EurActiv 2017年5月31日
グリホサート認可のための科学的根拠が 新たな批判にさらされている 情報源:EurActiv, 31 May 2017 Scientific basis for glyphosate authorisation under renewed attack By Manon Flausch | EURACTIV.fr | translated by Samuel White http://www.euractiv.com/section/agriculture-food/news/ scientific-basis-for-glyphosate-authorisation-under-renewed-attack/ 訳:安間 武/化学物質問題市民研究会 http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/ 掲載日:2017年6月9日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/eu/eu/euractiv/ 170531_Scientific_basis_for_glyphosate_authorisation_under_renewed_attack.html 著名な毒性学者のクリストファー・ ポワティエは、EU のグリホサート調査の科学的品質が劣ると非難して、欧州委員会に書簡を送った。EURACTIV フランスが報告する。 土曜日(5月8日)に発出された欧州委員会委員長ジャン=クロード・ユンケル宛て書簡の中でポワティエは、世界で最も広く使用されている除草剤の、とりわけモンサントの除草剤ラウンドアップの活性成分であるグリホサートに関する科学的根拠に関して疑問を投げかけた。 食品中のグリホサートへの暴露は人間の健康を害さないとする欧州食品安全機関(EFSA)及び欧州化学物質庁(ECHA)の結論に従い、欧州委員会は今月の初めにこの化学物質をさらに10年間、再認可することを決定した(訳注1)。 これらの欧州機関により用いられ、発表されたデータを検証したこの科学者は、抜け落ちがあることを見つけて驚かされた。 ポワティエによれば、同機関はグリホサートへの暴露後に増大するがんの発症率を考慮しなかった。彼は全ての欠けているデータのリストを書簡に添付し、 EFSA と ECHA にそれらを検証し、その結論を修正するよう要請した。 ユンカーは個人的にはその書簡に回答しなかった。”もし、その書簡により提起された問題の大部分がグリホサートの科学的評価に関連しているなら、欧州委員会は EFSA と ECHA に対応するよう求めるであろう”と、EU 執行部の報道官アンカ・パドゥラルは述べた。現在、EU 機関のその評価を疑う理由はないというのが欧州委員会の意見であると彼女は付け加えた。 不完全な透明性 彼の書簡の中で数回、その科学者は両方の機関が彼らの結論を導き出すために使用したグリホサートに関するある量のデータを発表したことを歓迎した。しかし彼は、独立系の科学者らが、彼が不完全であると述べた両機関の作業を検証できるよう、全てのデータが入手可能となるようにしなくてはならないと強調した。 グリホサートに関するEUの決定は、NGOs と環境保護団体によってしばしば非難された。彼らの主要な批判は、除草剤に関する議論を覆い隠してきた透明性の欠如に関するものであった。 EU 機関がグリホサートの安全性の評価にモンサント社によって金が支払われた研究を使用したことを我々が知ったからには、疑問を提起ないわけにはいかない”と、社会主義者会派の議員、エリック・アンドリューとマーク・タラベラは述べた。 第一に、 EFSA 及び ECHA によって用いられた研究又はデータセットは何一つ公開されていない。これらの文書の選択が NGOs に示されたのは、一般大衆の怒りが起きた後である。 ”このことは、予防原則を適用すべきであるという我々の思いをますます強くさせるものである。その製品が有害ではないことが確かでない限り、我々はそれを使用するための認可を与えることはできない。我々の市民はモルモットではない”とタラベラ は述べた。 ホルモンかく乱 グリホサートに関連するリスクはその潜在的な発がん性だけではない。いくつかの研究はグリホサートが内分泌かく乱物質であり、生殖周期、不妊、及び胎児の発達に影響を及ぼすことを発見した。 フランスの前保健大臣マリソル・トゥーレーヌにとって、とるべき行動は明白であった。2016年5月、彼女は、”グリホサートが発がん性物質であろうとなかろうと、・・・我々が見たその研究はそれが内分泌かく乱物質であることを示していた”。 内分泌かく乱物質として認定することに関して欧州委員会により最近提案された規則は、非常に範囲が狭く、短期間だけに焦点を当てていると考える環境団体から再び多くの非難を浴びることとなった。 ”私は、EFSA レビューの他の毒性(例えば生殖毒性や内分泌かく乱性)に対してもまた、不適切な評価が行われているかもしれない”と、ポワティエは書いている。”産業側から金の出ている科学的証拠は外部の科学者に入手可能ではないので、私はこれらのデータを評価し、検出を免れた否定しがたい発見があるのかどうか決定することができない。私は、外部の分析とレビューのためにこれらのデータもまた公開するよう強く要請する”。 背景 欧州食品安全機関(EFSA)は、2015年11月に、グリホサートはヒトにがんを引き起こしそうにないと述べ、人の消費に安全と見なせるその除草剤の残留量に関してより高い制限値を提案した。 EFSA は EU の政策策定者に助言を与え、その結論は、欧州連合 28 加盟国が 1970年代にモンサントにより用いられるようになり、世界中で他の多くの除草剤ではもちろんり、売り上げ最高の製品であるラウンドアップの中で用いられているグリホサートの承認を更新する道を整えることが期待された。 環境団体は、世界保健機関の一部である国際がん研究機関(IARC)が2015年3月にグリホサートは” ヒトに対する発がん性がおそらくある(probably carcinogenic to humans)(訳注:クラス 2A)”と分類した後、その禁止を求めている。 キャンペーン・グループは欧州連合がグリホサートの再承認を更なる評価がなされるまで延期するよう求める要請書に 140万の人々が署名したと述べた。 EFSA は徹底的な分析を行い、IARC の発見を考慮したと述べた。グリーンピースは、EFSA の報告書を whitewash(欠点などを隠すための体裁のいいごまかし)と呼んだ。 訳注1:グリホサート 再認可 計画
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