The Intercept 2018年10月6日
全国集団訴訟は、デュポン、ケマーズ、3M、及び
その他の PFAS 化学物質メーカーを標的にする

シャロン・ラーナー

情報源:The Intercept, October 6, 2018
Nationwide Class Action Lawsuit Targets DuPont, Chemours, 3M, and Other Makers of PFAS Chemicals
By Sharon Lerner
https://theintercept.com/2018/10/06/dupont-pfas-chemicals-lawsuit/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2018年10月10日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kaigai/kaigai_18/181006_
The_Intercept_Nationwide_Class_Action_Lawsuit.html

テフロン有害物質 パート18
 PFOA に関するデュポン訴訟で賠償を勝ち取ることに成功したロバート・ビロット(Robert Bilott)弁護士は、PFAS (ペル−及びポリフルオロアルキルサブスタンス)化学物質を体内に持つ米国の全ての人々のために訴訟を起こしている。

 3Mデュポン及びケマーズの各社に対する集団訴訟が今週、 PFAS 化学物質に暴露した米国民の全てを代表して起こされた。その訴訟はオハイオ州の消防士ケビン・ハードウィックによって起こされたが、”体内に検出可能なレベルの PFAS 化学物質を持つ米国民の全ての救済を求めている”。ハードウィックの代理人は、ウェストバージニア州のパーカースバーグにあるプラントからの PFOA に暴露したウェストバージニア州及びオハイオ州の人々の代理としてデュポン社を訴えて賠償金を勝ち取った弁護士ロバート・ビロットである。

 その訴訟は、泡消火薬剤、焦げ付き防止調理器具、防水衣料、その他多くの製品を製造するために用いられている有害化学物質を製造する3M、デュポン、及びその別会社ケマーズに加えて、他の 8社も告発した。 PFAS をめぐる訴訟の多くは PFOA と PFOS に関わるものであったが、この訴訟では GenX訳注)のような新しい代替化学物質を含む、 PFAS 化学物質の全体を標的にしている。

 賠償金を求める訴訟よりむしろ、多くの PFAS 物質による人の血液汚染によって引き起こされる健康影響を徹底的に調査し確認することを任務とする独立科学者委員会を創設させることをその訴訟は会社に求めている。そのような委員会は、ウェストバージニア州における早い時期の集団訴訟によって創設されたC8科学委員会に匹敵するものである。訴訟における両サイドからの弁護士によって承認された疫学者らによって監督されているその委員会は、精巣がん及び腎臓がんを含む、 PFOA 暴露に関連付けられるべき 6つの疾病を見つけた。

 ”現在、多くの PFAS 化学物質がこの国全土で人々の血液を汚染しているので、多くの PFAS 化学物質の影響の包括的で全国規模の調査を包含するC8科学委員会モデルにもとづき拡大することができるはずである”とビロットはプレスリリースの中で述べた。

 批評家的に言えば、C8科学委員会を生み出したその和解は、デュポンは裁判でC8科学委員会によって発見された関連に反対することができなかったことを明記しており、そのことは、会社に責任を問うことができる多くの判定をもたらすのに役立った。今日までにデュポンは、早い時期の PFOA 訴訟の結果として 10憶ドル(約1,000憶円)を超える賠償金を支払っている。新たな訴訟の主要な目標は、同様に拘束力のある全国調査を実施することである。

 ”希望は、関与する全ての人々に捧げる科学的答えを提供することにより PFAS 危機を解決することへの長い道のりを行くことにある”と、ビロットはインタビューの中で答えた。そうでなければ、終わりのない訴訟と科学の意味を問う戦いになる可能性がある。

 その訴訟についての問い合わせに対応して、3M社報道官は声明を e-メールで発表した。”我々はその訴訟について知っているが、その申し立てをレビューする機会をまだ得ていない。しかしながら、3M社は PFAS の製造と販売に関して責任ある行動をしてきたし、環境への責任を果たしてきた記録を積極的に守るであろう”。

 デュポンとケマーズはコメント要求に迅速に対応しなかった。

 米国有害物質疾病登録局は最近、産業汚染及び有害な消火用泡剤の使用を通じて飲料水を汚染している PFAS の健康影響の全国調査を開始したが、その結果は数年間は利用できないであろう。新たな全国集団訴訟は製造者に調査費用を負わせることになるであろう。

  ”PFAS 汚染によってもたらされる深刻な公衆健康の脅威に関して全土にわたり大変な脅威、不安、そして不確実性がある”とビロットは述べた。”この訴訟は、アメリカの納税者ではなく、実際に問題を起こした者により支払われる真に包括的で独立した科学に基づくプロセスを通じてこれらの懸念に目を向け解決するためのメカニズムを提供することができるであろう”。

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テフロン有害物質
 このシリーズでシャロン・ラーナーは、 PFOA 又はC8として知られる化学物質、及び PFOS 及び GenX のよう化合物に関連する健康への深刻な害についての数十年に及ぶデュポンの隠蔽を明らかにしている。


訳注:当研究会が紹介した関連情報



化学物質問題市民研究会
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