2021年12月の映画  戻る
キングスマン:ファースト・エージェント Kingsman:First Agent
2020年 英国/米国 131分 
監督 マシュー・ヴォーン
原作 マーク・ミラー/デイヴ・ギボンズ
キャスト レイフ・ファインズ(オーランド・オックスフォード公爵)/リス・エヴァンス(グレゴリー・ラスプーチン)/ダニエル・ブリュール(エリック・ヤン・ハッセン)/トム・ホランダー(ジョージ5世/ニコライ2世)/バレリー・パフナー(マタ・ハリ)/チャールズ・ダンス(キッチナー)/ジャイモン・フンスー(ショーラ)/ジェマ・アータートン(スナイパー・ポリー)/ハリス・ディキンソン(公爵の跡取り・コンラッド)
メモ 2021.12.30(木)なんばパークスシネマ
あらすじ
第一次世界大戦(1914年)前夜、世界を操っている悪の組織解明と撲滅のためキングスマンが結成されるお話
感想
謀略を巡らせ世界を操っているのは英国も、やないの? という思いで見てるとなかなか興味深い。
「女王陛下の007」とは違い、サンダーバードの様に大金持ちが世界平和のために作ったスパイ組織を標榜してはいるけれど、
その後の第二次世界大戦も防げられへんかったし。 あーあれは悪の権化ナチスドイツとの戦いやったか。
イギリスの勝利、イギリスの繁栄、イギリスを是とした世界平和。
映画館で一度見ただけの感想としては、英国万歳!・・違った。イングランド万歳! アメリカをも操っているのは我々やーという映画。
歴史改ざん映画なんちゃう? イングランドのソフトパワーやないやろか。
 
まあ、ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)「高貴なるものは義務を負う」というのは必要なんやろね。
そういうあれやこれやが感じられても面白かった。リス・エヴァンスのラスプーチンがいい。
 
ヴィクトリア女王の孫ジョージ5世(「英国王のスピーチ」のパパ王 1865年生まれ)とロシアのニコライ2世(大津事件で襲われた皇子 1868年生まれ)は、母親同士が姉妹(デンマーク国王の娘たち)であり母方のいとこ同士。
またプロイセン・ドイツ帝国の皇帝ヴィルヘルム2世(1859年生まれ。第一次世界大戦を招いた人)の母親はヴィクトリア女王の第一子でありジョージ5世の父親のお姉さん。ジョージ5世とヴィルヘルム2世はこれまた父方と母方のいとこ同士になるらしい。
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パーフェクト・ケア I CARE A LOT
2021年 108分 
監督・脚本 J・ブレイクソン(「アリス・クリードの失踪」
キャスト ロザムンド・パイク(マーラ・グレイソン「ゴーン・ガール」)/エイサ・ゴンサレス(フラン)/ピーター・ディンクレイジ(ローマン)/ダイアン・ウィースト(ジェニファー・)
メモ 2021.12.23(木)なんばパークスシネマ
あらすじ
法廷後見人のマーラはドクターや介護施設とタッグを組み、儲かるシステムを作り上げている。頼りになる親族がいない高齢者をドクターが選んで「認知症」と烙印を押す。次は法廷後見人マーラの出番。善良な優等生を演じて家庭裁判所の裁判官を信用させ、お年寄りを高級介護施設とゆう体裁の監獄に放り込む。仕上げは介護費用ねん出のためと家と家財を売っ払い、後は末永く生かさず殺さず長生きさせて各種費用を払い続けてもらうだけ。
感想
「介護ビジネス」というこれからますます市場が大きくなるやろう事業を調子に乗ってやりすぎたマーラとその一党にバチがあたる。
ただバチをあてようとしたのは神様ではなかった。
 
裏社会の人間が最初はちゃんと法令順守、手順を踏んで救出作戦するのが面白い一方、できないのに背筋が寒くなる。
ところが組織は自家薬籠中の物のはずの実力行使段階となるとスットコドッコイで「これは辛口コメディなんや」と見ていたら、だんだんシリアスになってきて。
そして戦いすんで日が暮れてこうくるかというコペルニクス的転回はアメリカっぽい。
そやのに最後はうーん。これでいいのか? 苦いままの方がよかったのにな
 
もうひとつ残念があって、殺し屋が出てきて期待したんやけど、ネタがつきたのか金がつきたのか時間がつきたのか、大きく出た割に中途半端な扱いやったなと感じる。
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ラストナイト・イン・ソーホー LAST NIGHT IN SOHO
2021年 108分 英国
監督・原案 エドガー・ライト(「ベイビー・ドライバー」「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」「ショーン・オブ・ザ・デッド」)
脚本 エドガー・ライト/クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
撮影 チョン・ジョンフン
キャスト トーマシン・マッケンジー(エロイーズ「ジョジョ・ラビット」)/アニャ・テイラー=ジョイ(サンディ「ウィッチ」)/マット・スミス(ジャック「ザ・クラウン」のエディンバラ公)/テレンス・スタンプ/ダイアナ・リグ(「女王陛下の007」)
メモ 2021.12.18(土)TOHOシネマズなんば別館
あらすじ
あこがれのロンドン生活。ファッションデザイナー志望のエロイーズは田舎を後にしてやってきたが、はではでいけいけの寮生たちにからかわれ肌があわない。
ォを飛び出したエロイーズはソーホー地区の下宿屋で暮らし始める。
感想
光も影もあるあでやかな映像がスリリング。
鏡を多用した作品で、特にらせん階段での鏡の使い方が美しい。あるおもいが主人公と共鳴していく。
鏡を使った映画というとオーソン・ウェルズ監督の「上海から来た女」とかロバート・シオドマク監督の「暗い鏡」、「サスペリア2」のダリオ・アルジェント監督とか思い浮かぶけど、この映画は量だけでなく質でも負けていない。
昔の映画を思い出していたせいか、舞台が1960年代のロンドン(スウィンギング・ロンドン)やったせいか、見終わってみるとお話はオーソドックスなサスペンスのような気がしてきた。レトロで好みの映画ということかな。
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テルアビブ・オン・ファイア 
2018年 97分 ルクセンブルク/フランス/イスラエル/ベルギー
監督 サメフ・ゾアビ
脚本 ダン・クラインマン/サメフ・ゾアビ
キャスト カイス・ナシェフ(脚本家サラーム)/ヤニブ・ビトン(イスラエル軍アッシ)
メモ 2021.12.17(金)レンタルDVD
あらすじ
イスラエル育ちのパレスチナ人サラームは、おじさんがプロデューサをしている人気ドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」のアシスタントをしている。
アシスタントと言っても仕事はヘブライ語の助言とお茶くみ。
ドラマの舞台は1967年、第三次中東戦争の3か月前。パレスチナ人のラヘルは活動家の恋人に「成功すれば結婚しよう」と甘く囁かれ、機密情報を盗むためスパイとなりイスラエル軍の将軍に触れなば落ちん姫力で距離を縮める。というハラハラのサスペンスと美女と男たちの三角関係の行方はいかにのどきどきメロドラマはパレスチナのみならずイスラエルでも人気が高い。
 
毎日アシスタントのサラームは仕事のため自宅のエルサレムと現場のパレスチナに通っている。わずらわしい事に日に2回検問所を通らなければならない。ある日口が災いし、検問所のイスラエル軍司令官に「妻がそのドラマが好きで毎回みている」と目をつけられ、翌日「俺が書いた」ドヤと押し付けられた原稿をしかたなしにヘブライ語からアラビア語にそのまま翻訳した脚本は、主人公ふたりのピクニックシーンになんとか採用される。が、ホロコーストへ言及したセリフがあったことから「ユダヤに味方するあんたらとは、やっとられんわ」とメインの脚本家が降板してしまい、棚ぼたで後釜となった。
感想
映画館で見た予告編で想像していたよりずっと面白かった。
イスラエルの司令官に脅されドラマはどんどんユダヤ寄りになり、「スポンサーがご不満だ」というおじさんのみならず、いいかっこさせて欲しいとわがままゆう俳優らの扱いも綱渡り。各方面から圧をかけられるサラーム。自分の望みはと言えば脚本家を続けたいからシーズン1で終わらせたくない。その上友達以上になりそうな幼馴染との仲も、、、、ハッピーエンドにしたい。
四面楚歌状況で四方八方良しの結末は作れるのか。
 
「このドラマを見るのは女だけ」といっていたイスラエル軍の強面軍人が結構メロドラマ好きで笑える。
 
映画の中のドラマはいきあたりばったりで作られていくんやけど、この映画の脚本は実に緻密。たくみ
撮影が10分休憩になったとたん、将軍役の俳優さんが机の上に置かれた軍帽の下に隠してあったスマホをさっと取り出すワンシーンに映像よりも脚本よりなもんでまことに感心した。スマホから30センチと離れていられない現代人。
 
映画だけやなくDVDに収録されている監督さんへのインタビューも興味深い。
監督さん自身イスラエル育ちのパレスチナ人で、言われることには世界三大国際映画祭(カンヌ、ベルリン、ヴェネツィア)ではシリアスな映画が受ける。
中東の話となればさらにそうだ。そのためコメディを作る資金集めに苦労されたそうです。
のほほんとしたコメディ映画ながら、パレスチナ人を追い出すためにイスラエルが築いた高い塀の映像や「オスロ合意(でアラブは安心し油断し骨抜きにされた)」(1993年)とか「第一次インティファーダ(で一か月間外出禁止になり苦しんだ)」(1987年)の事件をコメディに巧みに忍ばせてある。なんも知らんと観てるもんで「それはなんなん」と検索する。
 
そして映画に「フムヒ」という料理が何度も出てくる。中東アラブ世界の伝統的な料理だそうです。
「ゆでたひよこ豆とにんにく、練りごま、レモン汁、オリープオイル」をペースト状にしたものらしい。
監督さんのお話によると「イスラエルはヨーロッパ各地から人々が集まった国」で、つまりユダヤ教以外の独自の文化はない。最近ヨーロッパに「イスラエル・フムヒ」のお店とかあるけどそれは違うんちゃう? (土地だけやなく文化も乗っ取る気?)
と、パレスチナの存在と伝統料理フムヒの本家本元正当性を世界に発信してはるんやと思う。
結婚式のシーンではキリスト教の教会を使い「十字架はダビデの星で隠せばええやん」というところに、「パレスチナ問題は宗教問題ではない」(だいたい元は同じやったんやし)というのがわかる様に思う。
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悪なき殺人 
2019年 116分 フランス / ドイツ
監督 ドミニク・モル
原作 コラン・ニエル
脚本 ジル・マルシャン/ドミニク・モル
キャスト ダミアン・ボナール(酪農家ジョゼフ)/ロール・カラミー(社会福祉士アリス)/ドゥニ・メノーシェ(アリスの夫ミシェル)/ナディア・テレスキウィッツ(若い女マリオン)/ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(行方不明のエヴリーヌ)
メモ 2021.12.12(日)シネ・リーブル梅田
あらすじ
南フランスの高原。酪農家がぽつりぽつりあるだけの自然に覆われた土地。雪が積もっている。その人口密度の少なそうな地で女性が行方不明になる。
感想
5人やったかな、登場人物の視点で事件の各パーツが描かれ難しくて目が離せないフランス映画。
誰もが手に入れられないものを求めている。それぞれが孤独やねん。
ラストの寒そうな表情もよかった。
 
犬が一頭行方不明のまま。欠けたピースやねんけど、想像するに
「ひとりが好きなのになぜ犬を飼っているの?」とマリオンに言われたエヴリーヌが
「このこが私を見つけたの(選んだの)」の言葉が意味深。
描かれていないけれど、ワンちゃんが行方不明のエヴリーヌを見つけたのかな
事件が解決されていないと、コートジボワールから愛人をフランスに連れてこれないんちゃうかな
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アンテベラム ANTEBELLUM
2021年 106分 米国
メモ 2021.12.1(水)TOHOシネマズなんば
感想
新聞のシネマ紹介欄に
「できるなら事前の情報には全く触れないで観ることをオススメする」