要請書

2003年2月19日

アメリカ合衆国大統領
ジョージ・W・ブッシュ閣下

日本原水爆被害者団体協議会
代表委員 坪井 直
代表委員 山口仙二
代表委員 藤平 典
事務局長 田中煕巳

イラクに対して武力行使をせず、世界のどこにも核兵器を使わないことの要請

 私たちは、貴国が58年前、広島・長崎に投下した原爆で、無差別大量の死と負傷と、いつまでも消えることのない放射線被害を受けた被爆者です。
  私たちは、私たちのような被爆者が、世界のどこにもつくり出されてはならないと、訴え続けています。
  しかしいま、私たちは大きな不安を感じています。
  それは、貴国が、イラクにたいする武力攻撃計画をすすめていること、そのなかで、核兵器の使用に言及していること、しかもそれはイラクの大量破壊兵器を壊滅させるために地下貫通型の核兵器を使おうとしていると聞いているからです。
  この兵器がどんなものなのか、私たちには分かりません。しかし、いまの核兵器は、私たちを殺戮した原爆の何倍にも、何十倍にもあたる破壊力を持っています。それを、何十発も使うことになると、数十万の人間が殺され、傷つき、生き残ったとしても、放射線によって生涯癒すことのできない苦痛を受けることは間違いありません。
  さらに、自然環境にも大きな被害が生じます。地下であっても地上であっても、動植物の生態系は放射線汚染によってめちゃめちゃにされるでしょう。
  湾岸戦争のとき、貴国がイラクにたいして使った劣化ウラン弾によって、子どもたちに大変な障害が起きていることに、私たちは心を痛めています。劣化ウラン弾は核兵器ではありませんが、放射線を発する兵器です。この兵器によってさえ、人体と自然に取り返しのつかない後障害を残しているのです。核兵器が使われたら、劣化ウランの比でないことは、明らかです。
 
ブッシュ大統領閣下
  あなたには、大量無差別に人間を殺戮する権利はありません。人類にとってたった一つしかない地球の環境を破壊する権利はありません。あるというなら、だれが与えたのか、明確に応えてください。あなたが信仰するキリストであっても、神であっても、決してあなたに、そのような権利を与えてはいないと思います。
ブッシュ大統領
  イラクの人びとを大量無差別に殺傷する計画をやめてください。戦争をしないでください。核兵器を使うことは、絶対にしないでください。

 以上要請します。