2020年8月の映画  戻る


グッバイ、リチャード! THE PROFESSOR
2018年 91分 米国
監督 ウェイン・ロバーツ
キャスト ジョニー・デップ(リチャード)/ダニー・ヒューストン(ピーター)/リンダ・エモンド(バーバラ)
メモ 2020.8.29(土)シネ・リーブル梅田
感想
仲間がいても孤独が見え隠れし、若い頃から滅びゆく男が似合うヤツ
なジョニー・デップを使いながら、
軽いタッチなのはええねんけど、全体に脚本と演出が薄っぺらくて娘に別れを告げるシーンときたら見ているこっちの眉が下がる凡庸さ。
ラストはよかったけど。
 
深刻な病、カミングアウトするひとり娘、夫が勤めている大学の理事長と浮気している妻、絶滅危惧種となっている純文学
という四面楚歌をどれもこれも掘り下げないの。映画なのに言葉で説明するねん。
まあ、今さら掘り下げてもねえ、リチャードには時が来てるしどーしようもないんやけど。
とはいえ、教え子の男子学生もひとり娘も行動があまりに唐突で訳わからへん。
特にリチャードの奥さんが謎。芸術家と聞いてびっくりした。「芸術家」で意味不明の行動の説明がつくのか?
服もメイクもばっちり決めて暇を持て余した有閑マダムと思ってた。
あのデカい作品(オベリスクって言うんやったっけ)を創る人にはとうてい見えない。
あの人は自分の芸術作品を売るため展示するため手段選ばずなん? そそりたつ造形物=○○のセリフを使いたかっただけ?
 
そんなこんな中でも健闘しているのはリチャードの友達のピーターとその妻バーバラ。
ピーター役のダニー・ヒューストンはジョン・ヒューストン監督の息子さんでアンジェリカ・ヒューストンの異母弟さんだそうです。
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れいこいるか 
2019年 99分 日本
監督 いまおかしんじ「ろんぐ・ぐっどばい〜探偵 古井栗之助〜」
脚本 佐藤稔
出演 武田暁(たけだあきら・伊智子・いちこ)/河屋秀俊(太助)
メモ 2020.8.21(金)シネ・ヌーヴォX
あらすじ
1995年1月16日、れいこは3才になった。誕生日には親子三人で須磨水族館のイルカショーを見る。
母の伊智子にはイルカのぬいぐるみも買ってもらった。
翌日1月17日の早朝、大地震が起きる。阪神・淡路大震災だ。
それから5年、10年、15年、20年と月日は過ぎていく。
感想
映画を見終わり家に帰ってきてTVをつけるとWOWOWで「BBC Earth 2020 トロピカル・アイランド 常夏の楽園」をしていた。
ハワイの海でザトウクジラやったかな、求愛行動の一貫でメスがオスに自分を追いかけさせるの。
よっぽど魅力的なメスなのか、10数頭のオスが参戦してる。
泳ぐだけやなくトライアスロンみたいなプロレスでもあり、ライバルをヒレで叩くやら体当たりするやらもう大変。
かぐや姫も真っ青な非情なメスやなあと思って見ていた。一番強いオスとつがうためやねんね。フィメールチョイスとゆうらしい。
 
一方人間は生活力なさそうやったり暴力男やったりのダメンズとくっついちゃう女性も多くいるねんね。
それは、恋愛体質なのか、来るもの拒まずの慈悲の菩薩さまなのか。
主人公のひとり伊智子もそうで、分け隔てなく軽口たたいたりいつも笑っている。
以下、結末を書いてます
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この世で一番つらいのは大切にしている子供が行方不明になったり、先立たれたりすることちゃうかな。
 
印象に残ったのは3つ。
太助が伊智子とふざけあいながら「自分を責めるのはやめろ」というセリフと
目が見えなくなった伊智子にやっとれいこの「おかあちゃん」という声が届くところ。
そして、この作品では誰も怒らない。恨まない。責めないねん。 ただただ飲んでる。
湿っぽくなくて、諦観したユーモアさえある。
伊智子の目が見えるようになったのは、れいこと向き合えるようになったことを表わしているように思う。
 
関係は変わっているのに伊智子と太助が出会った時のまま「ダボ!」と言い合い中坊の様にじゃれあうシーンがいいな。
「ダボっていうやつがダボやねん」 ふたりともうまい。
十代の俳優がやっている映画でもこんなにリアルなのは見たことがないと思う。
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ジェクシー! スマホを変えただけなのに JEXI
2019年 84分 米国/カナダ
監督 ジョン・ルーカス/スコット・ムーア(「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」の脚本
キャスト アダム・ディヴァイン(フィル)/アレクサンドラ・シップ(ケイト)/マイケル・ペーニャ(フィルの上司カイ)
メモ 2020.8.15(土)なんばパークス・シネマ
感想
「her/世界でひとつの彼女」の向こうをはってるてな呼び込みやねんけど、及ばない。
スマホがストーカー化するって恐ろしい話かと思ってたら、そこんところは控えめで相変わらずの「友達ゼロ、パートナーいない」のは許されない社会の話。
スマホまで主人公に圧をかける。
加えて、主人公のフィルがモテナイくんに見えない。美女を前にこれだけしゃべれるんやもん。
 
見どころは、しょっぱなにフィルの上司カイ(マイケル・ペーニャ)が、部下全員に声だしを強制してひとりに「お前はベース」って言ったら部下の黒人の人が声でリズム体をやり出したところ(わーすごいわ)。
もうひとつは、最近「IQ」って小説を読んで「ラップはわからへん。アジアの大阪のオバチャンにわかるはずないか」と思っていたところ
この映画のラップシーンはなかなかいいんちゃう と思う。という事は音楽がいいのかもしれん。(知らんけど)
 
総括すると主人公の男女ふたりよりもスマホのジェクシーよりもマイケル・ペーニャが光ってた。
マイケル・ペーニャは、「ザ・シューター/極大射程」ではFBI役やった人。
「オデッセイ」では乗組員のひとりで木の十字架を持っていたマルティネス役の人。
ジョン・レグイザモやマーク・ラファロとちょっとかぶるんやけどね。しっかり覚えよ。
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ディック・ロングはなぜ死んだのか? THE DEATH OF DICK LONG
2020年 100分 米国 ファントム・フィルム
監督 ダニエル・シャイナート「スイス・アーミー・マン」
キャスト マイケル・アボット・ジュニア(ジーク)/バージニア・ニューカム(ジークの妻レディア)/アンドレ・ハイランド(アール)/スニータ・マニ/ダニエル・シャイナート(ディック・ロング)/ジェス・ワイクスラー(ロングの妻ジェーン(「グッド・ワイフの調査員」)/サラ・ベイカー(若い警官)
メモ 2020.8.12(水)シネ・リーブル梅田
感想
あまり笑えないブラック・ユーモア作品。アメリカのちっちゃな町のお話。星は★★★1/2
よぼよぼのおばあちゃん保安官がなあ。印象には残るけどもうひとつ物足らない。
 
まあ、それも含めてゆるゆるぐだぐだした展開ではある。ためになる話はカケラもない。が、そこが面白いというか。
 
こうなってしまったら隠し通せるはずがないのに主人公はジタバタあたふた。この秘密は墓場まで持っていきたかったよね。
勘のいい方はわかっちゃうと思うので以下ご注意のほどを。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
クスッと笑ってしまったのはふたつのセリフ
 
    「お前と出会う前からなんだ」(ジーク)
 
    「彼は浮気しているの?」(ロングの妻ジェーン)
 
「楢山節行」とか「父 パードレ・パドローネ」、「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」の羊さんを見たので「こういうのもあるのかな」と思う一方、
アレは攻めやったけど、コレは受けかあ。
目の前の現実だとやっぱりショックよね。過去の話やないみたいやし。とも思う。
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お名前はアドルフ? 
2018年 91分 ドイツ
監督 ゼーンケ・ヴォルトマン
メモ 2020.8.6(木)テアトル梅田
あらすじ
家族のディナーで弟が爆弾発言をする。まもなく生まれてくる長男の名前を「アドルフ」にすると言う。なんですって?
ひとかどの男にして、「アドルフ」の悪いイメージを一掃するそうだ。
感想
後半、映画館でクスクス笑いがアチコチで起こる。5人のヒートアップしていく舌戦。家族の中の秘められていたトゲが牙をむく。
元はフランスの舞台劇だそうです。
家族といっても5人は、大学教授や学校の先生のインテリ族、高卒で不動産売買で成功している商売人実業家、
舞台女優とオーケストラのクラリネット吹きの芸術家族と多様な人たちの集まりなのだ。
 
 
「アドルフ」はあかんと言われた弟トーマスが、そんならと大量殺人者の「ダメな名前一覧」を作り始める。
ムッソリーニ(アンドレーア/アンドレア)、スターリン(ヨシフ/ヨーゼフ)やらときて(ハインリヒ・ヒムラーもあったかな)、
「8人殺した切り裂きジャック。 ジャックのドイツ名は?」
「・・・ハンス」
「ハンスもダメか。   何人殺したら名前禁止になる?」
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ドロステのはてで僕ら 
2020年 70分 日本
原案・脚本 上田誠(「サマータイムマシン・ブルース」
撮影・編集 山口淳太
主題歌 バレーボウイズ「タイトルコール」
メモ 2020.8.4(火)シネマート心斎橋
あらすじ
カフェの2階に住んでいる店長のカトウは、自宅のTV画面から呼んでいる「自分」と対面する。
そこに映っているのは2分後の「自分」だった。
感想
京都二条をホームグラウンドとする劇団ヨーロッパ企画による「エクストリーム時間SF」とか。
過激というか無理やりというか手作り感いっぱいの作品。(長い電源コードやわ。)
長回し撮影でありスマホで撮った映像もあったようで、映画館で見てると「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」と同じく、ちょっと酔ってツライ。
 
わかったような、わからないような世界やけど劇団総力の意欲とお話の落ちがよかった。
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プラド美術館 驚異のコレクション 
2019年 92分 伊太利/西班牙
メモ 2020.8.1(土)シネ・リーブル梅田 字幕
感想
スペインの首都マドリードにあるプラド美術館は、2019年11月に開館200周年を迎えた。
スペイン王家が絶対王政の財力と王族の審美眼で集め、またお抱えの画家たちに描かせたスペインの至宝の数々(展示1500作品、非展示7000作品あまり)の中で、
美術館のキュレーター達が自分の一番好きな作品をたたえるドキュメンタリー。
(こういう美術館の作品を見ているといつも「第三の男」でハリー・ライムが言う「スイスの平和と民主主義が生んだもの。それは鳩時計さ」を思い出す)
ベラスケス、エル・グレコなどなど。特にゴヤに時間が割かれていたと思う。
 
ウチは、ミーハーなもんでプラドといえばボッシュ(ボス)の「快楽の園」やねんけど、キュレーターの人達は