被団協新聞

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「被団協」新聞2000年 2月号(253号)

2000年2月号 主な内容
 
1面核兵器なくせ2000年紀行動
被団協、世界に新年メッセージ
「原爆と人間展」パネル、マレーシアへ
2面伊藤サカエ代表委員が死去
臨界事故で被爆した大内さん亡くなる
3面在外被爆者はいま−アメリカ
原爆松谷裁判に動き
4面相談のまど 「介護保険スタート間近」

核兵器なくせ−ネバダで2000年紀行動

 2000年紀の始まりを迎え、核兵器廃絶運動が新たな高まりを見せようとしています。日本被団協はこれに応え、世界各地へ被爆者遊説団を派遣することにしています。その端緒となったのが、年末から年始にかけて行なわれたネバダの行動です。日本被団協代表として現地を訪れた中山高光代表理事・熊本被団協事務局長のレポートを紹介します。

   「ミレニアム2000・平和への道をあゆむ」の集いとデモが、1999年12月30日から2000年1月2日まで、アメリカのラスベガスとネバダ核実験場前で行なわれました
 主催は、「ネバダ砂漠の体験」「宥和会」「地球の傷を癒す」「ロサンゼルス・カトリック・ワーカー」「パックスクリスティ」「シュンダハイ・ネットワーク」などアメリカの平和団体で、全米各地から約500人が参加しました。
 会場となった高校の講堂には「原爆と人間展」パネルが展示され、説明文を熱心にメモする人や、「活用したい」と申し出る人がありました。
 私は、全体集会と分科会で発言。アメリカ占領軍が原爆報道を規制し被爆者の治療も許さず放置したこと。ビキニ被災後の原水爆禁止運動に支えられ被爆者は生きる道を見いだしたこと。平和運動が被爆者を支えてほしいこと。日米の被爆者はともに米政府の核兵器開発の犠牲者であること。両国の被爆者と平和運動が連帯することは特別に重要である――と訴えました。
 大晦日の深夜は、ネバダ核実験場前で日本代表がキャンドルに点火してデモを開始。零時に基地の入口に到着して抗議を行ないました。男150人、女183人が、逮捕されるのを承知で基地内に踏み込み、抗議の意思を示しました。
 元日の夜はラスベガスで日本代表を先頭にデモ行進。途中、旅行中という東京在住の被爆者が「アメリカには恨みだけ持っていたが、こんな運動があることを初めて知り考えが変りました」とデモに飛び入り参加する一幕もありました。
 この四日間は、「核兵器は廃絶以外にない」ことが強調された行動でした。(中山高光)

核廃絶にいっそうの努力を−世界に新年メッセージ

 日本被団協は2000年紀の年頭に当たり、核兵器廃絶についての 新年のメッセージ を、世界70カ国の首脳と日本の小渕恵三首相にたいし、1月17日に送りました。
 送ったのは、昨年末の国連総会で圧倒的多数で可決された「核兵器廃絶決議」の共同提案国となった、新アジェンダ連合を中心にした57カ国と、この提案に反対した13カ国と、棄権した日本政府です。

 提案国へのメッセージでは、「貴国政府が核兵器廃絶のために、ひきつづき積極的な行動を起こされ、世界世論をリードしてくださること」への期待をのべ、「私たちは要請があれば、いつでもどこへでも資料を送り、被爆者を送って被爆の体験を語る用意」があることを明らかにして「核兵器のない21世紀にめざしていっそうの協同と連帯を」と訴えています。
 反対国にたいしては、「人類の生存を脅かし続けている核保有国の横暴をきびしく糾弾」し、日本政府のアメリカ追従の態度をも批判しながら、国連決議の趣旨にそって核兵器廃絶への「実効ある作業をはじめるよう」訴えています。
 小渕恵三首相にたいしては、日本政府が「核兵器は国際法違反」の立場を明確にせず、「アメリカの支えとなって核兵器の廃絶に逆行する動きを見せていることを許すことができない」として、「国連決議の趣旨にそって、核兵器廃絶国際条約の早期実現のために実効ある作業をはじめるよう強く要求する」とのべています。
 なお、国連決議前に送った日本被団協の要請にはブラジル、ギニア、ボスニア・ヘルツゴビナから返書がありました。

「原爆と人間展」パネル、マレーシアに贈呈

 昨年12月1日、「コープおおいた」は、マレーシアの市民団体に「原爆と人間展」パネル2セットを贈呈。同生協主催の「アジア女性リーダー交流会」で訪日中のパパティアマ・アラガドライさん(市民信用共同組合)とアジザ・ハジ・アーマッドさん(マレーシア大学生協)に手渡されました。
 ここには大分県被団協の岡田實会長も立ち会い、核兵器廃絶を願う被爆者の心をマレーシアの若い人びとに伝えてほしいとあいさつ。お二人からパネル展の成果を報告するとの約束をいただきました。

原爆松谷裁判に動き−最高裁調査官が面会

 原爆松谷裁判で、最高裁第三小法廷の担当調査官がはじめて、弁護団の面会に応じました。
 国側の上告で最高裁に審理が持ち込まれてから2年、何の動きもなかっただけに注目されます。
 弁護団は、松谷英子さんの体調が悪くなっている状況などを話し、一日も早く上告棄却をと要請しました。

 原爆松谷裁判ネットワークは1月28日、最高裁へ9回目の要請行動をしました。
 午前八時半から最高裁門前で、日本被団協、青年団、生協、世界大会実行委員会など原爆松谷裁判ネットワークのメンバーが「全国支援ニュース」第4号を配布。このあと13人で書記官に面会して被爆者、国民の思いを伝え、「一刻も早く上告棄却を」と訴えました。
 この日提出したのは、個人署名2万3316人分、団体署名85、上申書15通。署名の累計は48万3987人分となりました。