被団協新聞

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「被団協」新聞2023年7月号(534号)

2023年7月号 主な内容
1面 核も戦争もない世界へ、国民とともに新たな被団協運動を
 日本被団協第68回定期総会

厚労省と政党に要請・懇談 中央行動
憲法を生きてきた被爆者 NH9が全国交流会
2面 厚生労働大臣宛要請書〈抜粋〉
政党への要請書〈要約〉
総会決議
特別決議
非核水夫の海上通信(227)
3面 総会と集団証言の会開く 兵庫被爆二世の会
ピースカフェで被爆者と交流 コープぎふ
顔を合わせて交流 愛友会定期総会
日本は条約に参加を 静岡県被団協総会
「もっと話をききたい」と署名する学生も 千葉 署名行動
被爆者運動に学ぶ ― ブックレット「被爆者からあなたに」を読んで
 人間として死ぬこと

4面 相談のまど
 介護保険で「サービス外」とされる電球とりかえなどの生活支援
 地域の有償ボランティアなどの利用を

募金のお願い
原稿募集

 

核も戦争もない世界へ、国民とともに新たな被団協運動を
日本被団協第68回定期総会

 日本被団協は6月20日~21日、東京・港区の東京グランドホテルで第68回定期総会を開きました。人数制限なしの対面開催で、全国から被爆者、被爆二世、支援者など約80人が参加。基調報告、活動報告、決算、運動方針、予算、役員選出、総会決議と特別決議を承認・決定しました。

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老骨にむち打ち先頭に

 田中熙巳代表委員があいさつで「ウクライナ戦争で核使用の脅威が強まっている。国内では岸田内閣が安保3文書を閣議決定し軍事大国になることを世界に宣言した。これまで以上の運動を国民全体が進めていかなくては。私たちも老骨にむち打ち、先頭に立たねばならない」と述べました。

これからの被団協運動

 木戸季市事務局長が基調報告を提案。被爆者の高齢化がすすみ、各地で深刻な苦悩が吐露されるなか、日本被団協と各県被団協のあらゆる会議の中で議論を行ない、新たな運動や組織の在り方を1年間考え合おうと呼びかけました。

経験に基づく意見活発に

 下村次弘(岩手)日本政府に核兵器禁止条約に署名批准を求める意見書は、県下33市町村すべてで採択。首長や議長に禁止条約がなぜ必要か訴えてきたことが大きな力になった。被爆者運動を広げていくためには「被団協」新聞の購読者を広げることを軸としたい。
 大村義則(愛知)新たな署名運動への賛同を個人にも呼びかけ、元中国大使や元市長、日仏シャンソン協会代表などが入り拡がっている。相談活動では、県と一緒に県内4カ所で出張相談所を開いた。被爆者支援ネットワークが月1回の被爆者訪問のほか、慰霊祭や県内全自治体行脚で被爆者の声を届けている。
 坂本由香里(山口)相談事業でアンケート調査を行ない、会員に定期的に電話をかけている。被爆二世の相談が県の補助事業の対象外になっているが、改善してほしい。
 村田未知子(東京)「原爆犠牲者追悼のつどい」は2013年から東京都主催で、都知事も毎回参加している。都生協連など4つの団体で実行委員会を作っている。相談活動では事務所での相談のほか地区出張相談会を実施している。
 佐藤力美(秋田)市町村議会の核兵器禁止条約の意見書採択は75%。平和行進で各首長に「戦争が被爆者をつくった」と訴えている。日本被団協は世界の宝。日本被団協があるから運動ができる。被爆者が一人になっても、ともに頑張りたい。
 石原洋輔(静岡)私は生後5カ月で被爆した一番若い被爆者。会長の仕事と会計を一人でやっている。署名連絡会も継続しているが、他団体の人たちとどう連携していくかが課題だ。
 前田耕一郎(広島)活動報告や運動方針で二世が取り上げられているが、運動の中で二世をどう位置づけるか。二世、協力者、支援者との連携が必要と思う。
 溝浦勝(長崎)被爆者と「被団協」新聞の読者数の比率の全国平均は6%。組織の存続についてもどういうところが問題か考えていく必要があるのでは。
 林俊江(宮城)東北ブロック6県で被爆者は211人しかいないが、会をつぶさないよう、頑張っていきたい。
 門川恵美子(神奈川)二世は様々な病気や不安に悩んでいる。被爆者に準じた二世・三世への施策を求め、現行法の改正を一番の課題にしたい。
 (総会決議と特別決議は2面に全文)

今年度役員

 代表委員=田中熙巳 田中重光 箕牧智之 事務局長=木戸季市 事務局次長=児玉三智子 濱住治郎 和田征子 濵中紀子 代表理事=廣田凱則 木村緋紗子 木村邦子金本弘 立川重則 林三代子 松浦秀人 中村国利 田中聰司 横山照子 家島昌志 首藤通治 会計監査=谷本嘉雄 前座明司


厚労省と政党に要請・懇談
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中央行動

 日本被団協は定期総会翌日の6月22日、全国の被爆者、被爆二世など約60人が参加し参議院議員会館会議室で中央行動を行ないました。
 午前11時から1時間厚生労働省交渉、午後は政党への要請行動でした。
 厚労省交渉(2面に要請書)では、原子爆弾被爆者援護対策の岡野和薫室長ほか担当者6人が出席。7項目の要請事項について口頭で回答を受けました。
 現行法の国家補償法への改正については、「国の責任において」と前文に明記した現行法の考え方を強調。非核三原則法制化と核兵器禁止条約への参加は所管外とするなど、積極的回答はありませんでした。介護手当の受給が少ないことに関しては、現状を至急確認すると答えました。
 午後1時30分からの政党要請(2面に要請書)には、公明、維新、立憲、国民、共産、れいわ、社民の各党から、被爆二世を含む9人の国会議員が参加。党首宛要請書を手渡し懇談しました。


憲法を生きてきた被爆者
NH9が全国交流会

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 総会終了後の6月21日午後、約30名が参加してノーモア・ヒバクシャ9条の会(NH9)の全国交流会が開かれました。
 はじめに被爆者運動が、9条をはじめ日本国憲法の基本精神を生き、実践してきた歩みを事務局から紹介し、議論に入りました。
 「援護法は国家をしばる抑止力。そのとおりと思った」「国家補償は平和に生きる権利を保証するものだが、二世委員会でも、国家補償って何や、という声がある」「今は分かるが、受忍は当たり前と思っていた」「受忍論を憲法との関係で分かりやすく伝えられないか」。
 率直な意見とともに、被爆後、中学・高校で「あたらしい憲法のはなし」を学んだ感動や、憲法を支えに被爆者として生き、被爆者運動をしてきたゆたかな経験が語られました。


厚生労働大臣宛要請書〈抜粋〉

はじめに
 広島・長崎に原爆が投下されてから78年を迎えました。日本被団協は1956年に結成されました。奇跡的に生き残った被爆者は、「ふたたび被爆者をつくるな」と、今日まで原爆被害の実相を国の内外で語り訴えてきました。被爆者は高齢化し、減少の一途をたどり平均年齢は84歳を超えました。残された時間はわずかです。私たちが生きている間に被爆者の願いが実現できるよう、大臣としてご尽力くださることを、心より期待します。

 記

1.現行の「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」を国家補償に基づく法律に改正すること
2.非核三原則を法制化すること
3.核兵器禁止条約に署名し、批准すること
4.「黒い雨」被害者等を被爆者と認定すること

 2021年7月の「黒い雨」被爆者健康手帳交付請求等訴訟の判決について、「原告の皆様と同じような事情にあった方々については、訴訟への参加・不参加にかかわらず、認定し救済できるよう、早急に対策を検討します」と当時の内閣総理大臣談話が出され、新たな指針が出されました。指針では「11種類の障害を伴う一定の疾病のいずれかにかかっていること」を被爆者健康手帳交付要件としていますが、これは現行法では要件になっていません。すみやかに削除することを求めます。併せて「同じような事情にある」長崎の被爆体験者を被爆者と認定することを求めます。
5.原爆症認定問題の解決にむけて
(1)日本被団協の「原爆症認定制度のあり方に関する提言」の実現を求めます。
(2)原爆症認定被爆者の健康状況届について
①平成26年3月20日厚労省健康局長施行通知にしたがい、健康状況届は3年ごとではなく疾病により、5年10年の届としてください。
②生涯にわたって治療または医学的処置を必要とする場合は、要医療性を生涯認定し、医療特別手当を継続するよう求めます。
③末期の悪性腫瘍等の場合、治療が出来ない、治療をしないなどの医師の判断の場合は、健康状況届不要にしてください。
6.高齢化した被爆者および被爆二世に対する援護施策の充実について
(1)被爆者について
①健康診断について
(ア)原爆症認定の「新しい審査の方針」で「積極的に認定する範囲」とされている副甲状腺機能亢進症と甲状腺機能低下症の検査を一般検診に加えてください。
(イ)在宅や施設で被爆者健診が受けることが出来るよう検討してください。
(ウ)被爆者健診の検査内容を全国的に広島、長崎と同様の内容にしてください。
(エ)胃がん健診のバリウム検査はやめてカメラ検査にしてください。
②介護問題について
(ア)介護手当申請時の医師への「手引き」を改善するとともに、「手引き」が医師に届くよう自治体担当者に周知徹底してください。
(イ)家族介護手当を廃止し、同居家族による介護も費用介護手当を適用してください。
(ウ)介護手当制度の周知を徹底し広島・長崎両市と都道府県の担当を指導してください。また、自治体から一般疾病指定医療機関へ周知をするよう指導してください。
(エ)低所得者でも入所できる介護老人福祉施設の設置を広げてください。
(オ)介護保険サービスの訪問入浴サービスを福祉サービスとして助成対象としてください。
(2)被爆二世について
①「被爆者と同様に「からだ・くらし・こころ」に及ぶ被爆二世の実態に即した援助を求めます。
②二世を原爆被害者と位置づけ、実態調査、特に健康と病歴調査を実施してください。被爆者に準じた援護施策を実施してください。
③「被爆二世健康記録簿」を、全国の被爆二世が取得するよう、また被爆二世健診が拡がるように自治体に周知徹底してください。
④被爆二世の援護施策の実施について、厚労省への要請・懇談の場を設けていただきたい。
7.被爆者の証言活動への支援をご検討ください
 被爆者は国の内外に原爆被害の実相を語り核兵器の廃絶を訴えてきました。被爆者が少なくなる中、生の声で証言を聴いておきたいとの要請も来ています。証言活動への支援の充実を図ってください。

政党への要請書〈要約〉

 貴党が「ふたたび被爆者をつくらない」という被爆者の、そして人類の願いを実現するためにご尽力くださるよう、下記のとおり要請します。
1.「原爆被害への国家補償」を実現すること
 現行の「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」は、われわれが悲願としてきた「原爆被害への国家補償」に基づく法律ではありません。原爆被害への国家補償実現へどんな法律が考えられるか、提案していただきたく、お願い申し上げます。
2.核兵器の禁止、廃絶を実現すること
①日本政府が速やかに「核兵器禁止条約」に署名、批准するよう国会で議論し採択してください。
②日本が核兵器廃絶へ世界をリードしてください。
③アメリカの核の傘から離脱し、非核三原則を法制化してください。
3.政党と日本被団協が法律の制定について協議する場を設けること


総会決議

 広島・長崎への原爆投下から78年、日本被団協第68回定期総会で全国の被爆者、被爆二世、支援者が集まりました。日本被団協の結成から2021年1月22日核兵器禁止条約発効までの長い長い道のりを思い、原爆に命を奪われた家族・友人・多くの死者たちや被爆者運動の先達の姿を思いうかべての参加です。
 核兵器が人間と共存できない「絶対悪の兵器」であることを国の内外で伝える実相の普及が、今、より一層求められます。ウィーンで開催の第11回NPT再検討会議の準備委員会、ニューヨークで開催の核兵器禁止条約第2回締約国会議に参加し、核兵器の反人間性を、こころに届く被爆の実相を、訴えます。
 日本被団協は結成から今日まで、願いを要求に、要求を運動にと大きくひろげてきました。国が国民に対し、もう戦争はしない、ふたたび被爆者をつくらないと約束する「国家補償」の実現は喫緊の課題です。また、被爆者は、憲法違反の戦争犠牲「受忍論」に怒りをもって反対し、その撤回を求めます。あわせて被爆二世に対して被爆者に準じた施策を実施すること、空襲被害者などすべての戦争被害者に国の償いをすることを求め、運動をすすめます。結成宣言の「世界への挨拶」、「原爆被害者の基本要求」、「被爆者からあなたに」、「国連原爆展」などについて、話し合い学び合いましょう。これらの活動をとおして、「日本政府に核兵器禁止条約の署名、批准を求める」署名をすすめましょう。
 被爆者の減少、高齢化が進んでいます。病気や介護が必要となった被爆者が最後まで、人間として誇りをもった生活が送れるよう、相談活動に取り組みます。
 全国各地、被爆者の組織や運動を維持していくにはたいへん厳しい状況にあります。被爆80年に向けて日本被団協のすべての組織、会議をとおして討議をおこない、被爆者と支援者、諸団体とも懇談、協議を重ね、2024年度の総会に、全国各地の取り組みを土台に「新たな運動と組織の在り方」を持ち寄りましょう。
 被爆者は訴えます。核兵器や戦争で人間のいのちやくらしを守ることはできません。憲法改悪を許さず、憲法9条にもとづいて、特定の国を敵視する軍事同盟や軍事力の強化ではなく、交渉・対話によって国家間の紛争を解決すること求めます。
 日本被団協の結成宣言「世界への挨拶」の「私たちは自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おうという決意を誓い合った」を胸に、「戦争もない、核兵器もない世界」へ、すべての核被害者、戦争被害者、平和を願う人々と歩みつづけることを決意し、本総会の決議とします。


特別決議 ~核抑止でなく核兵器廃絶を~

 被爆78年目を迎える今年、私たち被爆者は世界各地で起こっている紛争、わけてもロシアのウクライナ侵略に始まった戦争に、核兵器使用の危惧をいだきながらも、国際社会の指導者たちはどのような判断を下すであろうか、と一縷の望みをもって迎えたのがG7広島サミットでした。
 しかし、私たちの思いを全く蔑ろにした「広島ビジョン」が発表されました。被爆者、非人道性、核兵器禁止条約、の文字も見られません。それに代わるのが「我々の安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている」とする「核抑止」論でした。
 G7は本来経済問題を世界規模の観点で議論する会議です。今回は今般の世界状況から核軍縮もその議題の一つとして取り上げられ、その開催地が、広島となったことで、核兵器の問題がどのように議論されるか大きな関心事となりました。
 被爆者を含む市民レベルでも多くの集会が各地で開催され、サミットへの要望や期待が表明されていました。
 しかし開幕即日の19日に発表された「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」の内容は、NPTを核軍縮と核不拡散の礎とする不拡散体制の強化、核戦力の開示と透明化、核兵器数の削減努力などに加え、これまで長年会議も開かれていない条約の交渉会議の開催を求めるなど、これまで外務省との要請・懇談の場で毎回耳にしてきたことの繰り返しでした。
 ビジョンの中に「我々は77年に及ぶ核兵器の不使用の記録の重要性を強調する」とあります。岸田首相は「核兵器が使われなかった歴史を蔑ろにしてはならない」とのべました。そうです。二度と被爆者をつくってはならない、世界中の誰にも自分たちと同じ経験をさせてはならないと、私たちの経験を蔑ろにしないように、訴え続けてきたのは私たち被爆者です。
 ロシアの核による威嚇で、日本国内での「核共有」の提言や「非核三原則」の見直しの発言が強まり、巨額の防衛費の増額は国会の審議を経ないまま閣議決定されました。「核の傘」の下で、国民の生命と生活を守ることが、戦争被爆国日本のとるべき政策でしょうか。国民の7割が核兵器禁止条約に参加すべきと回答しています。被爆者はこれからも国内外の多くの支援者の方々と共に、核兵器廃絶を目指して運動を進めます。


総会と集団証言の会開く
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兵庫被爆二世の会

 兵庫県被爆二世の会は5月27日、神戸市立東灘区文化センターで2023年度定期総会を開催しました。会員31人(内三世2人)が出席。2022年度末で会員数は122人です。
 2022年度は大学生の平和活動グループ「KNOW NUKES TOKYO」との交流ができ、議員ウォッチの活動に参加できたことを報告しました。紙芝居2作目として松井清さんの証言を元に制作した『長崎で原爆にあって』のDVDが完成し、総会後に上映しました。
 総会後開催した集団証言の会「ピアノと声で伝える原爆」には被爆者10人と一般市民、合わせて約70人が参加(写真)。広島女学院同窓会発行の「平和を祈る人たちへ」から原爆炸裂時の悲惨な状況を女学院の後輩が朗読。被爆者の手記を本人の子どもである被爆二世が読み、二世としての思いを語りました。この会は昨年に続き2回目。参加者の「この企画を続けて」の声に押され、来年も「ピアノと声」で原爆の実相を伝えることを決めました。(中村典子)


ピースカフェで被爆者と交流
コープぎふ

 5月27日、岐阜市内で「ピースカフェ」が開催されました。「ピースカフェ」は生活協同組合コープぎふが、組合員同士平和について気軽におしゃべりする場として定期的に開催しているものです。今年度はコープ共済連の「地域ささえあい助成事業(生協と生協以外の団体が協働で取り組む活動を支援する事業)」の助成を受け、社会福祉法人いぶき福祉会とコープぎふが共同で学習会を開催することになっており、今回はその取り組みの第1回となりました。
 コープぎふの組合員やいぶき福祉会の仲間たち(通所者)、職員、地域の方など約20人が参加。「被爆体験のお話を聞こう」をテーマに岐阜県原爆被爆者の会の加田弘子さんと木戸季市さんの話をお聞きしました。
 交流タイムでは質問が多くあり時間が足りないほどでした。「加田さん、木戸さんの『体験』は写真、音楽、文章では得られない胸打つものがあった。参加出来てよかった」「戦争、被爆の体験だけでなく、被爆国日本の立場など今まで知らずにいたことを教えて頂けてよかった」などの感想が聞かれました。
 「私の平和はストレスを溜めないようにボウリングで遊ぶこと」「核兵器がなくなって平和に生きられたらいいな」という仲間たち。木戸さんの「原爆は一瞬にして長崎の街を何もない世界に変えた。怖いも何もない。お友達や家族と一緒に生きていけるということが幸せの出発だよね」の言葉に平和の大切さを改めて感じました。(コープぎふ・堀美奈子)


顔を合わせて交流
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愛友会定期総会

 愛知県原水爆被災者の会(愛友会)は5月20日名古屋市総合福祉会館で定期総会を開きました。
 総会の議事を短く簡潔にし、総会後に交流・懇談の時間を設けました。なかなか会えない被爆者どうし、この機会に顔を合わせて近況を交流し合い、日頃の悩みや心配事も懇談されました。
 また、支援者・団体にはオブザーバー参加を呼びかけ、激励のあいさつが寄せられました。
 年々参加者が少なくなっていた総会でしたが、今年は多くの出席者があり金本弘理事長が「とても励まされました」とあいさつ。議案と予算を議決し、「大軍拡をすすめる政策は憲法九条違反であり、岸田首相にその撤回を求める」などの内容を記した定期総会アピールを採択しました。
(大村義則)


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日本は条約に参加を
静岡県被団協総会

 静岡県原水爆被害者の会は6月11日、静岡市のはーとぴあ清水で第65回定期総会を開きました。
 会員約20人と県健康福祉部疾病対策課長代理ほか来賓が出席しました。
 あいさつに立った石原洋輔会長は、議長国として岸田首相が主導し被爆地広島で行なわれたG7サミットの成果について「核兵器廃絶の方向に向くことはなかった。皆さんもがっかりし、怒りを覚えたことと思います」と述べました。
 23年度活動方針では、岸田内閣が見直した安保3文書について、先の大戦の教訓を忘れ去り、歴史認識が全くないことを強く批判。その上で「日本政府に核兵器禁止条約への署名、批准を求める署名活動に積極的に取り組みましょう」と訴えました。(静岡県被団協)


「もっと話をききたい」と署名する学生も
千葉 署名行動

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 6月17日午後1時30分から1時間、柏駅東口で署名行動をしました。
 「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める千葉の会」の参加団体4団体から17人が参加し、リレートークで訴えました。最初はタスキをかけた被爆者が「日本政府が禁止条約に参加していない、世界で唯一の戦争被爆国だからこそ核兵器廃絶の先頭に立ち世界をリードほしい」などと語り、署名への協力を呼びかけました。各団体からも広島サミット、核軍拡、核の傘からの離脱、核抑止力についてなどを訴え、72人の署名が寄せられました。
 行動の1時間の間に、マイクを持って訴える人に近づいて「核兵器を持ってなにが悪い」と大声をあげる人、また「核抑止力は必要だ」と署名を拒否していた学生が被爆者との対話の中で「時間があるときにもっと話を聞きたい」言って署名するなど、様々なことがありました。
 路上に置いた募金箱に2千円、新婦人柏支部から1万円の募金が寄せられました。行動のまとめの報告が終わり、お疲れさまでしたとそれぞれ声を掛け合い帰路につきました。(児玉三智子)


被爆者運動に学ぶ ― ブックレット「被爆者からあなたに」を読んで
人間として死ぬこと
中村 尚子 おりづるの子(東京被爆二世の会)運営委員

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 心に刺さった言葉がいくつもある。「原爆は人間として死ぬことも人間らしく生きることも許しません」の「人間として死ぬこと」もその一つ。
 長崎の墓に両親の名前を刻んだころ、並んでいる3人の「八月九日」の意味を考えることなく生きてきた自分に、やっと向き合いはじめた。3人とは、父の母、妹、弟である。どこで亡くなったのか、ずっと知らなかった。
 その場所を求めて、古い地図を片手に歩き回った。「たぶんここ」と立ち止まったのは原爆資料館裏。原爆中心地を示す塔がすぐそこに見えた。あの日の「ここ」はどんな世界だったのだろう…。
 「人間として死ぬこと」は、「ここ」に立ったときの私の思いを蘇らせる。「ここ」で生きていた50歳、14歳、10歳の3人は、突然に人生を断ち切られた。人として弔われることもなく消えた。
 本書に3人の死の意味を教えてもらったと思う。これから二世の会の仲間とともに、被爆者の願いとぶれることない運動の本質を、本書から学び続けたい。自分の言葉で「核兵器は人間の存在とは相いれない」と語れように。


相談のまど
 介護保険で「サービス外」とされる電球とりかえなどの生活支援
 地域の有償ボランティアなどの利用を

 【問】介護保険でヘルパーがきてくれますが、電球の取り換えやエアコンのフィルター掃除などをお願いすると「そうしたことはできない」と言われます。そういうこともやってもらわないと困るのですが、頼めないことなのでしょうか。

*  *  *

 【答】電球の取り換えやエアコンのフィルター掃除、カーテンの取り外しなど生活していくうえでは雑事と思われることが案外多いものです。高齢になるとこうした作業は危険も伴います。
 ところが介護保険制度ではこうした仕事はサービス外とされていて、ヘルパーさんには頼めないことになっています。
 そこで、自治体の社会福祉協議会の有償ボランティアや生活協同組合、地域の民医連などの協同組織で助け合いをやっているところがあるので、連絡してみてはいかがでしょうか。
 社会福祉協議会の有償ボランティアは、庭の掃除や植木の剪定、大きなものの買い物など広範囲に対応してくれるところもあり、必要な時、あるいは毎週何曜日などと決めて依頼できるようです。費用は地域ごとに決められています。
 生協では、組合員に対して支援を行なっているようです。
 民医連の協同組織での取り組みは、今のところ実施地域が限定されているようです。
 いずれにしてもお住まいの地域でそれぞれ問い合わせてみてください。
 こうした生活上の困りごとは、被爆者だけの問題ではありません。一人の相談が取り組みを始めるきっかけになり、相互扶助が組織されるかもしれません。地域の被爆者の会や支援者とともに申し入れをすることも大事だと思います。


募金のお願い

 日頃からの、皆さまからの大きなご支援に深く感謝申し上げます。日本被団協の運動を支える「被爆者運動強化募金」を訴えます。
 二大要求である「核兵器廃絶」と「原爆被害への国の償い」の実現を訴えて運動を続けてきた日本被団協は、国際的に「核兵器の反人間性」を明らかにし、すべての国民にがまんを強いる「戦争犠牲受忍論」に抗い、原爆被害をはじめ、すべての戦争被害者への国の償いを実現する道筋を切り開いています。
 このような活動を進める日本被団協の財政は、その多くを募金に支えられています。被団協運動を支えるため、より一層の募金の協力をお願いいたします。
 なお、この「被爆者運動強化募金」は、各都道府県被団協に所属している方からの募金のうち3割を、各都道府県被団協に還元します。
 送金先=郵便振替00100―9―22913日本原水爆被害者団体協議会。一部の地域を除いて同封しています振込用紙をご使用ください。


原稿募集

 読者の皆さんからの原稿を募集しています。
 氏名、年齢、住所、電話番号を明記して、郵送かEメールまたはFAXでお送りください。写真はEメールに添付、またはプリントを郵送してください。郵送の宛先はクイズと同じ。Eメールは1面左上アドレスまで。