Uxbridge -Scott Museumと思いがけない出会い- 


 トロントには5月になってやっと春が訪れました。
 レンギョウが咲き始め、柳の芽が黄色く煙り、メイプルや桜が咲き、公園の花壇にも花々が溢れ始め・・・
 しかし平年より気温が低く桜の花もなかなか散らず、クラブアップルのピンクの花が咲き緑が萌え出したのは5月も終わりになってからでした。

 5月30日の土曜日、明後日に PEI への旅行を控えてはいるものの、果樹園の林檎の花が気になって久しぶりに Uxbridge へ出かけてみました。そう、Scott Museumも5月17日に開館したはずです。



 ちょうど12時ごろ Siloam の果樹園に着きました。奥に見える林檎園の花はほころび始めたばかり、ショップの横に1本だけ満開の樹が有りました。果樹園の方も今年は遅れていて多分来週あたりが見頃でしょうとのこと。残念。

 Uxbridge のダウンタウンマップをたよりに、 River valley Restaurant で昼食。3人で25ドル程でリーズナブルなランチが楽しめました。それでは Scott Museum へ行ってみましょう。




 Museum の敷地に入ったものの広い中に古い建物が点在していて、さてどこが受け付けでしょう?ちょうど歩いていた鍵をぶらさげたおじさんに声をかけたところ、こっちだと中央の白い建物に案内して下さいました。入り口で入場料を一人2ドル50セント払って奥へ入ると・・・有りました! Road to Avonlea とモード関係の展示が!!




 1枚のパネルに Road to Avonlea のロケ地の説明が有りました。 Nesbitt Farm の場所やサリバンフィルムの書いた屋外セットのラフデザイン、 当時の屋外セットや、 Pine Grove Church の写真も有りました。これで Nesbitt Farm を見に行けます。

 パネルの下には誰が作ったのか、屋外セットの LOWSON さんのお店の模型も有りました。壁の高いところには Road to Avonlea のポスターまで。Sara ファンの彼がほしがるだろうなぁ。

 その隣のパネルには Leaskdale の牧師館の当時の室内写真が沢山有りました。牧師館の見取図まで。モードの生活が偲ばれます。

 向かいあったパネルにもモードと家族の写真、ガラスケースの中には彼女の著書が並んでいました。写真の中の彼女の二人の息子のベビーの時の写真の可愛らしいこと。モードの幸せな一時をかいま見た気がします。

 展示の写真を撮ったりしていると、さっきのおじさんが声をかけてくださいました。この方こちらの館長さんで、 Road to Avonlea と Montogomery が好きでここへ来たと話すと、いろいろ説明してくださいました。「 Nesbitt Farm は今はテナントがいるよ、テナントに了解をとらないと見られないよ。ドラマのクレジットにはオーナーの名前は出ているんだが。 Leaskdale の牧師館へは行ったかい?なら、 Mrs. Clark には会ったかい?会っていない?それなら会ってみるといいからすぐに電話をするよ・・・」

 Mrs. Clark!! Yuka さんがお会いしたモードを知っていらっしゃるおばさま。牧師館をモンゴメリ記念館にしようと活動されている方。そんな方にお会いできるとは!!

 びっくり眼で待っていることホンの1、2分、「今居るからこれから行くといい」と館長さん。 Mrs. Clark のお宅の住所から電話番号、地図までメモを書いてくださいました。あららぁびっくり、本当にお会いできるんだぁ。

 室内には他にも当時の衣装や品物の展示が有りましたが、見るのもそこそこに外へ出てしまいました(息子がじっとしていないのもありました)。敷地内には他に納屋や教会、古い住宅などが建っています。折角だから少し見て行こうとぶらぶらしていると、また館長さん。1棟ずつ鍵を開けて見せてくださいました。教会には立派なオルガン、昔 Uxbridge にオルガンメーカーが有って、そこの製品だそうです。納屋には沢山の農業機械、 スチームエンジンの機械を実際に動かす日が8月の終わりに有るそうです。別な建物にはキッチン用品や農業機具など、それが雑然と置いて有るのが何とも言えません。コレクションとしては沢山有って見応えは有りました。

 敷地内の芝生は一面のタンポポ野原、高台に有るので Uxbridge の街が見下ろせ、その向こうには農場と林の丘が連なっていてなかなか素敵な風景でした。冬の雪景色もきっと素敵だったに違い有りません。冬期休館で残念。

 Museum を後にして、 Uxbridge の街を抜けて Mrs. Clark のお宅へ。ダウンタウンのはずれの静かな住宅街の中のこじんまりとした小さなお家でした。カナダへ来て、本当のカナダの方のお宅へおじゃまするのは初めてのこと、ドキドキ。

 呼び鈴をならすと Mrs. Clark がにこにこと迎えて下さいました。自己紹介をすると、「 Yuka さんを知っていますか?」と Mrs. Clark。「存じていますが、まだお会いしたことがないんです。」
 「 Why? 」
 「Web で知り合って Email でお話ししました。今度お会いするお約束をしています。」
 「彼女は素敵な人だからぜひ会うといいですよ。」また楽しみが増えました。

 Mrs. Clark は沢山のモードの本や、スクラップブックを持っていらして見せて下さいました。本はビニールカバーに入れられて大切にされています。本棚の上に少し水色に見えるのは「レイチェルウォードの青い長持ち」のレプリカで、 PEI へ行ったお友達が買ってきて下さったそうです。
 食卓で紅茶と彼女お手製のお菓子を頂きながらモードの思いで話を沢山お聞きしました。さあ、必死でヒアリングです。モードのことは Mrs. Macdonald と呼んでいたこと、日曜学校や婦人会やいろんなお仕事をされていたこと、どんな集まりでもいつも忙しく手を動かして編物などをしていたこと、 etc. 。頂いたお菓子の中にモードのレシピのオートミールクッキーがありました。甘みを抑えた素朴な味のクッキーです。モードの子供たちも喜んでこれを食べたのでしょうね。
 訪ねてくれた人には皆書いてもらうからとゲストブックに名前を書かせて頂きました。私たちがなぜカナダに居るのかや夫の仕事にも興味をもって話を聞いてくださり、息子を気に入ってとても褒めて下さいました。
 牧師館を記念館にする資金集めの一部でもあるのだけどと、牧師館と教会のイラストの入ったマグカップを見せて下さいました。それと、 Leaskdale でのモードの思い出を綴った小冊子。両方を少しずつお買いして、ホンの少し寄付を申し出ましたらとても喜んで下さいました。


 ご一緒に記念写真をとお願いしたところ、モードのパネル写真を出して下さって、息子と三人でパチリ!突然おじゃましたにも拘わらず、快く迎えてくださり、ゆっくりお茶を楽しませていただきました。モードを大切に思う人をみんな愛していらっしゃるすてきなおばさまです。お元気なうちに牧師館が記念館となることを願わずにはいられません。



Leaskdale -新緑を訪ねて-
Last Update: 8 Jul 1997
冬☆ Leaskdale ☆ Norval ☆ Uxbridge   春☆ Uxbridge ☆ Leaskdale ☆ Uxbridge
夏☆ Leaskdale ☆ Bala   秋☆ Uxbridge ☆ Norval ☆ Jane


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