---------------------------------------------------------------------------- Z84C015(100ピンCPU)の半田付け例 1996 10/25 ---------------------------------------------------------------------------- 例1 このタイプ( 0.65mm ピッチ)の半田付けが初めての方は、以下の内容を十分に 御理解の上作業を御願いします・・・といっても、仕上がりを保証できる訳では、 ありませんが(^_^;)。フラットパッケージRAM( 1.27mm ピッチ)と比較しても 半田付けは遥かに難しいです。半田付けに自信を御持ちの方も、もし初めての体験で あるなら、この部分の作業は従来の感覚を多少変えてトライした方が良いでしょう。 似たような素子の付いたジャンクの不要基板で、コテと半田と貴方の腕とを 馴染ませて(^_^;)おくと安心です。 このCPUは、元々手作業で半田付けすることを前提に作られている訳では 無いと思われます。AKI−80もそういう理由(手作業では失敗の可能性が 高い(^_^;))ので半田付け済品のみが販売されているのだと考えられます。 しかし、経験と熟練、それに工夫が有れば、十分に納得出来る半田付けが可能 ですから御安心下さい。 以下に、この半田付けの一般的な注意事項を示します。 ◎注意事項 ・1ピン当たりの使用半田量は極度に少ない 通常の半田付けと比較して、このタイプは1ピン当たりの半田使用量は、 おそらく、数十分の一でしょう。同梱のフラットパッケージのRAMと比較しても 1ピン当たりは数分の一以下でしょう。あの細いパターンに僅かの金属片を付け なければないのですから。それも連続して。 ・事前準備が必要 フラックス(ペーストでも可)、洗浄剤(アルコール等)、半田吸い取り線、 針、ルーペは必要です。 ・足の曲がりは禁物 半田付け前に、CPUの足が曲がったり、奇麗に揃っていないと半田付けは うまくいきません。もし曲がっていたら、針の先で丁寧に揃えて下さい。 ・1ピン毎の半田付けは無理 極細半田コテを使用すれば不可能ではありませんが、これは特殊ですから、 一般的な細めのコテで半田付けすることになると思いますので、1ピン毎の 半田付けは無理でしょう。 ・クリーム半田は要注意 量産時には欠くことのできないクリーム半田ですが、マスクを使って印刷 出来ない場合には、半田ボールの問題がありますので、使用しない方が無難です。 半田ボールとは、ランド間にも塗布されたクリーム半田、つまり余分なクリーム 半田が加熱によって小さな半田粒となって飛び散る現象です。これが、素子の 裏側に入り込むと洗浄してもなかなか取れません。 ・半田付けするのは、足の裏 CPUの足の裏とランドとを付ける訳ですから、見えない部分を半田付け することになります。フラックス等を併用して、半田付けする表面を十分に 活性化することが必要です。 半田付け方法を2通り以下に示します。 ◎多ピン同時半田方法 4辺の内の1辺を一挙に仕上げる方法です。私は4K円弱で購入した自動 温度調整付き100W(かなり小型のものです)のコテを使用して、この方法で やっています。 1)パターンの上にCPUを乗せます。向きを間違えないように!!。位置を良く 合わせます。足は簡単に曲がりますから、注意します。 2)4辺の各辺の1ピンを仮半田して固定します。 3)適当に全ピンを半田付けします。多少の未半田ピンやブリッジピンが出るのは かまいませんが、多過ぎないように注意します。フラックスを併用すると 良いでしょう。ここでは半田付けするというよりは、1辺に必要な量より若干 少な目の半田を供給するという感じでやります。 4)多過ぎた場合は半田吸い取り線で除去します。 5)仕上げる1辺に注目し、フラックスを塗り、微量の半田を先端に付けた半田コテ を端から他方の端へ向かってゆっくりと引きます。このときコテ先の半田の 表面張力によって1ピン毎に同量で、かつ、適量の半田が残ります。最終ピンに 達した時に、コテ先の半田が無くなるのが理想です。コテを動かす時にCPUの 足を引っ掛けて曲げないように注意します。失敗したら、吸い取り線で半田を 除去し、再度行います。こうして4辺を仕上げます。 6)焦げて黒くなったフラックスを洗浄液で除去します。腰の強い刷毛が良いです。 7)ルーペで確認します。ブリッジと未半田ピンはありませんか?。 ◎2ピンずつ半田方法 2ピンずつ同時に半田付けする方法です(ローカル局はこの方法です)。 1)上記1)、2)と同じ。 2)細いコテ先で2ピンずつブリッジに注意して同時に半田付けします。 フラックスを併用します。 3)上記6)、7)と同じ。 成功ですね!・・え?失敗したって!!??。AKI−80にしますかねぇ(^_^;)。 昔のベーク片面基板等に比べれば、Neko−2の基板はかなり丈夫です。 それでも細いパターンですから、無理は禁物です。もし、CPUを取外す場合でも、 パターンを生かすつもりなら、足をカッターやニッパで切らないない方が良いです。 切ったショックでランドの根元にクラックが入り、後でトラブルになるケースが あります。隣ピンがテコの支点となるように針をセットし、コテで暖めながら 1ピンずつ丁寧に浮かせて外すと良いでしょう。 成功を祈ります! 73 -------------------------------------------------------------------------- 例2 ※100ピンフラットICの半田付けについて・・・ この Neko-2 の製作で一番の難関は、100ヒ゜ンフラットIC の半田付けだと思います。 今までこのようなフラットICの半田付けの経験のない方は、戸惑うかも知れませ んがやってみると意外と簡単に半田付け出来ます。以下に私の方法を書きますので、 参考になさって下さい。 1.用意するもの フラックス、ハンダ、半田コテ(有る程度容量の有るもの)、ハンダ吸取線、 無水アルコール等のフラックス洗浄剤、ルーペ、歯ブラシ 2.フラックスの塗布 まず最初にフラットICのパターン部分にフラックスを「タップリ」塗ります。 しばらくほっておくと、フラックスが固くなって来ます。そこに100ピンフ ラットICを向きを間違えないようにして乗せます。ICの1番ピンに「●」 が有りますからこれを基板の「●」にあわせて下さい。そして、慎重にICの 足をパターンにあわせます。 3.パターンにICがきちっと乗ったのを確認してから軽く手で押さえ、少量の半 田を付けたコテで四隅の足の内の一ヵ所を付けます。この時に、ICの足が動 かないように気を付けて下さい。もし動いていたら、今半田付けした足にコテ をあてながら修正します。 4.続いて最初に半田付けした足の対角線上の角の足をやはりICを軽く押さえな がら半田付けします。足がずれていない事を確認したら、残りの2ヵ所の角を 半田付け します。これでICの四隅の足が付いた事になります。 5.四隅がついたら、今度はICにコテをあて、半田を流しながら付けて行きます。 ICの足の裏側に半田を流し込むような感じで半田を付けます。当然足の間隔 が狭いので、隣の足と半田ブリッジになる所が出て来ますが、構わずに半田付 けします。これを四辺とも行います。 6.次にハンダ吸取線を使って足の間の半田ブリッジを取り除きます。このときI Cの足を曲げないように慎重にハンダ吸取線で余分なハンダを取り除いて下さ い。また、過度にハンダを吸取ってしまいますと、接触不良をおこしますので、 気を付けて下さい。 7.ICの足についたフラックスを、無水アルコール等を付けた歯ブラシでゴシゴシ 擦って取り除きます。ルーペを使って未半田ピンが無いか、足の間の半田くず や細いブリッジが無いか確認します。もう一度半田付けが必要なら再度フラッ クスを塗ってからの方が仕上がりが綺麗になります。 以上です。この例を見て上手く半田付けの出来ますことをお祈りしています (^^;) -------------------------------------------------------------------------- 例3 サンハヤトのフラックスでCPUを取り付ける時の事で。。 一般に入手可能なフラックスだとネバネバしたタイプのは余り見掛けません (私が見掛けないだけかもしれない。。。) で、しょうが無いのでサラサラしたサンハヤトのフラックスを使う事にしました。 基板を事前に無水アルコールでフラックスを塗る所を拭きました。 次に綿棒を使ってフラックスをチョイチョイチョイと付けて行きます。 3分くらい置いて、CPUを載せます。 基板のパターンと ぴったり になった所で半日寝かせます(^^; 辛抱する事 6時間 (実は学校行く前に取り付けて帰って来た時間) CPUはフラックスが少し乾燥して逆さにしても落ちない位までになりました。 あとはハンダコテをよく暖めてハンダを流しながら半田づけしました。 うちのは30Wのコテでしたが何とかつきました。 ただ、半田吸い取り線のお世話になりましたけど。。(^^; コテのW数が少ないとハンダ吸い取り線を使っていて温度が下がってしまい 途中で中断してしまう事が度々有ります。 気を付けませう。 -------------------------------------------------------------------------- 蛇足(失敗したCPUの外し方) 万が一足が曲がったり、ICの向きを間違えて取り付けてしまった場合、CPU を外さなくてはなりません。このとき、ニッパーで足を切ったりすると、パターン にダメージを与えてしまい、切れたり剥がれたりする可能性が有ります。そこで、 基板に無理がかからないように外すには、#20〜#26ぐらいのステンレスの針 金を用意し、ICの足の裏側を通して手前で結んで輪にします。そして半田コテで、 はじの足から暖め、針金を「そ〜っと」手前に引きます。余り無理して引っ張って は、いけませんよ。コテで足を暖め、半田が溶けたところでゆっくりと針金を引い て下さい。これを四辺共やれば、ほ〜ら、うまく取れたでしょう。(^^;) 後はアルコールでフラックスを落として基板の点検をしてからやり直して下さい。