐車場に車を入れると、 奥は白く煙るように林檎の花が満開でした。 先週 は何も咲いていなかったのに、 本当に陽気に誘われてあっという間に開花したのでしょう。

  果樹園の中をのんびりお散歩しました。 林檎の樹は全体に若木が多く高さは2メートルくらいでしょうか。 下の方まで枝があって樹全体に白い花が咲き乱れています。 その蕾はほんのり紅色で開くと真っ白な花が咲くのです。 一列にお行儀良く並んだ樹の間を歩くと、 やさしい甘い香りが漂い、 蜜蜂の羽音も聞こえてきます。 ふんわりとした幸せな気分になってきます。 「歓喜の白路」よりはずっと小さな樹で枝も渡ってはいませんが、 アンの感動が伝わってくるようです。

  果樹園の奥はメイプルブッシュになっていました。 その森もお散歩しました。 背の高いメイプルツリーの若葉から木もれ日が射してとっても素敵です。 樹の根元の茂みにはオンタリオの州花、 トリリウムが咲いていました。 薄紫がとてもきれいです。 ただ森の中は蚊が多くて大変でした。

  ここの果樹園ではメイプルブッシュから樹液をあつめてメイプルシロップを作っています。 3月にここで Uxbridge のメイプルシロップフェスティバルがあり、その時訪れたのが Siloam との最初の出会いでした。 早春、 樹は芽吹くより早く根から水を大量に吸い上げます。 その時期にシュガーメイプルの幹に穴をあけて集めた樹液を煮詰めたものがメイプルシロップです。 樹木の春は雪の残った3月から静かに始まっているのです。 カナダはその季節、 至る所でメイプルシロップフェスティバルがあり、 樹液採集のデモンストレーションを見たり、 メイプルシロップたっぷりのパンケーキを食べたりすることができます。 果樹園のショップにはここで取れたメイプルシロップも売っています。 秋には林檎摘みもできるとのことでした。

  果樹園を後にし、 いつもは通らない裏道をドライブしてみました。 白と茶色の世界だった冬が嘘のように全てが緑に染まっています。 牧草や畑の麦が青々として風にたなびいています。 先週は一面の黄色い たんぽぽ野原 を見ましたが、 一面の綿毛野原にもであいました。 そして所どころ目につくのが林檎の白い花です。 農家の庭先や農場のアプローチ、 道路脇の牧草地の柵沿いにも咲いています。 手入れをされていてびっしりと花を咲かせている樹もあれば、 老木になって片側だけに花を咲かせている樹もありました。 アンが愛したアヴォンリーの春も −モードが愛したキャベンディッシュの春も− こんなふうに林檎の白い花が咲いていたのではないでしょうか?本当に素敵な風景の中にいてアヴォンリーの春に迷いこんでしまった気分です。



  屋外セットの跡地へ行こうと 6th Consession Rd. を南下していくと47号線と交差する手前にも小さな果樹園がありました。 樹がまばらに並んでいて Siloam の果樹園よりキング農場の果樹園に近い雰囲気があってすてきな場所です。

  その先 21号線と交差してしばらく走ると、 左手に Scott Museum で見た屋外セット跡地をみつけました。 最初に Leaskdale の牧師館へ来た日に通りすぎてしまった場所です。 雪原ではまったく気がつきませんでした。

  屋外セット跡地( Nesbitt Farm )は個人の農場で現在は借り手がいるので中へ入ることはできません。 でも人気がないのでちょっとだけ足を踏み入れてみました。 土地の西側が公道に面していて北側に門がありその近辺の土はうっすら赤い色が残っています。 門からまっすぐ続く赤い道は大きな並木になっていてここに Avonlea の村のセットがあった様です。 土地の南側は広い牧草地で中央が窪地で南よりは丘になっています。 この場所に学校が建てられ、 屋外のアトラクションのロケーションがおこなわれたと思われます。 赤い道の奥右手に水色のキング農場と納屋の建物が見えます。 その向こう、 土地の東側は森になっていて、 ローズコテージも右手の森の奥に建てられていたのでしょう。 テレビの映像からはちょっと想像出来ない小さな場所でした。 サリバンフィルム の映像の魔術に改めて驚かされます。 実際に屋外セットが残っていれば、 また場所の雰囲気も違ったことでしょう。 ローズコテージのまわりをお散歩できればという淡い期待はもろくも崩れ去ってしまいました。

  建物の配置などまた後日詳しい話しを致しましょう。

映像の中の Avonlea
Last Update: 29 Nov 1998
冬☆ Leaskdale ☆ Norval ☆ Uxbridge   春☆ Uxbridge ☆ Leaskdale ☆ Uxbridge
夏☆ Leaskdale ☆ Bala   秋☆ Uxbridge ☆ Norval ☆ Jane


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