被団協新聞

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「被団協」新聞2004年 6月号

2004年6月号 主な内容
 
1面国連NPT準備委員会
2面集団訴訟の動き
米の臨界前核実験に抗議
●「非核水夫の海上通信」
3面国際市民会議について
人形展長崎原爆資料館で開催
都道府県だより
●被爆者・青年トークトーク
4面相談のまど「介護保険でグループホーム入所は?」

国連NPT準備委員会 「議論より被爆展示を見よ」

 4月26日〜5月7日、ニューヨーク国連本部で来年のNPT(核拡散防止条約)再検討会議のための準備委員会が開かれました。今回の準備委では来年予定されている再検討会議で核兵器廃絶の具体的な施策が決められるかどうか注目されました。日本被団協は小西悟事務局次長を団長に、谷口稜嘩(長崎)、山田玲子(東京)、平田道正(東京杉並)の四人を国連へ送りました。
  代表団は、(1)日本、メキシコ(核軍縮決議を提出してきた「ニューアジェンダ連合」代表)、マレーシア(非同盟諸国代表)、アメリカ、イギリス各国代表部に核兵器廃絶への努力を要請、(2)国連本部で討論集会「被爆者は訴える」を市民団体と共同主催、(3)メーデー屋外集会で訴え、(4)ニューヨーク市議会議員の会合で訴え(平田)、9・11遺族の会(ピースフル・トゥモロウズ)と交流、(5)タウンミーティングで市民と交流、(6)来年の原爆展について国連当局と折衝、など、内容豊かな活動をしました。
  各国代表部への要請では、アメリカ、イギリス、日本(原口大使)をふくめ、どの国の代表も、谷口、山田、小西の証言に強い感銘を示し、「あなた方の活動が核をめぐる情況の悪化を防いでいる」と異口同音に被爆者の活動を称えました。とくに、アメリカ代表は三人の証言と被団協声明を全員で回し読みすると約束しました。

 討論集会「被爆者は訴える」は被団協と現地の代表的NGO・WILPF(平和と自由のための国際女性連盟)の共催。現地のボランティア西村陽子さんの努力で実現しNGO関係者ら60人が参加。阿部信泰国連事務次長が特別報告で被爆者の活動を賞賛。代表団4人は全員が発言して大きな共感を得ました。モントリオールの大学生の「いまは、この話を聞いたぼくらが語りつぐときだ」という発言がこの集会の意義を象徴しています。
  秋葉広島市長は、各国代表の居並ぶ会議場での演説のなかで「ここに4人の被爆者がいる。かれらは苦しみを乗り越えて核兵器の廃絶を訴えつづけている」と賞賛し、4人は立ち上がって満場の拍手を受けました。
  この日、NGOセッションの開始前に、各国代表の机に被団協資料一式を入れた封筒を置きました。本来はルール違反で、非難を受けるかと心配しましたが、代表たちの反応は総じて好意的でした。
  会議場正面には展示ブースを設け、タタミ2枚分ほどに被団協と広島市が共同出品。
  この展示は、会議中も注目をあつめ「くだらぬ議論をしているより、あの展示をひと目見てくれ!」と叫んだ代表(南ア)もいました。
  小西、谷口、山田の3人が5月2日現地を去ったあと、平田さんはひとり、準備委員会の最終日まで管理。会議が終った5月7日夕刻にはアメリカ代表をはじめ、ヴァチカン、南ア、エジプト、カナダ、マレーシア、オマーン、フランスなど多くの国の代表から展示を守り抜いた平田さんに「よくやってくれた」とねぎらいの言葉が寄せられました。
  準備委員会ではアメリカ政府などのかたくなな姿勢で、核兵器廃絶の道のりが明確になっていません。これを受け、来年の再検討会議では、さまざまな団体が行動をよびかけ、広島・長崎市長もニューヨークで大集会を開催しようと呼びかけています。
  いまこそ、来年の再検討会議に向け、被爆の実相を広く伝え、核兵器廃絶の国際世論をつくりあげていくことが求められています。

石破長官暴言に抗議広がる 「爆心地でもたくさん生き残った」

 日本被団協の藤平典代表委員は5月21日、東京・明治公園で開かれた「STOP!有事法案大集会」で1万人の参加者を前に、被団協の声明「石破茂防衛庁長官のミサイル防衛発言に厳しく抗議する」(5月13日)を紹介し、核戦争を想定した有事法案の危険を訴えました。
  同声明は、石破長官が衆議院「武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会」で広島・長崎の「爆心地の近くでありながら生き残った方というのがたくさんおられる」などと発言したことに対し、被爆者の怒りを表明したものです。
  声明は、爆心地付近で幸い生き残った人もいたに違いないが、彼らも「『こころ』と『からだ』に深い傷を負っている」と指摘。圧倒的な人びとは焼き殺されたのであり、長官発言には「劫火の中で助け出されるすべもなく生きながら焼かれた無数の死者たちへの思いはまったく見られない」と糾弾しています。
  こうした発言は、核兵器が「使える」兵器であるような幻想を与えるもの。ミサイル防衛システムで多くの人命を救うことが「国民保護法制の眼目」との発言に対し、声明は「ミサイル防衛システムとは、つきつめれば宇宙核戦争体制」と指摘。核戦争に生き残りはなく、核兵器をなくす以外に人々を守ることはできないと強調しました。