2020年2月の映画  戻る


プロジェクト・グーテンベルク 贋札王 PROJECT GUTENBERG
2020年 130分 香港 / 中国
監督・脚本 フェリックス・チョン
キャスト チョウ・ユンファ(画家)/アーロン・クォック(レイ・マン)
メモ 2020.2.26(水)シネ・リーブル梅田
あらすじ
タイ王国で偽札容疑で捕まったレイは、香港警察に移される。そして始まる取り調べ。
感想
見始めてしばらくすると、ああ某有名サスペンス映画のぱくり まねし リスペクトなんやなあというのがわかってくる。
その映画はユージュアル・サスペクツ
 
中頃からは「男たちの挽歌」のチョウ・ユンファが出てはるので、ガンアクションあり爆発ありで派手。
ちょっと大味かなあと思っていたら・・・
 
最後の最後に・・・やられました。平伏いたします。
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リチャード・ジュエル RICHARD JEWELL
2019年 111分 米国
監督 クリント・イーストウッド
原作 マリー・ブレナー「アメリカの悪夢:リチャード・ジュエルのバラード)」
キャスト ポール・ウォルター・ハウザー(リチャード・ジュエル)/サム・ロックウェル(弁護士ワトソン・ブライアント)/キャシー・ベイツ(リチャードのママ・ボビー)/ジョン・ハム(FBIトム・ショウ)/オリヴィア・ワイルド(記者キャシー)
メモ 2020.2.20(土)なんばパークスシネマ
あらすじ
1996年米国のアトランタではオリンピックが開催されていた。イベント会場で警備員をしていたリチャード・ジュエルは不審なリュックを見つけ大惨事を最小限に抑えた。
一夜明けると英雄になっていたリチャード・ジュエル。ところが事態は急転する。
感想
クリント・イーストウッド監督って、「父親達の星条旗」 「アメリカン・スナイパー」 「ハドソン川の奇跡」と職責を全うしたヒーローと巻き込まれた不運、不幸を描いてはる。この作品もその系列。
四面楚歌の中、リチャード・ジュエルに手を差し伸べる弁護士のロックウェルとその秘書もまたヒーロー。
市井の人がヒーローになりえるという、個人の力を信じそして発揮する社会。これがアメリカの精神なんかな。
反面、自由競争社会の負もありスクープ合戦しているメディアリンチが恐ろしい。
オリンピック開催中ということもあって警察は犯人逮捕を焦り、母親とふたり暮らししているリチャード・ジュエルをとろいヤツと見なして罠にかけようとするFBI。思い込みで動く権力が怖い。
 
出演者の演技力は確かで、たぶんご本人もこんな人やってんやろなと思わすポール・ウォルター・ハウザー、「ママ、ごめんね」に泣ける。
外見とマザコンからキモい男って思われるかもしれんけど、それがなんやねん。内面はとても善良で無害で正義感が強い。
クリント・イーストウッド監督はインタビューで「事件を報道する時に比べて、真犯人が捕まった時の報道はとても小さい。だからこの映画を作ったんだ」と言われてました。
FBIの家宅捜索で「私のタッパーまで持っていくの」とうろたえ嘆きながらも、息子を手放しで信じるアメリカのママをキャシー・ベイツも好演してる。
 
「弘前大教授夫人殺し事件」の時に思ったんやけど、真犯人がわからないと一度冤罪を受けた人はたとえ無罪になったとしても世間の疑いの目から逃れることはできない。
(「弘前大教授夫人殺し事件」では時効成立後に真犯人が告白して冤罪となった。そやのにそれでも「やっぱりあいつが犯人」っていう自分の過ちを認められない人達がいたらしい)
 
新聞記者がスクープを得るためFBI捜査官に枕営業するシーンは、記者さんが既に亡くなっていて反論できないことから批判があるそうです。
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9人の翻訳家 
2020年 105分 フランス/ベルギー
監督 レジス・ロワンサル
合唱の歌 バート・バカラックの「世界は愛を求めている(What the World Needs Now)」
メモ 2020.2.20(土)なんばパークスシネマ
あらすじ
出版社によりフランスの人里離れた洋館に9人の翻訳家が集められる。
中国(かっこいい。 フレデリック・チョウっていう役者さんらしい)、ロシア(オルガ・キュリレンコ)、英国(青二才)、ドイツ(優しくてべっぴんさん)、デンマーク(夫と子供3人)、イタリア(茶坊主)、スペイン(左手を怪我をしている男)、ギリシャ(ちょっと飲んだくれの年配)、ポルトガル(ベリーショートというかほぼ坊主&ピアス)の9人。
9人は世界的ベストセラーミステリ「デダリュス」の完結編「死にたくなかった男」を世界同時販売するために、地下シェルターに2カ月缶詰となる。
(ダン・ブラウンの「インフェルノ」翻訳の時に実際に行われたらしい)
もちろん、スマホ、PCは厳禁。内容が事前に漏れたらえらいこと。
感想
よく出来ている。
9人が語学の天才という設定が生かされているシーンがあり個性的と思う。英語、フランス語はもちろんのこと数か国語がわかる人らやねん。
そやねんけど、小説家にはなれない悲しみと屈折した心理もみんなにあってね。
ただ「イー、アル、サン」っていうのは常識なんではなかろかと思うねんけど、マージャン文化のある国だけなんやろか。
アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」では家庭内マージャンしてはったけど、世界のゲームやないのかな。
 
前知識なしで見るのがお薦め。基本クローズドサークルやし好みはわかれるかもしれんね。
うちは「ナイヴズ・アウト」よりこちらが好み。
Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)が楽しい。
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幸福路のチー Hsing fu lu shang 幸福路上
2017年 111分 台湾 アニメ
監督・脚本 ソン・シンイン
メモ 2020.2.13(木)テアトル梅田
あらすじ
蒋介石が亡くなった1975年(昭和では50年)5月4日に生まれたチーは、あんなことやこんなことやそんなことがあって
島国から自由の国アメリカに渡り、今はアメリカ人と結婚している。
そんなある日おばあちゃんが亡くなったと連絡が入る。ひとりで故郷、台湾台北の幸福路に帰るアラフォーのチー。
かわいがってくれたおばあちゃんは、もういない。
感想
台湾語が耳に心地いい。
その中でもアミ族(台湾の原住民)のおばあちゃんと、ふにゃってしている金髪碧眼のベティちゃんのおんがかわいい。ベティちゃん必見。
煙草みたいなビンロウを楽しみ、自然と共生しているおばあちゃん、目先の事に振り回されているたくましいお母さん、少し心もとないけどひとりっ子のチーを大切にしているお父さん、生きる力のあるウェン、ちょっと薄幸そうなベティ。みんな生きている。
チーとウェンとベティの三人は屋根の上で「科学忍者隊ガッチャマン」を歌う。
(そういや「かもめ食堂」でもフィンランドでガッチャマンが出て来たな。)
子供の頃は色々あれど爽やかで透き通っていた空気が今は重く変わり、悄然とうつむくチー。人生の岐路で迷っている。
 
 
 
38年続いた戒厳令時代があり、民主化運動があり、1999年台湾大地震がありの台湾の歴史とともに子供たちの成長と挫折、そして明日への希望が
ノスタルジックに描かれていて
懐かしいような寂しいような、、、で たゆたゆしててんけど、明日への希望は子供なのか。やっぱり、、そうなんか。うーん。
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ブレッドウィナー THE Breadwinner 稼ぎ手
2017年 94分 アイルランド / カナダ / ルクセンブルク
監督 ノラ・トゥーミー
原作 デボラ・エリス 児童文学『生きのびるために』
メモ 2020.2.11(火)テアトル梅田
あらすじ
1979年ソ連のアフガニスタン侵攻、アフガニスタン紛争、2001年アメリカ同時多発テロ後、ターリバーンに支配されているカブールの片隅で一家5人は暮らしていた。お父さんは元教師、お母さんは元作家というインテリ一家だ。
物を売り翻訳をして暮らしていたが、ある日町でいちゃもんをつけられお父さんがターリバーンに捕まり刑務所に送られる。
たちまち困窮する一家。
感想
女だけの外出が禁じられているため、一家は外に出ることができず物も買えない。
年頃の長女は嫁にと拉致されかねず近所の井戸に水汲みにさえ行けない
父は拘束され幼児しか男手がなく「いったいどうせーちゅうんじゃ」状況の中、次女11歳のパヴァーナは髪を切り亡き兄の服を着て少年に姿を変える。
 
実写だと辛くて見れないところをアニメーションにしてファンタジーの要素も加え語りかける。アニメ万歳!
イスラム教って今でも一夫多妻なんかな。子を産む道具のためなんか、酒や娯楽が禁制なので慰みものなのか女が足らないみたい。
お母さんのまたいとこがお姉さんを嫁にするためにはるばるやってくるもんね。
それでもお父さんやパヴァーナが手紙を翻訳してあげたターリバーンの様に女性を大切に扱う男も描かれている。
 
唯一残念なのは声が英語だったこと。↑の「幸福路のチー」と違うところ。アフガニスタンってどんな音(パシュトー語とか)でしゃべりはるのか聞いて見たかった。
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無垢なる証人 
2020年 129分 韓国
監督 イ・ハン
キャスト チョン・ウソン(弁護士スノ)/キム・ヒャンギ(ジウ)
メモ 2020.2.7(金)シネ・ヌーヴォ
あらすじ
人権派弁護士だったスノは、疲れはて妥協して生きることへ転向する。
まかされた仕事は殺人の容疑者、家政婦を弁護することだった。世間的には弱い立場にいる人の弁護だ。
真夜中の事件を目撃したのは近所に住んでいる15歳の少女だった。
感想
音や光に過敏な自閉症の人たちの世界を描く。
サスペンスとしてもよく出来ていて、最後の法廷シーンは引き込まれる。
 
数年前にグループの新年会で、幼い息子さんが少し低体重で生まれて発育を心配している人が
お酒がはいったせいか珍しくちょっとだけ悩みをいーはって
それを聞いていた10年ほど前に中途入社した人がいいはんねん。
天然で空気読めない善意の人で障がいのある息子さんがいてはるとは以前に聞いたんやけど、知的障がいのある自閉症やったみたい。
赤ちゃんの時に抱いていると、目を合わそうとしないので「おかしいな」とわかりはったとか。
「仕事って言っても缶つぶすくらいしかできないんですけどね、見てるとこいつ幸せそうやなって思うんです。
TVとかで親ごさんが『この子がいたから親として成長した』っていいはるでしょ。あれね ほんとなんです。
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ナイブズ・アウト KNIVES OUT
2020年 131分 米国
監督・脚本 ライアン・ジョンソン(「ルーパー」「BRICK」
キャスト ダニエル・クレイグ(探偵ブノワ・ブラン)/クリストファー・プラマー(ハーラン・スロンビー)/アナ・デ・アルマス(看護師・マルタ)/ジェイミー・リー・カーティス(長女・リンダ)/ドン・ジョンソン(長女の夫・リチャード)/クリス・エヴァンス(長女の息子・ランサム)/マイケル・シャノン(長男・ウォルト「「シェイプ・オブ・ウォーター」)/リキ・リンドホーム(長男の嫁・ドナ)/ジェイデン・マーテル(長男の息子・ジェイコブ)/トニ・コレット(亡くなった次男の嫁・ジョニ)/キャサリン・ラングフォード(次男の娘・メグ)/エディ・パターソン(家政婦・フラン)
メモ 2020.2.1(土)TOHOシネマズなんば
あらすじ
ミステリー作家で富豪のスロンビー家当主の死体が家政婦により発見される。警察は自殺とみなしたがそこに登場したのは南部なまりの探偵ブノワ・ブラン。
当主には8人の家族とふたりの使用人がいた。(あっ、おばあちゃん忘れてた)
感想
謎解き物なもんで集中して懸命に見ていたはずなのに、よくわからない。見ててもわからへんてどーいうこと。認知に問題ありかも。。。
クリストファー・プラマーやら、ジェイミー・リー・カーティスやら、トニ・コレットに気をとられていたからかもしれん(言い訳)。
有名俳優を出すのは目くらましやねんな(言い訳)
(最後のクレジットを見て、ドン・ジョンソンとマイケル・シャノンに驚く。わからへんかった)
こういう事なんかな。
犯人は、モルヒネと鎮痛剤のラベルを変えて、看護師マルタに鎮痛剤ラベルの「モルヒネ」を打たそうとする。
ところがどっこいマルタはラベルを確認せず、いつものビンの手触りからモルヒネラベルの「鎮痛剤」を打つ。
その後マルタは空っぽの瓶のラベルを見て「モルヒネ」を打ったわとパニくる。
なるほど。現場の人間には、本物がわかるって事なんやね。
最初はゴシックな雰囲気から英国が舞台かと思いました。監督さんが渾身の力をふりしぼりはった作品。最終的に解決したのは探偵やなかったってのが面白い
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