Neko−2







CQ誌'97.8月号紹介


1996.10より配布開始
1998.9で配布終了
NEKO-2 JS1RSV-HomePage
更新:1997.12.28
改定:1998.9.2

ワンチップマイコン(PIC16C84)を使用した1200bps/9600bpsモデム内蔵TNC


Neko−2は、アマチュア無線パケット同好会「WTKグループ」の有志が開発したTNCです。数年前に開発/配布したNeko−1に続くNekoシリーズ第2段です。Neko(猫)の由来はCATシステムから来ており、パソコンからTNC(Neko)を経由してCAT対応トランシーバの周波数変更等、各種コントロールが出来ます。

Neko−2の設計目標は、なるべく小さく、1200bpsと9600bpsモデムを搭載したTNCを作ることでした。さらに、誰にでも簡単に組立られるように、基本的にフラットICの半田付けをしなくて済むように考えられています。部品点数を極力減らす為に、JS1RSVが作成した、ワンチップマイコン(PIC−16C84/注1)を使用した9600bpsモデムを使用しているのが特徴です。

注1:16C84は16F84にモデルチェンジしました。現在入手可能なのは16F84のみですが、Neko−2の場合は問題なく使用可能です。


Neko−2について

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Neko−2の仕様

CPU CPU TMPZ84C015 直付け、又は、AKI-80 を使用
モデム 9600bps:PIC16C84 1200bps:TCM3105
基板 4層ガラスエポキシ、レジスト、シルク、130mm×93mm
ファームウエア TNC部:TNC2(1.1.8)改、モデム部:JS1RSVオリジナル
制作・全体回路図・PICライタ部設計 7K1PDM
原案・9600bpsモデム部設計 JS1RSV
TNCファームウエア改造 T.H.
Neko-2 試作 JK1JBT,7M1IVW
ドキュメント作成 7K1PDM,JH1PIK,T.H.JS1RSV

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Neko−2の特徴

Neko−2のモデムには、1200bpsは一般的なTCM3105を使用していますが、9600bpsには、ワンチップマイコン「PIC−16C84(以下、PICと略す)」を使用しているのが特徴です。

PICは、マイクロチップ社の小型で高速なワンチップマイコンです。このPICのプログラムエリアは書き換えが可能な為、TNC部分に独自に追加したファームウエアによって、PICライタを実現することで、Neko−2上に実装したままモデム部のプログラムの書き換え等が可能です。

RBBSへファイルをアップロードする感覚で、モデム部のプログラムを書き込むことができます。これで、出力波形の変更や、9600bps以外の速度に変更することも可能です。プログラムのアップグレードや、自作も簡単に行えます。

Neko−2のTNC部分はTNC−2をアレンジしたタイプで、CPUにTMP−Z84C015を使った最近のTNCとしてはオーソドックスな構成になっています。

AKI80このCPUは100ピンのQFP(フラットパッケージ)で半田付けに有る程度慣れた人でないと取り付けは難しいかもしれません。そこで、秋月通商で販売されているCPU基板(AKI80)を使用することで、フラットパッケージの半田付けをしなくても、一般的なDIPパッケージの半田付けだけで組み立てることができるようになっています。

もちろん、CPU等を直付けすることも可能で、AKI80を使用するよりローコストで小型に製作することもできるような、2種類の方法が取れる基板に設計されています。制作に必要な費用は、部品の調達方法等によって差があるでしょうが、基板も含めて2万円弱程度です。

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ワンチップマイコンを使った9600bpsモデム

Neko−2のもっとも特徴的である、ワンチップマイコンを使った9600bpsモデムは、前作のNeko−1にも搭載されていました。このワンチップマイコンを使用したモデムは、1993年5月号のCQ誌で「RSV96」として発表したモデムをアレンジしたものです。

PIC16C84RSV96やNeko−1では、インテルの80C31というCPUを使用していました。この80C31はかなり古いアーキテクチャのCPUですが比較的高速で、この種の処理には向いているものでした。しかし、このCPUはROMを外づけする必要があり、外づけ部品も必要になります。(注2) Neko−2で使用したPICは、CPUの中にROMを内蔵しているため外付け部品が少なくて済み、価格が安く、消費電力も低減し、処理速度の向上(約2.5倍)しました。そして、PIC内蔵のROMは簡単に書き替えられるので、モデム用ファームウエアの変更が誰でも簡単にできます。

でも、全く欠点が無いわけではありません。内蔵ROMの容量が少なく大きなデータを入れる事ができませんし、CPUのインストラクション(命令)は少々分かり難くプログラミングがやりにくいですし、入出力端子の数も多くはありません。しかし、これらの欠点を考え合わせても、このような用途には最適なCPUだと思います。

Nekoシリーズのモデム部CPUは、NRZ−NRZI変換も行っています。一般のTNCではTTL等のICを使っていますが、数種類のICが必要となるため部品点数が減りません。FX489等のGMSKモデムLSIを使用しても、このNRZ−NRZI変換回路は必要です。

注2:80C31のROM内蔵版である87C51もあるが高価である。

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ROMライタ内蔵で、モデム部プログラムは書き換え可能

PIC16C84の内部ROMはEEPROMです。書き込みシーケンスは少々複雑ですが、ROMの焼き替えに紫外線ランプ等のイレーサーが無用なために、ROMの内容を簡単に書き換えることができます。このメリットを生かして、Neko−2では一般のターミナルソフトからTNCに拡張されたコマンドを使い、モデム部のプログラムを自由に書き換えることが可能になりました。このPICライタは7K1PDM/OMが作成されたものです。

また、PICは内部ROMの容量が少なく、一度に多くの波形データを入れることができません。波形データの切り替えは、ROMの内容を書き換えることで行います。しかし、PICのEEPROMの書き換え可能な回数(寿命)は、100回と言われています。実際には、もっと寿命は長そうですが、一般的な使用では波形データを頻繁に変更する可能性は少ないと思いますので問題は無いはずです。

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1200bpsモデムはTCM3105

1200bpsモデムにはTCM3105を採用しています。この理由は、私が知る限り1200bpsモデムでは、TCM3105が最も優れたモデムだからです。PIC程のCPUパワーが有れば、プログラムで1200bps/AFSKを復調することも可能かもしれません。しかし、前段に気合いの入ったフィルタ回路を付けない限り、TCM3105を越える事はおろか、並ぶことすら困難な事だと思われます。そこで、1200bpsでも実用に耐えられるように、TCM3105を採用しました。この為、回路は複雑になり基板サイズが大きくなってしまうのですが・・・

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Neko−2の将来性と現

モデムのプログラムを変更することで、9600bps/FSK以外のモードを扱える可能性があります。特にPICは高速なCPUなので少々複雑な処理でも大丈夫です。現時点では19200bps/FSKが可能になっています。多少復調率が劣ってもよいなら、1200bps/AFSKや、PSK等も可能かもしれません???

AD7820この辺の新たなる可能性を探るために、Neko−2の基板にはA/Dコンバータが乗せられるようになっています。入力信号をアナログ値で得ることで、従来の2値入力では得られない復調方法を試すことができます。しかし、実際には、PICでは小数点計算ができませんので、この種の処理が専門のDSPのようなプログラミングはできません。全く独自の手法を使ったアルゴリズムが必要になるので難しいようです。さらに、A/Dコンバータの購入を予定していた販売店が扱わなくなってしまった為、入手も難しくなってしまいました。

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モデム・プログラムのダウンロード

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Neko2についてのご質問

モデム(RSV96pic)関連と基板配布については、JS1RSVが担当ですが、それ以外の質問については、分かり兼ねる場合もあります。このような場合、お返事が大幅に遅れる場合もありますのでご容赦ください。WTK−BBSにて直接ご質問頂ければ、良く知った者から直接回答が得られるかもしれません。