独言 2003年2月


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2003/02/28(金)

●随分前に作りかけたままほったらかしていた、 「Perl関連書籍紹介」を、 一応完成させておこうと思いたち、少しずつ触っています。 そこの、 「プログラミングPerl 第3版」紹介文でも、 書いたのですが、この本の中には、トールキンファンなら思わずにやりとできる個所が幾つかあります。 その中でにやりを通り越えて、僕が思わず笑っちゃったのは、「正規表現」の章にあるサンプルコード。 鉄拳のネタ風に言えば、「こんな LotR は嫌だ」です。

$lotr = $hobbit;            # The Hobbitをコピーする
$lotr =~ s/Bilbo/Frodo/g;   # 手を抜いて続編をでっちあげる
	「プログラミングPerl 第3版 Volume1」 p.176

ちなみに、原書の出版元のサイトからダウンロードできるサンプルコードを見ると、 原文のコメントは「# Just copy The Hobbit」「# and write a sequel the easy way.」となっています。

2003/02/26(水)

●今日の、BSマンガ夜話は8マン。 リアルタイムで8マンを漫画で読んだりアニメを観たりしていた世代ではないので、 特に思い入れも思い出もないのだが、番組を見たら、読みたくなり、 しまってあったコミックを引っ張り出してくる(出してきただけでまだ読んでいないが)。

持ってるのは、13年ほど前に、リム出版から出てた全7巻の完全復刻版で、 番組で出演者が読んでいた、今一番入手しやすい文庫版と違って本のサイズが大きい(菊版)。 買ったままほとんど読まないまましまいこんでいたのだが、 文庫のコミックって絵が小さくて嫌いなので、買っておいてよかった。 でも、全巻揃っていないかったりする。5巻「超人類ミュータント」編と 7巻「読みきり短編集」編がない。なぜその2冊だけ買わなかったのかは記憶にない。

ところで、このリム出版の完全復刻版、出版後ほどなくして出版社が潰れたので、 それ以降買えなくなったとずっと思っていたのだが、 そういえば「リム出版」って、後に「リム出版新社」として復活してたよなぁというのを思いだし、 リム出版新社のサイトを見ると、 同社から改めて出版されていたようである。 ISBNコード は変っているし、装丁など昔のままかどうかまでは分らないのだが、 少なくとも、サイズに関しては菊版となっているので僕の持っているのと同じだ。 それで、ひょっとしたらまだ5巻と7巻買えるかもしれないと思って、ネットで調べてみたところ、 どうやら、「リム出版新社」版の方もほぼ全部の巻が今では入手できないようだ (amazon.co.jp では、唯一「完全復刻版 8マン 6巻」だけが、3日以内配送となっていて入手できそうな感じ)。 ちょっと残念かも。

2003/02/24(月)

●しまった。BSマンガ夜話を見逃してしまった!!! 「魁!!クロマティ高校」好きだから見たかったのに。あ〜あ残念無念。

02/20の独言で書いた、瀬田貞二氏訳の「アンガスとあひる」と、 「げんきなマドレーヌ」について語っているサイトないかと探してみたところ、 小野出版翻訳勉強会というサイト内の、 「翻訳絵本をたくさんたくさん読むフォーラム」に両作品ともスレッドがあり、 面白い内容でした。 これらの作品及び、瀬田貞二氏に興味のある方は、覗いてみてください。

2003/02/23(日)

●昨日のマザーグースの話しのつづき。 図書館で借りてきた、 『The Random House Book of Mother Goose』 (『The Arnold Lobel Book of Mother Goose』)を見てみると、 "Three wise men of Gotham"に、昨日の引用とは若干異なるところが(大差は無いが)。 現在一般的に伝わっているのはこちらの形かもしれない。

Three wise men of Gotham,
They went to sea in a bowl,
And if the bowl had been stronger,
My song would have been longer.
	"The Random House Book of Mother Goose" より

ちなみに、Gothamとは、英和をひくと、 昔話、伝承童謡などで、住民が皆バカだったと伝えられているイギリスの村とあります (あるいは、敵をあざむくためにバカを装っていたという伝えられ方もあるそうで)。 "the wise men of Gotham"(Gothamの賢人たち)で、 ばかな人たちという意味になるのですが、面白い表現です。 このマザーグースが元になった表現なのか、それとも、 この唄が出来るもっと昔から伝えられている表現なのだろうか。

●『シルマリルの物語』の改訂版が3月下旬頃に出るらしい。 出るのは前から知ってたけど、田中明子さんも評論社も忙しそうだから、もっと遅れると思ってた。 現行版は持ってるんだけど、買うつもり。

2003/02/22(土)

●トールキンの原文を読んでいると、韻がよく出てくる。 その例をあげる前にまず、瀬田貞二さんの美しい日本語の訳文から。

寒き霧まく山なみをこえ、
古き洞穴の地の底をめざして、
われらは夜明け前に旅立たねばならぬ、
忘れられたわれらの黄金を手にいれるため。
	J.R.R.トールキン著、瀬田貞二訳『ホビットの冒険』(岩波書店)より

これの原文、

Far over the misty mountains cold
To dungeons deep and caverns old
We must away, ere break of day,
To claim our long-forgotten gold.
	J.R.R.Tolkien "The Hobbit"より

を例に出すと、To - To や、away - day, cold - old - goldなどが韻になってます。 これらの英語の韻は当たり前のことだが、原文でしか味わえない (ちなみに、瀬田訳も韻があり、無理はなく、美しいですね。 瀬田さんはこういう訳が実に巧みだと思います)。

●韻のある英語といえば、マザーグースが有名でしょう。「有名」と書いたけれど、 僕自身は、実は以前は興味も縁もなく、恥ずかしい話しだが、 マザーグースが、イギリス伝承童謡の総称だとか、韻を踏んでいるとか、 常識的なことすらちょっと前まで知らなかった。 マザーグースで知ってたのは、駒鳥の唄や、ハンプティ=ダンプティの唄ぐらいで、 それすらもうろ覚えであったが、しばらく前にどこかで、『指輪物語』の中に、 そのマザーグースが元唄になっている詩が出てくるというのを知り、 興味が出てきた。そこでネットでマザーグースについて調べてみたところ(ネットって本当便利)、 「大好き!マザーグース」というページで 『マザー・グースの唄』という解説書があることを知りました。 最近になってようやく、この本を手に入れて今、読んでるのですが、 この本はすごくおもしろい(もちろんそれは、マザーグース自体がおもしろいということでもある)。 マザーグースの歴史や唄と意味の紹介、英語文化におけるマザーグースの占める位置などなど、 興味深く読んでいます。

気に入った、マザーグースをひとつ紹介。

Three wise men of Gotham
Went to sea in a bowl;
If the bowl had been stronger,
My Story would have been longer.
	平野敬一著『マザー・グースの唄』より引用

2003/02/21(金)

●本日発売の、 評論社の『指輪物語 フロドの旅』 (『Journys of Frodo』の邦訳)を購入。 原書にはなかった邦訳独自の索引や場面解説がついているなど、 手が込んだ実に丁寧な仕事の翻訳書。 指輪・トールキン関係は某書房から、明かに雑で原書への愛情が感じられない、 仕事ぶりがかいま見える翻訳が相次いで出てるけど、見習って欲しいものだ。

●その某書房=原書房から、 『Sir Gawain and the Green Knight, Pearl, and Sir Orfeo』 の邦訳が出ている。 原書は、中世英語による詩物語三篇をトールキンが韻の再現にこだわりながら現代英語に翻訳し、 解説などをつけている、非常に貴重で価値が高い本であるが、 よりにもよって邦訳の訳者が山本史郎氏。 2002/03/02の独言でも書いたが、 この人の過去の翻訳は評判がすこぶるよくない。 僕も、その評判がよくない山本史郎訳本をそうと知らずに買って持っているので、 一部を読んだことがあるけど、実際酷かったので、印象は最悪である。 こういう評判は流石に原書房にも届いているだろうと思うのに、 なぜトールキンファンの気持ちを逆撫でするようにこの人を訳者として採用したのだろう。 とにかく、訳者の印象が悪すぎるので、貴重な本の邦訳といえど、買う気になれずパス。 原書はこの間買ったので、読む時間が出来たら、トールキンの韻を楽しみながら原文で読みたいと思う。 僕の英語力だと大変だろうが。

●ちなみに、山本史郎訳の原書房版『ホビット』の問題点に付いては、 赤龍館さんの、 原書房版『ホビット』について に的確な指摘があります。 また以下は、僕がYahoo!の指輪物語の掲示板に書いた指摘。

あの本は、誤訳・悪訳の性質が悪すぎますね。
原書は、トールキンが指輪物語の整合性を取ろうとしてホビットを改訂した内容についても
詳細に書かれているというのに、そんなこと気にする風も無く、指輪との整合性を無視する
愚訳もたくさんしでかしてくれてます。私もまともに読む気は起きなかったので、
一部を読んだだけなのですが、それでもいろいろ目に付きますね。
(中略)もっとも重要な指輪への伏線になるゴクリの章の無神経で
軽薄な訳し方ときたらありません。あの重要な言葉が「僕チン」になってしまうなんて。
指輪物語との整合性だけでなく、なんと同じページの1〜2行のセリフの中ですら整合性が
取れてません。
ビルボがゴクリに何をなくしたのか聞くシーン、山本訳はそこでそのものずばりをゴクリに
言わせてしまい、ゴクリが、教えたくないのか、教えたいのか分らなくなってしまう、
バカ訳だったりします。これでは、ゴクリだけでなくその後で、何をなくしたのかしつこく
尋ねるビルボも、意味不明な奴になってしまいます・・・

2003/02/20(木)

トールキンに嵌ったことがきかっけで、 『ホビットの冒険』、『指輪物語』の訳者である、故・瀬田貞二氏とその仕事にも、 強い興味を抱くようになった。 1週間ほど前、その瀬田貞二さんの『幼い子の文学』を読んでいて、 その冒頭で紹介されていて、瀬田氏自身が翻訳している、 『アンガスとあひる』 『アンガスとねこ』 『まいごのアンガス』 が読みたくなり、最寄の図書館で借りてきた。 ついでに、瀬田氏が別の本で絶賛していた別の絵本マドレーヌシリーズの一作目、 『げんきなマドレーヌ』とその原書の『MADELINE』も借りる。 どれも児童文学と絵本の世界で大きな足跡を残し造詣深い瀬田氏が推薦するだけあって、 もういい歳した大人の僕でも楽しく読めました(ストーリーは特に、『アンガスとねこ』が気に入りました)。そして、どれもラストのオチがすごくよく、思わず微笑ませてくれ、いい読後感を残してくれます。 また、マドレーヌの原書の英語は、美しくリズムのある韻文になっており、 トールキンの原書がきっかけで、英語の韻文の面白さをはじめて知ってから興味を持っていたこともあって、 そういう意味でも楽しめました。絵本を、あなどってはいけません。

2003/02/17(月)

●ジャリズム解散後、売れっ子構成作家となった、渡辺鐘へのインタビューが、 今日発売の『QuickJapan 47号』に載るらしいという情報を、 渡辺鐘の公式掲示板で見かけ本屋へ。 店頭にならんでいなかった為、中身確認できないまま、店員さんに出してもらって購入し、 読んでみると、(僕が勝手に)期待していたような渡辺への個人的なロングインタビューではなく、 「働くおっさん人形」特集の中で、番組構成作家として答えている1ページだけでちょっと拍子抜け。 「働くおっさん人形」は関西では放送しておらず、 どういう番組なのか前から興味があったので、買って損したというわけでもないんですが。

●そのQuickJapanの板尾創路コラムによると、Mr.オクレが昨年末から行方不明らしい。 オクレさんはドイツ語をしゃべれるらしい。


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