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「被団協」新聞1997年 5月号(220号)

【核兵器廃絶、国家補償求め中央行動】 

 政府・政党・国会議員への要請中央行動は、4月8〜9日の両日、34都道府県被団協の代表のべ350人の参加で行なわれました。

 行動は8日午前11時30分、首相官邸での与謝野馨官房副長官への要請から始まりました。16万人の国民署名、市町村首長の賛同署名を示しながら、嶋岡国対委員長ら代表団は、核兵器廃絶条約の締結、原爆被害への国家補償を要請しました。

 与謝野官房副長官は、「みなさんの要請はよく分かっています。がんばってください」と激励。

 集結集会は午後1時から、衆議院第一議員会館第1会議室で開かれました。被爆者と支援者ら190人で超満員。

 藤平典事務局長代行の司会で始まりました。  「総選挙で議員の顔ぶれが代わり、被爆者問題を知らない議員が多い。被爆者の思い、実態を伝えて、核兵器廃絶、原爆被害への国家補償、緊急要求を知ってもらって実現をはかろう」と嶋岡国対委員長が課題を提起。

 小西事務局次長が、核兵器廃絶運動をめぐる世界の情勢を説明。

 山本事務局次長は、各県・ブロックごとに、地元国会議員への要請を基本に、全議員、政党にじっくりと働きかけようと行動提起しました。 午後2時からさっそく活動を開始。

 2日間に要請した政府機関は、首相、厚生、外務両大臣、政党は九党。議員は712人。提出した国民署名は152,659人(累計235,820人)。国会請願署名は85,910人。集まった緊急要求賛同署名は32議員(累計67議員)。

 2日間の行動を締めくくる終結集会は、9日午後1時半から、参議院議員会館第1会議室で行なわれました。

 嶋岡国対委員長は「タイミングの良い行動で、被爆者の熱意と成果を確認できた」と総括。「この力で、核兵器廃絶と国家補償を実現しよう」と励ましました。 

 厚生省への要請には、嶋岡国対委員長ら15人が参加しました。

 厚生省側は保健医療局の木村政之企画課長ら7人が対応しました。

 厚生大臣への要請は、つぎの7項目でした。

 (1)被爆者援護法を国家補償法に改正すること。

 (2)特別葬祭給付金を、原爆死没者の遺族全員に支給すること。

 (3)特別葬祭給付金の請求期限を延長すること。

 (4)被爆者援護法の福祉事業を具体化すること。

 (5)在外被爆者に援護法を適用すること。

 (6)原爆死没者追悼平和祈念館に死没者氏名を掲示すること。

  これにたいし木村課長は、次の考えを明らかにしました。

 (1)厚生省としてできることはやる。国家補償の援護法は政治の問題。

 (2)健康管理手当の更新手続きの簡素化は6月までに具体化する。

 (3)特別葬祭給付金の請求期限の延長は、議員立法で改正するしかない。

 (4)特別葬祭給付金の請求者を25万人としたのは予算措置で、25万人いる確証はない。

 (5)被爆者援護法にある福祉事業は都道府県から事業としてあげてもらわないと対応できない。

 (6)平成10年度予算について、日本被団協と話し合い、具体化できるものがあれば検討する。

 これについては、4月30日に行なうことになりました。

4月8〜9日の中央行動での要請にたいする対応は次のとおりです。
  ◇外務省◇

 外務省へは、小西事務局次長ら6人が、次の4項目で要請しました。

 (1)核兵器は国際違反と言明してください。

 (2)核兵器廃絶国際条約締結でイニシアティブをとってください。

 (3)非核三原則を法制化し非核の日本に。

 (4)在外被爆者にも援護法の適用を。

 外務省側は、総合外交政策局の山田安保課長、篠塚軍縮課長が対応。

 要請にたいし、「日本は核兵器の究極的廃絶に努力している」「在外被爆者については厚生省と連絡をとる」というだけで、核兵器廃絶への熱意は見られませんでした。

 ◇自民党◇

 自民党は長勢甚遠社会部会長が対応。「法の改正はむずかしい」「更新手続きの簡素化は、6月中に簡素化の方針を出すと厚生省がいっている」と答えました。

 ◇社民党◇

 社民党は上山和人参院厚生委員長。これと別に山本正和副党首も対応。「国家補償への法改正は困難」「請求期限の延長については手を打つ」「更新手続きの簡素化やらせる」「在外被爆者は外務省に働きかける」。

 ◇共産党◇

 立木洋副議長が対応。「要請事項はすべて全面的に賛成」「被爆者対策委員会を常設して対策を検討している」「各党にも話を持ちかけ、要請事項の実現に全力尽くす」。

 ◇民主党◇

 中桐伸五衆院議員が対応。「核兵器廃絶では日本政府の腰が弱い」「法改正は朝令暮改にならぬよう3年ぐらいは待ってもらわねば」「健管は政審にはかってみる」。

 ◇太陽党◇

 粟屋敏信衆院議員が対応。「みなさんの主張はよく分かる」「なぜ核兵器は国際法違反といえないのかなあ」「援護法には矛盾が多い」「改正、改善に努力する」。

 ◇参院公明◇

 鶴岡洋平成会長代行、及川順郎政審会長、風間昶参院議員が対応。 「参院で二度可決した援護法へ一生懸命やる」「更新手続きの簡素化は厚生省だけでできる」「横の連絡をとりながら努力をしたい」。

 ◇新社会党◇

 山口哲夫書記長、栗原君子参院議員が対応。  「要請の趣旨にそって努力する」。

 ◇さきがけ◇

 堂本暁子議員団座長が対応。「核兵器廃絶は賛成だが、国家補償の援護法への改正は、今はできないから、請願署名の紹介議員にはなれない」。

 ◇二院クラブ◇

 島袋宗康参院議員の秘書が対応。「趣旨に賛同する。紹介議員になる」。

  新進党は、会議のため今回は対応できないとのことでした。

【松谷訴訟−結審までに50万署名を】

長崎原爆松谷訴訟を支援する会では、6月27日の結審までに、公正判決要請署名50万の目標を達成しようと、全国に呼びかけるとともに、地元長崎では、毎週土曜日の午後、繁華街での宣伝・署名行動をくりひろげています。

 3月29日も、小雨模様の天候でしたが、新婦人を中心に13名が参加。原告の松谷さんを先頭に、1時間で1,000枚のチラシを配布し、173筆の署名と4,300円のカンパを集めました。

 なお、4月20日現在、全国からの署名は432,000を超えました。

(詳しくは 松谷訴訟のホームページをごらんください。

【未臨界核実験は核開発のため】

 アメリカのエネルギー省は、延期していた未臨界核実験を6月に、さらに2回目を今秋に実施する発表した。

核弾頭の起爆に使われる原爆は、プルトニウムを囲んだ火薬を爆発させ、プルトニウムが圧縮されて臨界を越えると核分裂の連鎖反応を始め、核爆発を起こす。未臨界核実験では、火薬を爆発させても、連鎖反応の始まる臨界の一歩手前にとどめるようプルトニウムの量を調節するなどして、核爆発がおこらないようにする。こうして得られたデータをもとに、「核爆発の科学」を完成させ、核爆発なしで、新型または改良型核弾頭の設計技術の開発と、新型または既存核弾頭の信頼性と安全性のチェックができるようにする。

 こうして包括的核実験禁止条約のもとで、強力な核兵器体系を保持しようとするのが未臨界核実験の狙いである。(沢田昭二

【米ネバダ核実験場で「被爆兄弟」の誓い】

 3月27日から4月4日まで、アメリカのネバダ核実験場周辺で繰り広げられた「地球の傷をいやす1997年春のつどい」に参加しました。

 アメリカの核実験被害者、反核・平和、環境、人権などの29団体が主催したもので、初日には約40分間、「被爆者の訴え」を行ないました。

 30、31日には実験場ゲート前で、「未臨界核実験反対」、「実験場を西ショショーニ族(地権を有するインディアン)に返還せよ」の抗議行動とデモ行進が行なわれ、先頭に立って参加しました。

 また、地元のテレビ局のインタビューをうけ、放送もされました。

 行動の合間には、「被爆兵士の会」のアンソニー・ガリスコ会長の案内で、核実験場をはるかに見下ろす丘に建つ「被爆兵士の碑」を訪ね、折り鶴を捧げるとともに、ガリスコさんの申し出で「被爆兄弟」の誓いを交わし、核兵器廃絶への連帯を決意し合いました。(熊本県被団協事務局長 中山高光)