Phys.org 2016年7月11日
欧州連合はグリホサートの使用を
18か月の期間延長に制限


情報源:Phys.org, July 11, 2016
EU limits glyphosate use during 18-month extension
http://phys.org/news/2016-07-eu-limits-glyphosate-month-extension.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2016年7月19日
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http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/pesticides/
160711_Phys_EU_limits_glyphosate_use_during_18-month_extension.html

 除草剤グリホサートががんを引き起こすことができるかどうかに関する報告書が発表される前に、ブリュッセル(欧州委員会)が承認した提案を、EU 加盟国は月曜日(7月11日)に、その使用を18か月の期間延長に制限することを承認した。

 加盟国の専門家らは、グリホサートの収穫前使用(訳注1)の精査の厳格化や、この化学物質の公園や運動場のような場所での使用を最小化することなどの条件を付けたと EU の行政機関である欧州委員会は述べた。

 ”加盟国は本日、欧州連合におけるグリホサートの使用条件を制限するための欧州委員会による提案に賛成して採択した”と、欧州委員会の健康と食品安全担当の報道官エンリコ・ブリビオは記者会見で述べた。

 モンサントの除草剤ラウンドアップで初めて使用された世界で最も広く使用されている除草剤のひとつグリホサートの危険性に関して EU 加盟28か国で激しく意見が対立していたが、欧州委員会は、グリホサートの使用を18か月とする6月29日の承認と並行して、条件付きのこの提案を加盟国に対して行った。

 EU の国家規制当局は、必要な多数による採決(訳注2)に失敗した後、9年間のグリホサート使用の承認の決定を後回しにして遅らせてきた。

 主要なEU加盟国の中で、フランス(訳注3)とイタリアはグリホサートを再承認することに反対したが、ドイツは明確な意思決定を控えてきた。

 残りの加盟国が意思決定をしない状況で、欧州委員会は既存の承認を欧州化学物質庁(ECHA)による科学的研究の結論が利用可能となるまで、少なくとも2017年12月31日まで延長した。

 グリンピースにより率いられるグリホサートの反対派は、この化学物質は発がん性があるかもしれず、その成分の即座の禁止を求める世界保健機関の研究を指摘している。

 5月に WHO (世界保健機関) とFAO (国連食糧農業機関)の両方からの専門家により実施されたレビューは、”グリホサートは、食物を通じての暴露から人間に発がん性リスクを及ぼしそうにない”と述べた(訳注5)。

(AFP)


訳注1:グリーン・バーンダーン(収穫前雑草一掃)
訳注2
特定多数決方式 - Wikipedia
 特定多数決方式(Qualified Majority Voting/QMV)とは、一部の決議に対して欧州連合理事会が採用する投票の手続きである。この手続きでは、各構成国はあらかじめ決められた数の票を保持する。各国割り当ての票数は、おおよそその国の人口に従い定められているが、より小さな国が不利とならないよう漸進的に重みづけられている。

訳注3
EcoWatch 2016年4月6日 フランスは健康リスクのために除草剤グリホサートを禁止

訳注4
Triple Pundit 2015年3月26日 モンサント ラウンドアップががんに関連するとする WHO の報告書を攻撃

訳注5
ガーディアン 2016年5月17日 利益相反が疑われる FAO/WHO 委員会 グリホサートのがんリスクについて論争 アサー・ネスレン

訳注:グリホサート関連記事 まとめ


化学物質問題市民研究会
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