独言 2004年7月


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2004/07/31(土)

●『文化史的にみた英語史』(ちなみに、この本は翻訳書で、 原著は『A Cultural History of the English Language』)を約30ページまで読んだが、 まだ全体の7分の1程度、やはり期限内読了は難しくなってきた。 当たり前だが、英語史の本なんで当然英国史に関わる歴史的人物名や歴史的出来事などの記述もあるが、 この本は、それを説明するのが目的の本ではないし、 英語圏の人や、この本の読者層には常識的なことでもあるのだろう、 いちいち人物・出来事等、全部細かく説明してくれているわけでないので、 先に『図説 イギリスの歴史』を読んでおいたのはよかった。 付け焼刃でまだまだ少ない英国史知識とはいえ、 本書の理解や読む速度の助けにはなってくれている。

●サッカーアジアカップ、ヨルダン戦、1-1、PK戦で薄氷の勝利。 川口の大活躍は素晴らしすぎ。 PK戦で、何度もう駄目かと思ったことか。 中村俊輔・アレックスが外しとき。 相手は3人連続成功したとき。 そこから、同点サドンデスになった歓喜もつかのま、 中澤が外してしまったとき。 このときは、流石に勝利の女神は逃げていったと思ったが、 なんとなんと、またまた追いつき、 そして、本当の歓喜の瞬間を迎える。 やっぱりサッカーって素晴らしい。 今日の劇的な幕切れを糧にして、 この大会優勝して欲しい。

とはいえ、 前の試合で、先発選手たちを休ませなかった代償は、 今日の試合見る限りでは、やはり大きかったように思うし、 ジーコの起用法だとおそらく次もほぼ同じ先発メンバーでいくだろうから、 120分戦った上にまたまた中2日での次戦、 楽な試合にはならないだろうなぁ。

2004/07/30(金)

●伊藤盡氏のエルフ語入門書、 『指輪物語 エルフ語を読む』の案内が出版元、 青春出版社の公式ページに掲載されていた。 案内によると「初版年月日:2004年8月15日」とのこと。楽しみだぁ。

2004/07/29(木)

●『図説 イギリスの歴史』(指 昭博著 河出書房新社)読了。英国の歴史面白い。 英国史だけが書かれた本を読むのが初めてだった僕には、 この本の歴史記述の質の良否の判断はつかないが、少なくとも、 借りたときの期待通り、読みやすくて手早く歴史を追うことができた。 英国史への興味は増したので、 できるだけ近いうちに、もっと本格的な英国史の本も読みたい。

図版の配置が関連記述より前のページにあることが多くて、 いちいちページを戻らないといけない、 突然出てくる英国と関連地域の地名や位置関係が、 この本だけでは分からないことがあり、図版に地図がもっとあればいいと思った、 英国史初心者には分からない用語が説明無しで出てくることが幾つかあった、 索引が人名によるものしかないのは不便、 といった短所と思える点も上げることができるが、 長く複雑でもある英国の歴史を、 多くの図版を入れながらも約150頁に、すっきりまとめてくれていることが、 短所を補う長所だろう。 図版は地図等実用的なものの割合が少ないことは悪い面ばかりでなく、 その代わり、 美しい絵画や建築物、面白い風刺画といった芸術面で楽しめる図版は多かった。

これで図書館から借りている5冊のうち未読は、 『文化史的にみた英語史』のみだが、返却期限まで後数日しかないので、読みきれるかどうか微妙。

2004/07/28(水)

●サッカーアジアカップ、イラン戦、0-0。 結局ジーコは先発選手を変えなかったし、交代枠も本山しか使わなかったなぁ。 その点は個人的な不満と、今後の選手達のコンディションへ不安が残ったけれど、 コンディションや状況を考えると、今日の試合内容自体には不満は特になし。 高温と厳しい日程に耐え、狡猾なところも見せながらの、首位追加よかった。 選手たち、暑さと疲労からだろう、攻撃は、流石に足が一歩出なかったり、 切れに欠けるようには見えたけど、よく守りきってくれました。 イランが攻めてこなくなると、ブーイングにまどわされず、 後ろでボールをゆっくりまわしたのも、当然のセオリーでしょうが、 選手たちの落ち着き頼もしかった。ただ、 これは素人考えかもしれませんが、選手起用には不満ありで、 今日は小笠原・松田・藤田・三浦アツ・中田浩二ら、 ここまでベンチスタートのメンバーを有効的に使って、 選手のコンディション対策を首脳陣にはやって欲しかった。 先発選手たちの多くが、試合が進むにつれ徐々に足が止まっていたこと、 ここまで他の選手より出場時間の短い本山が、 今日も途中出場でいい仕事をしていたことを考えれば、 フレッシュな選手を多く入れた方が楽に試合が出来たように思うし、 今後の日程や、ベンチメンバーのモチベーション維持を考えても、 よかったと思うんだけどなぁ。 以上、素人の勝手な意見終わり。

2004/07/24(土)

07/07の独言で書いた、 伊藤盡氏のエルフ語入門書、 jbookの新刊案内にあった発売日は今日だったが、 どうやらまだ出ていないようだ。 ある個人サイトで8月発売という情報も見かけたのだが、 公式的な予定日なのかどうかは不明。

●サッカーアジアカップ、タイ戦、4-1。 セットプレー以外での見せ場が少なく、 攻撃面での不安が解消されたわけではないが、 早々と決勝トーナメント進出を決められたのはよかった。 次戦はできるだけ選手を休ませてほしいが、 ジーコ監督がそういう現実的な選手起用できるかどうかに注目。 それにしても中国観客からの日本代表への攻撃的なブーイングが凄まじい。 中継や一般メディアでは、 判官びいきだとか、強いから憎まれると言った、 白々しい奇麗事を並べて解説しているところがほとんどだが、 あれは明らかにそれだけのものではないだろう。 中国、重慶という土地での日本と中国の間の歴史的事実等を知らない人間であっても、 画面を通して何かきな臭い物を感じるんじゃないだろうか。 メディアが反日感情の背景と、現実に今あの会場周辺で、 おきていることを知らないはずはない。 日本代表選手や日本サポーターへの実害もあるようだ

2004/07/23(金)

●『マザーグースと絵本の世界』で読んで、興味を持った、 「ウォルター・クレイン」「ランドルフ・コルデコット」「ケイト・グリーナウェイ」の絵本を少しだが、 オンラインで見られる日本語サイトを発見。国際子ども図書館のサイト内の絵本は舞台。 『マザーグースと絵本の世界』にも掲載されていた、 コルデコットの Hey Diddle Diddle が全ページ見られるのが嬉しい。 ケイト・グリーナウェイは、『窓の下』の一部を見られるのだが、 一番見たかった『ハメルンの笛吹き』は残念ながら、表紙画像のみだった。 ビアトリクス・ポターのお気に入りで影響を与えたと言われている、 コルデコットの『かえるの求婚』(前記サイトでは、『カエルくん 恋を探しに』と訳題)も表紙画像のみ。

2004/07/22(木)

●『英米児童文学史』所収の、 瀬田貞二氏による「英米児童文学を日本はどうとりいれたか」。 江戸時代、明治時代から、本書が出版された1971年当時までの、 英米児童文学の日本への紹介・翻訳の歴史を、 瀬田さんの名文名調子で教えてくれる。おそらく実際に読むと、 文体等が古すぎて読むのがつらいであろう、明治時代の名訳なども、 瀬田さんの絶妙な紹介文を読んでいると無性に読みたくなる。 著作権が切れているものについて、 ネットを探してみると、 瀬田氏が「この訳業が大きな意義を持つのは、新鮮な作品選出と新鮮な訳出表現とにあって、 今日もその鮮度を変えていないためである。」などと紹介している、 バーネットの『小公子』の若松賤子訳は『小公子』の部屋という素晴らしいサイトがあり、そこで読めるのを見つけることができたので、 時間が出来たら読んでみたい。 瀬田氏が「戦後のアリス諸訳とくらべても、この芥川・菊池訳のリズムをこえるものは少なかろうと思われる。」などと紹介している、 昭和初期の芥川龍之介・菊池寛訳による『不思議の国アリス』(実際の訳題は『アリス物語』)は、 数ヶ月前に、 ルイス・キャロルのアリスの日本語翻訳史と翻訳論を扱った、 『翻訳の国の「アリス」』という本を図書館で借りて読んでいたこともあって(とても面白い本です)、 興味惹かれネットで読めないか探してみたが、 残念ながらこちらは今のところないようだった。

石井桃子さんがA.A.ミルンの傑作『クマのプーさん』に出会ったときのエピソードは、 あとがきや随筆で読め、その石井桃子さんの文章はとても心に響くものですが、 「英米児童文学を日本はどうとりいれたか」の中での、 石井さんの随筆からの引用に続く瀬田さんの文章もまた素晴らしい。

それが、いままで日本によく紹介されたことのなかったファンタジーの世界であるとは、 石井はその時意識しなかっただろうが、小さい聞き手とともに、 未知の喜ばしい世界へはいった感動は、石井のみずみずしい感情に深く残った。 そして、それは、ほとんど創作といいたいほど内発的な共感をくぐって、 しなやかな翻訳を生み、戦後もいく度か版を新たにして、今日私たちの前に生きている。 今日の新しい児童文学の作家のほとんどが石井訳のプーの洗礼を受けてから生まれたことを考えれば、 この本の誕生を革命と読んで過ちでなかろう。

『英米児童文学史』 (瀬田貞二・猪熊葉子・神宮輝夫 共著 研究社) 所収、瀬田貞二「英米児童文学を日本はどうとりいれたか」より引用

この文章と、その後で語られる、石井桃子さんが、戦前の、 中野好夫訳『たのしい川べ』、 井伏鱒二訳『ドリトル先生』の翻訳で、 果たした大きな役割(ちなみに、 ドリトル先生の翻訳のいきさつについては、 松岡正剛氏の書評サイトの『千夜千冊「ドリトル先生アフリカゆき」』に上手くまとめられているので一見あれ)や、 石井さんが編集主任を務めた戦後の岩波少年文庫発刊の過程などを読むと、 この現役の名翻訳家が、 戦後の児童文学とファンタジーの翻訳の目覚しい発展において、 革命者の役割を果たしたことが改めてよく分かった。 その石井さんらとともに、戦後児童文学界で、 大きな仕事を数多くした功労者の瀬田さんの言葉は、 自らの業績に多くは触れぬ謙虚さを持ち合わせつつも、重みがある。

ここまで、児童文学について知ったふうに書いてしまったので、 僕自身は子供の頃、児童文学分野を早めに読むことをやめてしまった為、 読んだ数自体少なく、読んだものもよく覚えていなかったりして、 最近になってその奥深さを知り、少しずつ読みはじめた人間だということを、 以前の独言でも書いたかもしれないが、改めて付け加えておきます。 児童文学について僕が知っていることは、乏しい。 石井桃子さんについても、 瀬田氏の著作等でその仕事の凄さをある程度知ってはいたものの、 実際には今年になってようやく、インタビューや、 膨大な数の訳書と随筆の中の極々一部を読み出し、 遅ればせながら、 素晴らしい仕事をしてきた人であることを実感したばかりだ。

2004/07/21(水)

●この独言で、7/18〜昨日までの日付表記が1日ずれてしまっていた・・・訂正。

●図書館から借りてきて読了した、 『マザーグースと絵本の世界』(夏目康子著 岩崎美術社)について簡単に紹介を。 書名にあるよう、 マザーグース絵本を数多く紹介してある本ですが、 子供向けの絵がたくさんついた本だけではなく、 挿し絵が時折挿入されているだけの文字中心の本からの絵や、 その本自体の紹介も多く含まれています。 二部構成になっていて、 「第1部 マザーグースの唄と挿し絵」では、 章ごとに代表的な唄をあげ、 その唄自体と、つけられてきた絵について、歴史や解説が書かれています。 「第2部 マザーグースの本の歴史」では、 18世紀〜現代に至るマザーグース本の歴史について、 18〜19世紀の廉価本であるチャップブックについて、 ヴィクトリア朝時代の代表的な挿絵画家達について、 18〜20世紀の三大集成について、 等が書かれています。

ここまでの紹介の通り、 絵を中心にして、結構広いテーマを扱った本ですが、 紹介する唄の数を絞ってることが良いのでしょう、 また、各テーマの風呂敷を必要以上に広げすぎてもおらず上手くまとめてあるので、 どのテーマも特に消化不良や中途半端にはなっていないと思いますし、 好著です。

この本、文章も面白いのですが、 なんといっても最大の魅力は、 綺麗な絵や面白い絵をたくさん見られることです。 18世紀の素朴な版画から、 19世紀ヴィクトリア朝時代を代表する 「ウォルター・クレイン」「ランドルフ・コルデコット」「ケイト・グリーナウェイ」の絵、 そしてセンダックら現代を代表する絵本画家の絵まで、 これだけ様々な画家達の絵を、 一望できるマザーグース本は珍しいのではないでしょうか。 以前読んだ、2003/03/08の独言などで紹介したことのある、 『マザー・グースの唄 イギリスの伝承童謡』(平野敬一著 中公新書)も、とても面白いマザーグース解説書でしたが、 文字中心で絵についてはほとんど書かれていなかったですし、 マザーグースの絵本も、これまで少ししか見たことがなかったので、 掲載されている絵は、ほとんどはじめて見るものばかりで楽しめましたし、 平野さんの本にも書かれていて既に知っていたようなことでも、 絵から話しが広がるこの本では、 違った視点で新鮮に読むことができました。 とても満足できる本でしたが、 しいて不満な点をあげると、 紹介されている絵の良さゆえの不満ですが、 カラーページが30ページ程で、 本書収録の全ての彩色画が、 そのカラーページで紹介されているわけではなくモノクロページで紹介されていることもあるので、 この絵もカラーページで見たかったなぁと思わせる絵が何枚かあったことでしょうか。

2004/07/20(火)

●『マザーグースと絵本の世界』読了したので、 『英米児童文学史』を少し読み始める。 最初の章は瀬田貞二氏の「英米児童文学を日本はどうとりいれたか?」。

●『マザーグースと絵本の世界』から仕入れたネタをひとつ紹介。 まずは、 有名な「6ペンスの歌を歌おう (Sing a song of sixpence)」の、 現在一般的に伝わっている形を引用。

Sing a song of sixpence,
A pocket full of rye;
Four and twenty blackbirds,
Baked in a pie.

When the pie was opened,
The birds began to sing;
Was not that a dainty dish,
To set before the king?

The king was in his counting-house,
Counting out his money;
The queen was in the parlour,
Eating bread and honey.

The maid was in the garden,
Hanging out the clothes,
There came a little blackbird,
And snapped off her nose.

引用のように、普通、最後は、 メイドがクロウタドリに鼻を噛み取られてしまうという、 滑稽でもありブラック入った終わり方だが、 旧い文献だと続きが付け加えられていることもあり、 医者や別の鳥に鼻をくっつけてもらったり、 あるいは、 1843年の『イングランドの童謡 (The Nursery Rhymes of England)』の第2版以降のように、 ブラックさに拍車が掛かった最後になっている場合もある。

Jenny was so mad,
She didn't know what to do;
She put her finger in her ear,
And crackt it right in two.

以下は、『マザーグースと絵本の世界』での夏目康子さんによる訳。

ジェニーはとても怒っていたので、
どうしたらよいのかわからなかった。
彼女は指を自分の耳に入れて、
それをまっぷたつにさいてしまった。

これはもう、ブラックというよりサイコ・ホラーの世界。 夏目さんは so mad を「とても怒って」と訳しているけど、 どうしても別の意味に取れてしまう。 気の弱い子供なら泣き出しそうで、そんな子供ならずとも、 大人でも引いちゃいそうな、このラスト、 流石に後世まで残ることはなかったようだが、 編者のハリウェルが『イングランドの童謡』に収録したくなったのも理解できる気がする、 独特の魅力を持った終わり方ではある。

●サッカー日本代表の、アジアカップ初戦、 オマーン相手に1−0の辛勝。 一方的に攻められるシーン多々ありで、 一歩間違えれば、負けてもおかしくなかったかも。 中村のゴールはビューティフルだったけれど、 前回のこの大会初戦で、中東の強豪サウジ相手に圧勝し、 アジアでは頭を抜け出そうとしているように見えた、 日本代表の面影はそこにはなかった。 いくら中田・小野・稲本・久保といった主力級が抜けているからとはいえ、 ワールドカップ1次予選でも戦っている相手にこの試合っぷり、 大丈夫なのかジーコ・ジャパン? 理由は、暑さのせいだけ? 第2戦では、安心させて欲しい。

2004/07/19(月)

●NHK教育で『鏡の国のアリス』のテレビムービーをやっていた。 前に『不思議の国のアリス』のテレビムービーを同チャンネルでやっていて、 それは正直出来が悪いと思い途中で観るのやめたんだけど、 今回のは、シーンごとに出来に差を感じたりはして、 手放しに絶賛というほどではないが、 最後までまずます面白く観れた。 調べると、前回の『不思議の国のアリス』は1999年のアメリカ製作、 今回の『鏡の国のアリス』は1998年の英国製作で、 流石にアリスの本家英国の面目躍如ってとこかな。

大人の女優がアリスを演じるという、捻った趣向になっていて、 その点はキャロル関係の掲示板を覗くと否定的な意見も見受けられた。 僕は特に否定的には感じず、 大人の女性が、精神は子供に戻ってアリス世界を旅するというのも、 ひとつの面白い試みだと思う。

トゥィードルディーとトゥィードルダムの出てくるシーンが、 結構気に入った。軽快な音楽に合わせて、しゃべりまくる二人を、 テンポのよい演出で見せてくれる。 逆に、ハンプティー・ダンプティーのシーンは、ちょっと物足りず、 もっと彼に喋らせて欲しかった(ひょっとしたら吹き替えの問題かもしれないが)。 彼がそんなに嫌な奴には見えなかった。

嫌な奴といえば、 「かつらをかぶった雀蜂」と呼ばれる、 挿絵画家テニエルの進言をキャロルが聞き入れてカットされ、 原作には入っていないエピソードを、 映像化しているのが意欲的な試みだ。 ただ、この「かつらをかぶった雀蜂」、 それだけ取り出して読むとなかなか面白く興味深くもあるのだが、 こうして話しの流れの中で挿入されて見せられると、 やはりテニエルの進言は正しかったのではないかと感じさせられもする。 老いという点で白の騎士(このテレビムービーでは、イアン・ホルムが演じている)に、 嫌味なキャラということでハンプティー・ダンプティーに、 被ってしまうので、余分に感じられるのだ。 「かつらをかぶった雀蜂」のエピソードを挿入するより、 もっとハンプティー・ダンプティーのシーンを長くするとか、 この映像化ではカットされたアリスが名前を忘れ鹿と出会うシーンを挿入した方が、 よかったように感じる。

ジャバウォックの話しが出ると、 ジャバウォックの絵は見せずに画面の流れ方が変わり、 それっぽいサウンドで盛り上げる映像演出は巧いと思う。 森で気配を感じたアリスが逃げるというプチホラータッチ演出もあったり。 ハンプティ・ダンプティがジャバウォックの詩を解説するところで、 少年がジャバウォック退治するシーンが挿入され、 そこではじめて姿を見せるが、全身はっきりは見せないのがよかった。 他のシーンのぬいぐるみとか見る限り、 テニエル挿絵みたくジャバウォックの全身くっきり見せちゃうと、 低予算ドラマなりのちゃちな怪獣映画みたいな画面になってたように思うが、 実際には頭ぐらいしか見せないんで、結構いい感じに仕上がっていた。

2004/07/18(日)

●この週末、読書時間がそれほど取れなかったので、 『マザーグースと絵本の世界』を、まだ読了できていないが、面白い。以前、 2003/02/222003/02/232003/03/08、などの独言にも書いたけど、 マザーグース自体が面白いものだし、 この本に書かれている、 代表的な歌とマザーグース本の歴史、 これまでマザーグースにつけられてきた多くの絵の紹介と考察は、 とても興味深いものです。 この本の詳しい感想は、読み終えてから後日書く予定(・・・予定は未定)。

2004/07/15(木)

●『児童文学最終講義』では、トールキン教授に直接教えてもらったエピソードとともに、 教授のファンタジー論『妖精物語について』が猪熊さんに大きな影響を与えたことも書かれていて (ちなみに、本書で、サブタイトルも含めて、何度も出てくる言葉「しあわせな大詰め」というのは、 『妖精物語について』の中での教授の造語、'Eucatastrophe' 〜 en [よい] と catastrophe [大詰め] からなる 〜 を猪熊さんが訳した言葉です)、そのこともあって、 『妖精物語について − ファンタジーの世界』を読み返したくなり、序文と『妖精物語とは何か』の最初の章の途中までを読む。 奥深く、再読でも新鮮に興味深く読める論文で、 このままずっとじっくりと噛締めるように読み続けたいとも思ったけど、 そうしていると図書館から借りてる本が期限内に読めなくなってしまいそうなので、 後ろ髪引かれながら中断し、 『マザーグースと絵本の世界』を就寝前に読む。面白い。とはいえ眠気には勝てなくなり、少し読んだだけで、眠りの世界に。 感想は、読み終えてから後日にでも。

2004/07/14(水)

●猪熊葉子さんが、白百合女子大学の児童文学科の教授を退任される際に行った、 講義に加筆し注釈を加えた本、 『児童文学最終講義 - しあわせな大詰めを求めて』読了。 読みやすくて、面白い内容で、 長さも注釈と著作リストを含めて全部で140頁ほどなので、 一気に読めました。 本書の講義は、新しい理論にも言及した、興味深い児童文学論であり、 その実例として猪熊さん自身の人生と児童文学の関わりが、 時に赤裸々に語られ、興味深い自伝を読んでいるようでもあります。 猪熊さんは、 両親の不仲や自らの背の高さへのコンプレックスから不幸だと感じていた少女時代のことや、 母親(高名な歌人の、葛原妙子さん)との間の確執などを吐露しながら、 児童文学の《しあわせな大詰め》に不幸な少女が癒され、 青年期に児童文学の面白さを再発見することで人生を方向付けられたといったことなどを語る、 その覚悟ある言葉は胸に迫ります。

多々、感銘するところのあった『児童文学最終講義』ですが、 ひとつ、頭では理解できても、 心から理解することが僕にはできなかったところもありました。 それは猪熊さんがカトリックについて語る部分でした。 猪熊さんは、なぜカトリックとなったのか、 カトリックになることで得られたものを、 非常に明確に語られていますから、 頭では理解できます。 とはいえ、そういう信仰心とは縁遠い僕には、 心からの理解が難しいのは仕方ないことなのでしょう。

●録画していた、 『ウォーターボーイズ2』の2話目を見る。 07/06(火)の独言に書いたように、1話目が意外に面白かったので、 2話目は期待して見たのですが、 今回は正直期待はずれ。このドラマが、 登場する高校生たちの成長物語なのは当然でそれを期待するわけですが、 今回は、その成長するシーンが唐突すぎて冷めてしまうものでした。 もっと、じっくり成長を描いて欲しい。

2004/07/13(火)

●久しぶりに図書館に立ち寄ったのですが、 つい5冊も借りてしまいました。 読みたい本が次々と見つかるので5冊に絞るのも大変だったのですが、 読むのに時間かかりそうな本もあるので、 まともに全部読んでいると、期限の3週間で読みきるのは厳しいかも。 斜め読み、飛ばし読みする本を決めないといけないかな。借りた本は以下です。

The Lord of the Rings [Illustrated by Alan Lee]の紹介ページの関連リンク欄に、 9月発売予定の、The Lord of the Rings: Portfolio についての記述を追加した。 このアラン・リーの絵が好きな人なら要注目の本、 2年ぐらい前から出版がアナウンスされていながら、 発売日が延期続きで、なかなか出版されることがなかったのですが、 9月には本当に出るのだろうか?

2004/07/11(日)

●今年で最後かもしれない、セリーグvsパリーグによるオールスター、ザッピングしながら、 少し見る。 新庄は特に好きな選手だというわけではなかったけれど、 今日のプレイぶりは最高だったなぁ。ホームスチールには驚いた。 一方、ナベツネら一部の独断専行オーナーが作ったシナリオによる、 茶番な1リーグ化は最低。 既に、将来8チーム化にするシナリオが決まっているとでも言いたげな、 ナベツネらの発言も酷い。 巨人戦という餌に釣られて、 ナベツネに尻尾ふる球団がいるようだが、 今や、人気もテレビの視聴率も急速に落ちている巨人にすがったところで、 共倒れする未来しか待ってないのじゃないのか? 旧態依然で排他的で、一部オーナーの横暴が罷り通る、 球界の体質を改革しないままで、 安直に1リーグ化することが良いとは思えない。

2004/07/10(土)

ジョン・ハウ(John Howe)の公式ページを、 かなり久しぶりに覗いたら、 Portfolio コーナーの絵の充実ぶりがすごかった。 前覗いたときも充実してましたが、より一層の充実ぶり。 それにしても、あれだけの数の絵を惜しげもなくインターネットで公開とは、 John Howe 太っ腹だなぁ。 John Howe の画集の売れ行きに影響出るんじゃないだろうかと、 心配になるぐらい。

2004/07/09(金)

●『奥様は魔女』、今週放送分の1本は、 魔女であるサマンサは、人間のようには年を取らないことをダーリンが知って悩む話し。 自分が老いても、若い姿のままであろうサマンサとの、将来のことで思い悩むダーリン。 この回も、コメディーとして30分笑わせてくれるスタンスはいつもどおりで、 ラストはお約束のダーリンとサマンサがキスするハッピーエンドで終わる。 とはいえ、 この年の取り方の差の問題、この物語世界の設定では避けては通れないシビアな問題だ。 二人の将来に哀しい物語も想像できてしまう。 ダーリンが亡くなった後の世界に、さして年を取らぬまま残されるサマンサは、 その後どのように生きていくのだろう。

2004/07/07(水)

●指輪系サイトの掲示板をつらつら覗いていると、 伊藤盡氏のエルフ語解説本〜『「指輪物語」エルフ語を読む 』〜が今月出る予定いう嬉しい話を見かけた。これは絶対、買わなければ。 検索したら、jbookの新刊案内にも載っているし確かな情報だ。但し、出版社のページにはまだ情報が無かったし、発売が遅れるという可能性はあるけど。 伊藤盡氏は、中世英語・北欧語の専門家で、 トールキンとエルフ語にも造詣深く、 映画LotRの日本公開版でのエルフ語指導や、 「指輪物語 フロドの旅」の翻訳などをされた方です。

●エルフ語の本といえば、洋書の既刊では、 『An Introduction to Elvish』が有名ですが(僕はまだ未購入)、 注目すべき本が出版されるようで、 著者が映画LOTR三部作でエルフ語の考証を務めた方な、 『A Gateway To Sindarin: A Grammar of an Elvish Language from J. R. R. Tolkien's Lord of the Rings』で、 興味惹かれます。でも、定価 $49.95と、結構いい値段ですね。 今年は、映画効果に加えLotR出版50周年ということもあるのでしょうか、 洋書のトールキン関連書は出版ラッシュですが、 この本が出る時期も、50周年記念版のLotRなど、興味惹かれる本が目白押しで、 薄い財布の紐をどの本に緩めるか悩みどころ。

2004/07/06(火)

●TVドラマネタばっかり続いていますが、 またまた懲りずにドラマの話題。 『ウォーターボーイズ2』、 特に何の期待もせずに、ながら視聴しようと、 つけていたんですが、結構面白かったです。 こういう素直に青春しているドラマも、たまに観ると、いいですねぇ。 ところで、このドラマ、元女子高で男子が虐げられている高校に転向してきた少年が、 その学校で出来た友人達とともに、新しく男子シンクロ部を立ち上げるというお話しでして、 少年に反発する同級生のヒロインの少女とは、母屋と離れに住むことになる。 この設定から、 昔懐かしい森田健作の青春ドラマ『おれは男だ』を思い起こされました。 『おれは男だ』小さい頃再放送で見て以来なので、 余り詳しくは覚えていないのですが、 女性上位の元女子高の「青葉高校」に転向してきた森田健作が、剣道部を立ち上げ、 隣の家に住むヒロインらと対立したりしながら、 繰り広げられる学園青春ドラマでした。 ウォーターボーイズ2との似ている点は前述の設定ぐらいでしょうし、 ストーリー展開自体は全然異なりますが、 ウォーターボーイズ2の主人公の少年が転向する前の学校名が、 「青葉高校」なんで、製作者は設定考えるときに、 『おれは男だ』はオマージュとして意識していたのかも。

2004/07/04(日)

●ドラマといえば、土曜深夜(というより日曜早朝)にテレビ大阪(テレビ東京系)で、 放送していた『ヴァンパイア・ホスト』が、最終回だった。 やってる時間が遅いんで見ている人少ないかもしれませんが (特に関西は午前3:40分なんてとんでもない時間だった為、 やってることに気づいた人自体が少ないでしょうが)、 これが意外な掘り出し物というか、 『ヴァンパイア・ホスト』って題名からは何の期待もせずに、 深夜起きてたときにつけたテレビで、 1回目を観たらこれが結構、面白くて嵌っちゃいました。 レンタルビデオとDVDが出るらしいんで、放送を未見の人は、出たら一見お奨めです。 現代に生きる吸血鬼〜普段は万年ナンバー2のホスト稼業で生計を建て、 血は吸わず(店で唯一正体を知る店長から、どこからか入手した血のパックを与えてもらっている)、 餃子が大好き〜が、ある事件がきっかけで知り合った女子高生と喧嘩をしながら一緒に、 様々なオカルトな事件のトリックを暴き解決していくストーリー(30分ドラマで、2話完結)。 最初見たとき、トリックや堤演出を彷彿させる作品だなぁと思っていたら、 ケイゾクやトリックの脚本家や演出家、カメラマンなどが、 参加して作っていたそうで、彷彿させるのも、 深夜ドラマとしては高いクオリティーも頷けました。 最終回のラストは如何様にも取れる終わり方でしたが、 監督の大根 仁氏の日記によると、 意図的にそうしたそうです。 曖昧より、ぴしっとした終わり方の方が僕は好きだけど、 これはこれで悪くない終わり方だったと思い不満はない。 3ヶ月間楽しませてもらった。 大根氏は、Part2作りたいとのことなんで、期待。 『ヴァンパイア・ホスト』の前クールにやっていた、 『エコエコアザラク』も、 結構面白かったですし、 放送中の1話完結の『ウルトラQ』も回によって差は感じるものの、 概ね面白く、たまに見逃しますが楽しみに観てます。 今、テレビ東京系深夜の30分ドラマが侮れませんよ。

2004/07/03(土)

トールキンサイトの赤龍館さんを覗くと、 「『ホビットの冒険』『指輪物語』『シルマリルの物語』『終わらざりし物語』の表記比較」という資料が新たに、 アップされていました。 いつも貴重な内容の資料を作ってくださり、 トールキンファンとして非常に有難い、赤龍館さんですが、 今回の表記比較も素晴らしいです。 訳本ごとの表記の違いを知りたいとき一目瞭然で、滅茶苦茶便利です。 それにしても、あんな膨大な量の固有名詞を、調べてまとめるなんて、凄すぎるなぁ。

2004/07/02(金)

●最近、関西では木曜深夜に、地上波の毎日放送で、子供の頃何度も再放送で見ていた、 懐かしい海外ドラマ『奥様は魔女』の放送がはじまった。 少し前にも違う時間帯で、特選集という形で何話か放送があったのだが、おそらく好評だったのだろう、 その時放送した回を除いての、第1シーズンから、週に2話ずつの再放送になっている。 その第1シーズンは日本ではたった1度しか放映されなかったらしいから、 多分僕は見たことがないと思う。 それにしても40年も前のドラマだというのに、その面白さの古びなさはすごい。 ストーリーがとてもよく出来ているのだ。 今週放送のうちの一本は、サマンサが猫に化けて見ていると思い込んだダーリンが、 猫の前で誘惑にのらないようジタバタドタバタする話しで、 ただの猫をサマンサだと思って話しかけたり、慌てたり、謝ったりするダーリンがとにかく面白い。 これから見ようとしている人がいるといけないので、詳しくは書かないが、 ラストもとてもしゃれている。 サマンサが魔法を使わないという、変化球の回だが、 本当に魔法を使えるということが勘違いを生み出すので、魔法使い物の面白さを失っておらず、 実に巧い変化球だった。


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