EnviroNews California 2017年6月28日
カリフォルニア州は、モンサント社にグリホサートは
発がん性物質であるとするラベルを表示させる

ダン・ズコウスキー
情報源:EnviroNews California, June 28, 2017
California Forces Monsanto to Label Glyphosate Products as Cancer Causing
by Dan Zukowski
http://www.environews.tv/062817-california-forces-
monsanto-label-glyphosate-products-cancer-causing/


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2017年7月6日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/usa/cal/EnviroNews_170628_
California_Forces_Monsanto_to_Label_Glyphosate_Products_as_Cancer_Causing.html

 カリフォルニア州は、人気のあるモンサント社の除草剤ラウンドアップの警告ラベルを求めるアメリカで初の州になった。そのラベルは、ラウンドアップの主要成分であるグリホサートは、”がんと先天性欠損、及びその他の生殖障害を引き起こすことがカリフォルニア州に知られている”と、記載することが求められるであろう。グリホサートのリスティングは2017年7月7日に発効し、ラベル警告は来年までに表示されなくてはならない。この発表は、同州の環境健康有害性評価局(Office of Environmental Health Hazard Assessment (OEHHA))によって、2017年6月26日になされた。

 カリフォルニア州は2015年9月4日に初めて、この化学物質をリストする意図があることを通知したが、その件でモンサント社により裁判に訴えられた。2017年3月に、カリフォルニア州最高裁判所はモンサント社を退ける判決を下し、同州は連邦控訴裁判所の審判が未決のまま、3月28日にグリホサートはリストされるであろうとする通知を出した。モンサント社の控訴は未決のままであるが、カリフォルニア州最高裁判所は、執行の先延ばしを求めるモンサント社の要求を却下して、同州がリスティングに向けて作業を開始することを許した。

 ロサンゼルス・タイムズによれば、グリホサートは同州で最も広く使用されている除草剤であり、400万エーカー(約160万km2)、200種の作物に散布されている。2015年に国際がん研究機関(IARC)はグリホサートを ”ヒトに対する発がん性がおそらくある (probably carcinogenic to humans) 2A” として分類した。報告書全文は2015年3月20日にランセットに発表されたが、そこでは、”グリホサートは、吸収を示しつつ、農業作業者の血液及び尿から検出されている”と述べている。その分析は、広く使用されているその除草剤の ”ヒトの発がん性に対する証拠は限定されている” と言及しているが、マウスに DNA 及び染色体の損傷、及び腫瘍の証拠を発見した。

 ”カリフォルニア州の決定は、同州を、がんを引き起こす農薬から人々を保護する米国の先導者と位置づけるものである”と、米国生物多様性センターの上席科学者であり、元がん研究者のネイサン・ドンリーは述べた。”米国 EPA は今、歩み寄り、世界で最も透明性があり、科学的根拠に基づく評価がグリホサートをがんに関連付けたことを認める必要がある”。

 2016年に EPA は、広範なレビューの中でその除草剤は”ヒトに対する発がん性はなさそうである”と結論付けた。その結論は、EPA の科学諮問委員会により、そして 2017年3月には欧州化学物質庁(ECHA)により確認された。しかしEPA 監察総監室 は元EPA担当官とモンサントの間に共謀がなかったかどうかを調査中である。

 米国食品医薬品局(FDA)もまた、現在、食品中のグリホサートの残留をテストしている。21人の医師と科学者らが署名した 2017年5月5日付けの書簡によれば、独立系の研究者らはその化学物質を、”米国とドイツの集団の尿中に広く検出し、またテストされたカナダの食品の30%からグリホサートを検出した”。

 その書簡は、”公衆はグリホサートの安全性を確信できるのか? 我々はそうは思わない”と、疑問を投げかけている。

 これとは別に、今週アーカンソー州が、作物に被害を及ぼすとする農民からの242通の訴えを受けて、モンサント社のもう一つの除草剤化合物、ジカンバの散布を禁止する方向に動いた。


訳注:グリホサートに関する議論まとめ
1.グリホサートの発がん性に関する議論
2.グリホサートの発がん性研究へのモンサントの関与の疑い
3.グリホサート認可に関する議論
4.ラウンドアップの有害性報告


化学物質問題市民研究会
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