WWICS/PEN 2009年1月28日
カナダ 世界初の強制力のある
国家ナノテクノロジー要求 発表間近

カナダ当局 量、用途、化学的データを求めることを計画

情報源:Woodrow Wilson International Center for Scholars (WWICS)
Project on Emerging Nanotechnologies (PEN)
January 28, 200928
World's First Mandatory National Nanotech Requirement Pending
Canadian officials plan to require quantity, usage and chemical data
http://www.nanotechproject.org/news/archive/7061/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2009年2月1日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/PEN/090128_Canada_Mandatory_Requirement.html


 【ワシントンDC】カナダは2月に、工業的ナノ物質の使用に関する詳細を会社に求める世界で初の国になることを計画中であると伝えられている。この要求の下に収集される情報は、工業的ナノ物質のリスクを評価するために使用され、人の健康と環境を保護するための適切な安全措置を策定するのに役立つであろう。

 エンバイロンメンタル・カナダ(カナダ環境省)の報道担当官によれば、この一回限りの要求は規制の枠組みの開発に向けて利用されるであろう情報を収集し、2008年中にあるナノ物質を1Kg以上、製造又は輸入した会社と研究所を対象としている。今度の要求は、ユーザーに継続的に情報を提出することを求めるという規制又は規則ではない。

 新興ナノ技術プロジェクト(PEN)の専門家らは近年、ナノテクノロジーの監視強化を主張しており、カナダ政府によるこの動きは消費者と環境を保護するために著しい前進であると特筆した。

 ”ナノテクノロジーは急速に発展している。人々と環境は新たな物質にますます暴露している。政府は、今日、製造され、製品中で使用されているナノスケール物質のタイプ、量、リスクの可能性に関する情報に欠けている。これはナノテクノロジーの安全な使用を確実にするためにきわめて重要である”とPENの主席科学顧問であるアンドリュー・メイナードは述べている。”会社に対する世界で初めてのナノスケール物質の義務的な報告要求であるカナダ政府によるこの要求は、ナノテクノロジー規制がを正確な情報と高品質の科学によって駆り立てられることを確実にするための重要な前進である”。

 カナダの行動は、米環境保護庁(EPA)が、限られた産業側の参加しか得られなかった自主的な情報提供プログラムであるナノスケール物質スチュワードシップ・プログラムに関する暫定報告書を発表したすぐ後に続くものである。

 EPA報告書は、このプログラムにより得られた情報が不足していることに言及し、もっと多くのリスクデータを収集するためにEPAは有害物質規正法(TSCA)をいかに最良に利用するかについて検討するであろうと述べている。PENの専門家らによる依存の研究は、TSCAは、EPAがどの物質がナノ物質であり、それらが有害性を及ぼすかどうかを特定しつつ、ナノテクノロジーに対応するためには、”著しく非効率的”であり、EPAがTSCAの下に持っているツールを効果的に使用していないと結論付けている。

 PENの報告書、EPA and Nanotechnology: Oversight for the 21st Century と Nanotechnology Oversight: An Agenda for the New Administration は、ナノテクノロジーのリスクに関する重要な情報を得るために、TSCAの下で取られるべき具体的な行動に光を当てている。


訳注:関連情報



化学物質問題市民研究会
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