2001年7月
厚生労働大臣 坂口力殿
日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 坪 井 直
同 山 口 仙 二
同 藤 平 典
事務局長 田 中 煕 巳
日頃から原爆被害者に対するご尽力に感謝致します。さて、私どもは昨年の原爆松谷裁判最高裁判決、京都原爆訴訟大阪高裁判決後の、原爆症認定のあり方に大きな関心をもってまいりました。今年4月には原爆症認定制度の抜本的な改善に関する要望書も提出したところです。
ところが、厚生労働省の疾病・障害認定審査会原子爆弾医療分科会は、平成13年4月16日の医療分科会において、「原爆症認定に関する審査方針について」を議題とし、今後の認定審査を寄与リスク評価を目安として用いることが決定されました。私どもは早速科学者、弁護士の参加をえて、「認定基準検討会」を設置して検討を重ねて参りました。
検討の結果、「日本被団協認定基準検討会」作業文書No.1が述べるように、「寄与リスク」(その後の「審査の方針」では、「原因確率」と呼ばれている)は、本質的な誤解に基づいていることが明らかになりました。
この「原因確率」に基づいて行なわれた、6月18日の医療分科会での認定審査では、89件の諮問に対して実に77件が却下されるというかってない事態がおこっています。
私どもは、12年以上も裁判をたたかって、最高裁判決によってやっと原爆症と認定された松谷英子さんや京都原爆訴訟の高安九郎さん(ペンネーム)が、当たり前に認定される審査基準であるべきだと考えます。従って、「原因確率」を目安とする原爆症認定には反対します。
被爆後56年を経てなお原爆症発症の不安におびえる被爆者の現状を理解いただき、私どもが要望している、
1.「疑わしきは認定」という立場で認定を行なうこと。
特に、被爆者のがんはすべて認定すること。
2.主治医の意見を尊重すること。
3.医療分科会に被爆者組織が推薦する医師、弁護士などの参加。
の実現に努力することを重ねて要望致します。なお、今後作業文書2、3を準備しております。さらに、本文書は医療分科会委員・臨時委員の方々にも送らせていただきました。
以上よろしくおねがい致します。