2007年8月の映画  戻る


ベクシル 2077日本鎖国
2007年 日本 112分
監督・脚本 曽利文彦(「ピンポン」
脚本 半田はるか
メモ 2007.8.19(日) 梅田松竹ビカデリ
あらすじ
「21世紀初頭、世界的にロボット産業が急速な発展を続けていた。2050年頃、特に日本は技術面や生産面で他国を大きくリードし、家電から兵器まであらゆるロボットを製造し市場を独占していた。しかし、技術が人間の延命パーツや、アンドロイド(ヒト型ロボット)の実現に及ぶと国際情勢は一変した。原子力開発やバイオテクノロジーと同様に、国際連合により厳格な国際協定が作られ規制が設けられることになった。日本は、この規制に最後まで抗議し抵抗したが、その決定が覆ることはなかった。これに不服とした日本は、国際連合脱退という厳しい道を選択し、「ハイテク鎖国」に突入した。2067年、日本はハイテクを駆使した”完全なる鎖国”を完成し、今年で10年を迎えようとしていた。」
感想
「3Dライブアニメ」というらしい。肌のしっとりした質感を残し、「動く死体」に見えない程度に立体的にリアルに作ってあるそうです。アメリカに比べ予算が極度に少ない。それで「足らない足らないは工夫が足らない」の国らしく、知恵を絞ってあるとか。日本のお金は、世界的に認められているアニメーションに落ちずに何に使われているんでしょうね(怒)。何に使っているかもわからず、感謝もされないODAなんぞ止めれんか?せめて減らすとか。お人よしだと思う。そんな中頑張っている人たちには頭が下がる。日の丸アニメに未来あれ。というわけで実験的な映像は見る価値あったよ。
隣に既に”鎖国しているような危険な国”がある現状で、もう少し大陸から離れた所に日本列島があったらいいのにと思う今日この頃、ハイテク鎖国というのは実に魅力的。
 
しかし、諸外国は受け入れられるとしても(ロカルノ国際映画祭で上映)、日本国でこのストーリーは受け入れられるんだろうか?
 
ネタバレあります。ご注意
 
マリアっていう名前がそもそもわからん。日本人ちゃうの? 日本国籍な訳?
それに、日本への潜入がたやす過ぎて、ようわからん。完璧な鎖国じゃ?
ジャグの動きはよかったけど、見たことあるような。 「トレマーズ」? 「エボリューション」? 人工島に進入する所は「スターウォーズ・エピソード4−新たなる希望」みたいやし。
極めつけは悪がしょぼすぎ。こんなチンケな野郎に国土をめちゃめちゃにされたなんて、情けない。日本の恥だ。日本人がアホに見える。
せめて日本国の自然、山々、木、河、海はよみがえり一層「美しい国」になっていたけれど、日本民族は絶えたの方がまだ、受け入れやすかったと思う。ジャグを登場させたかったから、無理やったんかもしれんけど。 だいたいジャグもやなあ、機械になったからといって日本の亡者(餓鬼)があんな激しい動きすると思う? 違和感あり。日本の何を描きたかったかわからん。
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
2007年 日本 112分
監督・脚本 吉田大八
原作 本谷有希子
脚本 中村義洋/鈴木謙一
撮影 阿藤正一/尾澤篤史
主題歌 チャットモンチー「世界が終わる夜に」
出演  佐藤江梨子(和合澄伽・わごうすみか)/佐津川愛美(和合清深・わごうきよみ)/永作博美(和合待子・わごうまちこ)/永瀬正敏 (和合宍道・わごうしんじ)/山本浩司(萩原くん)/上田耕一(和合曾太郎)
メモ 2007.8.16(木) シネ・リーブル梅田
あらすじ
北陸の山の中、和合(わごう)家では当主とその妻のお葬式がおこなわれていた。ふたりは田舎道でダンプカーに轢かれ亡くなった。残されたのは長男・宍道(しんじ)とその妻・待子(まちこ)、次女の清深(きよみ)の3人。ご近所の話では、宍道(しんじ)は後妻の連れ子であり、澄伽(すみか)と清深(きよみ)姉妹とは血のつながりがないのよ。亡くなった曾太郎には借金があり大変だろう、あの姉妹にも色々あったしねぇとの事。お葬式の当日、4年ぶりに東京から長女・澄伽(すみか)が帰ってきた。彼女は東京で”女優になるため”、”頑張っている”のであった。しかし、芽が出ない澄伽(すみか)は、それを妹のせいにしている。妹清深(きよみ)にとっては恐怖の時間の始まりであった。
感想
戯曲の映画化。言葉も無い
ちょっと前に見た「極大射程」がごくフツーの平凡な(平凡やったけど)映画に見える、今年一番の怪作。まず、底抜けのお人よしでけなげな兄嫁・待子が作る人形のバランスが崩れていて、なんとも 不気味。尋常じゃありませんよ。それはヴードゥー人形ですか? 呪いの人形ですか? 姉にいじめたおされる妹の清深(きよみ)は、ひどい目に会う事で漫画を描く創作意欲が刺激されていくのだ。 マゾかアンタは。 そして、家族愛と長男としての責任と、肉欲に翻弄されるの宍道(しんじ)。 永瀬がねえ、相変わらずいいの(笑)。
水面下の人間性とか、自己チューで勘違い人間にかき回される家族の姿とか、夢を捨てきれない人間をいじっているとか・・・もあるやろうけど、ただ面白いから、スカッとするから、作者は書いたと思う。 重い様な軽いような、ホラーですよ、これは。
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悲しき天使
2006年 日本 103分
監督・脚本 大森一樹
撮影 林淳一郎
出演 高岡早紀(河野薫)/岸部一徳(沖島啓介)/筒井道隆(関川慎二)/山本未來(松下那美)/河合美智子(関川敦子)/松岡俊介(伊東俊一)/松重豊(大分の刑事)/斉藤洋介(サッカークラブの監督)/根岸季衣(うどん屋)/伊佐山ひろ子(旅館)/細山田隆人(松下和夫)/峰岸徹(松下泰造)/野波麻帆
メモ 2007.8.16(木) レンタルDVD
あらすじ
多摩川河川敷で中年男の死体が捨てられていた。すぐに身元は判明。被害者の松下泰造は上京している義理の息子のところに来ていたらしい。息子の松下和夫を取り調べたところ、金の無心に来たろくでなしの親父と争い死なしてしまった。姉と連絡をとり、車で河川敷に運んだ所、泰造はまだ生きていて突如襲いかかってきた。それを見た姉が「人の人生めちゃくちゃにして」と拳銃で義父を撃ったというのだ。姉は弟をアパートに送った後、そのまま逃亡。警視庁の刑事・河野(高岡早紀)と沖島(岸部一徳)は、松下那美は昔の恋人・関川(筒井道隆)に会いに行くと直感。関川のいる別府に新幹線で向かう。関川は、東京で知りあった妻の実家の旅館「筑新」の後をとり、温泉旅館の主人となっていた。近所では「東京からいいむこさん連れて帰ってきた」とすこぶる評判がいい。那美は現れるのか? 向かいの旅館から張る河野(高岡早紀)と沖島(岸部一徳)。
感想
いい映画だったよ。最初動きがあって、その後はずーっとずーっと張り込みしている映画。それがぜんぜん退屈じゃない。
ケータイ電話を使って、刑事達が東京で背負っている私生活も垣間見せる、うまい脚本だった。刑事の高岡早紀は主演というより狂言回しみたいな役だった。さばっとしていて、ちょっとイメージ変わったかな。岸部一徳は風格でてきましたな。洒脱な演技の出来る人だ。高岡早紀に電話が掛かってくるたびに「男か?」 「別れてうまくいく夫婦もあるんです。」うまいなあ。さぼてんの目から見ると女優陣がのけぞるような美人ではなくて○。生活感が出ていると思う。脇もみんな芸達者ばっかりで。筒井道隆が清潔感ある男を好演。はまり役なんだな。この人が柱になっていると思う。男達は知恵者で女達は感覚で動く、なんとわかりやすい。。。。
 
昨年確か九条のシネ・ヌーヴォで上映していた。が、レイトショーだったかで見に行けず。今年になって近所のTUTAYAを探すがDVDなし。店員さんに聞くと「置いていない」とのつれないお返事・・・・。しまいには、TUTAYAの宅配DISCASに入会するか、ネットを見ながら真剣に悩む。でも、一線は越えられず、しくしくあきらめて幾月。 そやのに、お盆休みに何か見ようかと、軽く近所のTUTAYAで棚を見ていたら、あったの(**)。
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ザ・シューター/極大射程
2007年 米国 126分
監督 アントワーン・フークア(「トレーニングデイ」「リプレイスメント・キラー」)
原作 スティーヴン・ハンター
脚本 ジョナサン・レムキン
撮影 ピーター・メンジース・Jr
音楽 マーク・マンシーナ
出演 マーク・ウォールバーグ(ボブ・リー・スワガー)/マイケル・ペーニャ(FBIメンフィス)/ダニー・グローヴァー(大佐)/ ケイト・マーラ(サラ)/ ローナ・ミトラ(アローデス)/ネッド・ビーティ(上院議員)
メモ 2007.8.12(月) 天神橋六丁目ホクテンザ
あらすじ
アフリカで海兵隊の狙撃手ボブ・リー・スワガー(マーク・ウォールバーグ)は、相棒のドニーと息を殺していた。そこに敵が現れ狙撃を開始するが、ヘリコプターからの攻撃でドニーは倒れた。無線を切られ見捨てられたスワガーはただひとり戦い、生き抜く。それから3年、愛犬を友に山奥で隠遁生活をしていたスワガーの元に大佐(ダニー・グローヴァー)がやってくる。全国中遊説する大統領が狙われているという。スナイパーとして狙撃地点を特定して欲しいという依頼だった。「祖国のために」という言葉にスワガーは、断る事ができなかった。
感想
スティーヴン・ハンターの「極大射程」を現代に置き換えて映画化。スピードある展開やし、火薬も惜しみなく使っているしで、なかなか面白かってんけど不満が残る
さぼてんは、マーク・ウォールバーグの”動き”が好きなのである。この人、少年の頃はワルだったというだけあって、喧嘩が手早く強そうだと感じる。「喧嘩上等」の雰囲気。反射神経もすばらしい。なんというか、こう、剣道みたいに相手の呼吸をはかって攻めるというか(剣道の事知らないんですけど)。そう見える。「ディパーデット」では、カリスマ性はディカプリオには到底及ばないけれど、ディカプリオとわめあいっこするシーンとか、ラストとかめっちゃキレがいい。そんな役者にですよ、銃ばっかりぶっぱなさしてどうする! と思うわけ。八方ふさがりで逃げるシーンが一番よかった。肝心の狙撃のシーンも印象が薄いしな。
うーん、一匹狼的気質はあってたんやけどミスキャストなのかも。うち的には「ただのアクションスターやないねんから、もうちょっと考えて使ったれよ」という所か。
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アヒルと鴨のコインロッカー
2007年 日本 110分
監督 中村義洋
原作 伊坂幸太郎
脚本 中村義洋/鈴木謙一
撮影 小松高志
出演 濱田岳(「青いうた」)/瑛太/関めぐみ(「ハチクロ」)/大塚寧々/松田龍平/関暁夫 (ハローバイバイ)/キムラ緑子/なぎら健壱/田村圭生
メモ 2007.8.4(土) 梅田ガーデンシネマ
あらすじ
東京から仙台にやってきた椎名(濱田岳)。青葉学院大学の1回生だ。「ひよこ」を持って(何故にひよこ?九州のお菓子ちゃうん?)左隣の部屋に引越しの挨拶をしたら、愛想のない浅黒いヤローだった。「風に吹かれて」を口ずさんで♪ダンボールを片付けていると、後ろから「ディラン?」と問う声がする。右隣の住人「河崎」だった。河崎が教えてくれた事には、椎名んちの隣はブータン人の留学生・ドルジだそうだ(あーそれで口数が少なかったのか)。ドルジの日本語の勉強のために本屋を襲撃して「広辞苑」を奪うという河崎。金払って買えば?という椎名に、河崎は「ぬれねずみになっている猫」のたとえ話を始める。よーするに買った辞書と奪った辞書は別物というのだ。 ???? 。そしてモデルガン片手に本屋の裏口に立っている椎名が居た。「風に吹かれて」を一回歌う毎に裏口のドアを蹴るのだ。
感想
評判、かんばしいこの作品。中盤まで今どこに居るのか、どこに行こうとしているのか、さっぱりわからん(**)。 会話もかみあっているようないないような。どうしてそんなに評価がいいん? なんで? と頭くるくるしていましたが・・・・やられました・・・・原作読んでない方がいいと思う。
ベタベタで、映像的に見るべきところはあるん?と思う所もなきにしもあらずではあるが、物語がよくできている。音楽もいい、そして演者がそれらをより高め(瑛太がせつない)、映像よりも脚本寄りのウチのハートを掴む。  傑作だと思う。
 
「ブータン人は、生まれ変わりを信じている。だから死を恐れない」
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