Norval −紅葉の中の牧師館とモードのレシピ− 


  夏の間、幾度となくLeaskdaleの牧師館には足を運びましたが、冬の日以来、Norvalへは行っていませんでした。11月の末にNorvalでモンゴメリクリスマスがあると由佳さんからお聞きしましたが、残念ながら帰国した後のこと。せめてもう一度行ってみようと最後の週末に出かけることにしました。

  翌週に日本への帰国を控えた10月19日、 日曜日、またまた素敵なお天気。この10月は本当に良く晴天に恵まれました。遅めの朝食をとって、8ヶ月ぶりにNorvalへ向かってFreeway401を東に向かって車を走らせました。Freewayからの景色も紅葉のなごりの美しいこと。トロントでの生活の最後が美しい季節で本当に良かったです。

 Freewayから一般道におりると、なつかしい農村風景が広がりました。収穫の過ぎた黄金色の風景にところどころに見える紅葉の木々が本当に綺麗。丘のつらなるUxbridge近辺と異なり、真っ平でとても広々としています。夏の青々とした風景を見に来なかったのがちょっと残念に思えました。


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charch1  以前と変らず、教会は通りに面してどっしりと建っていました。奥の駐車場に車を停め、その向こうに目をやると、駐車場の裏に広がるCredit Riverには沢山のカナダグースが水面に浮かんでいました。春の訪れとともにあちこちの湖畔や川でかわいらしい雛の姿をみかけ、初夏にはあっという間に大きく育っていた幼鳥たちも、もうすぐ親鳥といっしょに南へ渡って行くのでしょう。
 駐車場の奥にも、メイプルの木が1本あって見事に紅葉していました。教会の前のメイプルの大木は既に葉をみんな落としていて、もう冬を待つばかりという感じでしょうか。


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 写真を撮りながら教会の正面から牧師館の方へ歩いて行くと、芝生になにやら沢山転がっているのを息子が見つけました。緑色でトゲトゲのある・・・たぶんチェスナッツの実でしょう。初夏に家の近くのガーデンで白いトチノキの花を見たことが有りました。この季節にこんなに沢山実を落とすのですね。イギリスの歌を日本語では「大きな栗の木の下で」と訳されている童謡の“栗の木”は、このチェスナッツツリーのことだと思います。日本の栗程の刺ではなく、丸い実にちょっと小さなトゲトゲが付いている程度で、息子はひろっては放り投げて遊んでいました。



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 牧師館の赤いレンガにも紅葉が映えて青い空の下でとても綺麗です。葉を落とす前の一時はため息が出る程の美しさだったことでしょう。モードもこの風景を毎年楽しみにしていたに違い有りません。ポーチにはクリスマスイルミネーション用と思われるライトが沢山飾られていました。2月に見た時とはデザインが違います。毎年クリスマス前後の数ヶ月間、素敵にライトアップされているのでしょう。


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 夏にLeaskdaleの牧師館を訪れた際に購入した1冊の本があります。「Aunt Maud's Recipe Book」。モードのレシピ帳を受け継いだモードの従姉妹マートル・マクニールの子孫の方が書かれた本です。そのイレーン&ケリー・クロフォードさん親子が経営している Crawford's というパン屋さんがNorvalに有るというので、寄ってみることにしました。本の裏にお店の写真があり、Yukaさんのサイトで住所をチェックしたものの場所はわかりません。教会からGuelph St.を村の奥に向かって走ってみるとアドレスが反対の様なので、もどってFreeway 410方面に向かいました。しばらく走ると場所の表示が隣り町になってしまい、見つからなかったとあきらめた瞬間、右手に見覚えの有るお店が見えました。通り過ぎてしまったので、また空き地でUターン!本に載っていた写真のお店がそこにありました。



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 店内は焼き立てのケーキやクッキー、パンやマフィンの香ばしい匂いでいっぱいです。店の右手のショーケースいっぱいにいろんなお菓子やパンが並んでいました。店の奥にはティールームもありましたが、ちょうどお昼時で満席でした。店の左手にはお土産品や食品などがところ狭しと並んでいます。その中にNorval産のメイプルシロップがありました。日本へのお土産に250ミリリットルと1リットルの瓶詰めを数本買いました。1リットルの瓶入りメイプルシロップは初めて目にして、瓶の美しさも手伝って思わず買ってしまいました。
 ティールームでのランチはあきらめたので、あとで食べようとマフィンを数種類とRecipe Bookにも載っている「Maud's Christmas Cake」を買いました。Christmas Cakeはナッツとドライフルーツがぎっしり詰まっていて手に持つとずっしりと重さを感じます。冷蔵して販売されていました。このケーキは帰国までの1週間、毎日薄く切って一人で食べるという、とっても贅沢に味わいました。本当に「ぎゅっ!」といろんなものが詰まった美味しいケーキで、モードもクリスマスのために、1年かけてナッツやフルーツを準備して焼いたのではと想像するのも楽しいものでした。



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 お店の外では採れたての野菜と果物を売っていました。ブロッコリーとリンゴを買うと、息子にと小さなリンゴをくれました。日本の温州ミカンサイズ程のりんごですが、3歳になった息子は片言の英語で「サンキュー」とお礼を言うとうれしそうに噛っていました。駐車場にはクラブアップルの木があり、赤い小さな実を沢山付けていました。



 オンタリオ湖のそばの公園でランチにしようと、Norvalを後にしました。残るは「旅路の果て荘」。今日こそは出会えるのでしょうか。




 後日談となりますが。
 帰国後2年少しして、「Aunt Maud's Recipe Book」が東洋書林より邦訳出版されました。「赤毛のアン レシピノート」と原書とはちょっと掛け離れた邦題に装丁ですが、内容はモードのレシピそのものです。
 ご興味の有る方はぜひ手に取ってみてください。

Last Update: 12 Mar. 2000
冬☆ Leaskdale ☆ Norval ☆ Uxbridge   春☆ Uxbridge ☆ Leaskdale ☆ Uxbridge
夏☆ Leaskdale ☆ Bala   秋☆ Uxbridge ☆ Norval ☆ Jane


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