サステイナブル・パルス 2016年3月22日
欧州議会環境委員会
グリホサート承認の更新に反対投票


情報源:Sustainable Pulse, Mar 22 2016
European Environment Committee Votes Against Glyphosate Renewal
http://sustainablepulse.com/2016/03/22/european-environment-committee-
votes-against-glyphosate-renewal/#.VvJQxI9OIdU


訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2016年3月24日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/ngo/
160322_SP_ENVI_Votes_Against_Glyphosate_Renewal.html

 欧州議会の環境公衆衛生食品安全委員会(ENVI)は3月22日(火曜日)に欧州委員会による除草剤’グリホサート’の承認の更新に公式に反対した。
 3月22日(火曜日)に投票にかけられ、この反対を ENVI メンバーの過半数が支持した(賛成 36、反対 6、棄権 18)。

 ENVI は次のように述べた。”多くの農場、森林、街中及び庭で使用されている除草剤グリホサートの発がん性及び内分泌かく乱特性について長い間、深刻な懸念が持たれており、欧州委員会はその承認を更新すべきではない。そうではなくて、欧州委員会は独立したレビューを委託し、また欧州食品安全機関(EFSA)(訳注1)がグリホサートの評価に使用したすべての科学的証拠を明らかにすべきである”。

 法的拘束力を持たないその決議は、EU執行部に新たな案を提出するよう求めている。欧州議会議員(MEPs)は、欧州委員会と欧州食品安全機関が”グリホサートを肯定的分類とした根拠及び提案された再承認の根拠となった全ての科学的証拠を直ちに明らかにすることを望んでいる。”

 決議のための動議はストラスブルグにおける欧州議会の4月11日〜14日の総会で投票にかけられるであろう。

 植物・動物・食品・飼料に関する常設委員会(植物医薬品部門)に参加している国の専門家らが5月に特定多数決方式(訳注2)により欧州委員会の提案を可決又は否決するために投票を行う。もし過半数に至らなければ欧州委員会の決定に従うことになる。

 決議の動議を起草した欧州議会議員パベル・ポック(S&D, CZ)は、”我々が議会の反対という手段に訴えなくてはならないという事実は、議論の過程で何かが間違っていることを示すものである”と、述べた。

 ”グリホサートは世界保健機関(WHO)により「ヒトに対する発がん性がおそらくある」と分類された ”(訳注3)。産業側はその物質は完全に代謝されると主張しているが、グリホサートの残留物質は、環境中に、我々が毎日消費する製品中に、そして我々の体内にと、どこにでも存在するということは明らかである”。

 ”欧州委員会によって提案されたグリホサートの15年間の再承認は、無責任であり、許容できない。グリホサートはヨーロッパで最も広く使用されている除草剤のひとつである。それは、我々の食品を、我々の水を、そして我々の環境を汚染することになる。この物質が人と動物の健康にとって危険であり、地下水や地表水の汚染のような有害な環境影響をもたらすことを示す多くの証拠がある”と、ENVI における GUE/NGL (訳注4)のコーディネータであるカテリーナ・コネクナはコメントした”。

 昨年、すでに再承認への反対を提案したオランダの GUE/NGL 会派議員アンジャ・ハゼカンプは、ENVI 委員会が GUE/NGL 会派の懸念を取り上げたことを喜んでいる。ハゼカンプは、欧州委員会が長期の新たな承認を提案している欧州委員会を強く批判している。”この提案で、欧州委員会は人間、動物、そして環境の健康を保護すること怠ることになる。加盟国と1億人以上の市民がすでに再承認について懸念を表明している。我々は、欧州委員会が我々の環境をさらに15年間汚染させることを止めさせるためにあらゆる手段を講じるであろう”と、ハゼカンプは述べた。

 最近の反対活動にかかわったドイツの GUE/NGL 会派議員ステファン・エックは次のように付け加えた。”グリホサートは、間違いなく動物に大きな健康リスクを引き起こす。国際がん研究機関(IARC:グリホサートに関する既存の全ての科学的研究を評価した)によれば、この除草剤を動物に対し発がん性があると定義するために十分な科学的証拠がある。人もまた、グリホサートの広範な使用により大きな健康リスクさらされている。この場合、予防原則が十分に尊敬されるべきである”。


訳注1
訳注2
特定多数決方式 - Wikipedia
特定多数決方式(Qualified Majority Voting/QMV)とは、一部の決議に対して欧州連合理事会が採用する投票の手続きである。この手続きでは、各構成国はあらかじめ決められた数の票を保持する。各国割り当ての票数は、おおよそその国の人口に従い定められているが、より小さな国が不利とならないよう漸進的に重みづけられている。

訳注3
Triple Pundit 2015年3月26日 モンサント ラウンドアップががんに関連するとする WHO の報告書を攻撃

訳注4
GUE/NGL News GUE/NGL, 22/03/2016, MEPs denounce glyphosate re-authorisation as irresponsible and unacceptable欧州統一左派・北方緑の左派同盟(GUE/NGL)プレスリリース 2016年3月22日 GUE/NGL 会派議員はグリホサート再承認を無責任で許容できないとして弾劾する)

訳注:当研究会が紹介したグリホサート関連情報



化学物質問題市民研究会
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