2007年6月の映画  戻る


プレステージ THE PRESTIGE
2006年 米国 130分
監督・脚本 クリストファー・ノーラン(「メメント」
脚本 ジョナサン・ノーラン
原作 クリストファー・プリースト著「奇術師」
撮影 ウォーリー・フィスター
デザイン ネイサン・クロウリー
キャスト ヒュー・ジャックマン(アンジャー)/クリスチャン・ベイル(ボーデン)/サー・マイケル・ケイン(カッター)/スカーレット・ヨハンソン(オリヴィア)/パイパー・ペラーボ(ジュリア)/ レベッカ・ホール(サラ)/デヴィッド・ボウイ(ニコラ・テスラ)
メモ 2007.6.27(水)HEPナビオ
あらすじ
一流のマジックは、3つのパートからなる。プレッジ「確認」、ターン「展開」、プレステージ「偉業」。
19世紀末期のロンドンで天才肌の奇術師ふたりがしのぎを削っていた。華麗でケレンミたっぷりのアンジャー(ヒュー・ジャックマン)と地味だが奇想天外のアイデアを持つボーデン(クリスチャン・ベイル)。よきライバルであればよかったが、アンジャーの妻ジュリアが水牢脱出マジックで命を落とし、アンジャーはボーデンを責め復讐に取り憑かれていく。しかしトリッキーなボーデンも、人を惑わす奇術に取り憑かれたクレイジーなヤツであった。
感想
謎は簡単に解けた!と思っていたら、ええっ? おいおいおいという結末があって。予想を超えた驚き「プレステージ」・・・確かに。まあ映画冒頭から何やら怪しげに、匂わしてはいたわな。よーやると思わずニヤニヤ失笑していたら周りは誰も笑ってないの
みさかいないあきれかえるような話やねんけど、ばかばかしくてとっても好き・・・・かも。
 
2番目の驚きはエンドクレジットを見ていた時の「デヴィット・ボウイ」の文字。発明家のニコラ・テスラやったん(いやん)。
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ボルベール<帰郷> VOLVER   カンヌ国際映画祭女優賞
2006年 スペイン 120分
監督・脚本 ペドロ・アルモドバル(「オール・アバウト・マイ・マザー」 「ライブ・フレッシュ」 「アタメ」
撮影 ホセ・ルイス・アルカイネ
編集 ホセ・サルセド
音楽 アルベルト・イグレシアス
キャスト ペネロペ・クルス(ライムンダ)/カルメン・マウラ(イレネ「みんなのしあわせ−13−」 「神経衰弱ぎりぎりの女たち」)/ロラ・ドゥエニャス(ソーレ)/ブランカ・ポルティージョ(アグスティナ)/ヨアンナ・コボ(娘パウラ)/チュス・ランプレアベ(伯母)
メモ 2007.6.18(月)曇り雨 試写会・厚生年金芸術ホール
あらすじ
ラムインダ(ペネロペ・クルス)の父と母は3年前火事で亡くなった。故郷ラ・マンチャは東風が強く吹く土地柄で火事が起こりやすい。母と疎遠なままの別れだったため、ラムインダには心残りがある(らしい)。代わりにと言ってはなんだが老いた伯母の面倒をみたいが、暮らしているところは故郷から200キロ近くも離れている。ぐーたらな亭主の変わりに家計を支えなきゃいけないし、15歳になる一人娘もしっかり育てなきゃならない。 ああ、ままならぬ。 そんな毎日に衝撃の出来事が起こる! そしてまたショーゲキが、そしてまたまた激震が・・・。女には秘密がたっぷりあるのだった。
感想
女達が強風の中、墓掃除をしている所から映画は始る。
「未亡人クラブですか?」ってな映像であるが結構このシーンは大事だと思う。強風の中明日になれば元の木阿弥になるにもかかわらず、掃除にせいを出す女達。洗濯も掃除も食事作りも同じだよな。繰り返しばかりなり。それでも少しでも気持ちよく過ごせるように”家族のため”頑張るのである。墓掃除して亡き人の世話もしている。
そしてもうひとつの大事な仕事は子供を育てること。これは失敗出来ない大事業だ。気合が入り過ぎても子供にとって重荷になるし、かといってほったらかしではいい子は育たない。さじ加減がムズカシイ。
 
ペネロペ・クルスはスレンダー過ぎるので「おっかさん」味を出すため「付け尻」をつけたとか(爆)。「あんたなあ」という感じではありますが、そして「生きていくのは厳しい」のですが、サスペンスあり愛ありユーモアありの暖かい映画になっている。(監督、まるなりはりましたな。)
 
男よりも子供を大切にしなきゃ女に未来はない、みたいな話だった。子供には裏切られる事もあるけどな。それはあきらめるしかない。しょーもない男とひっついて子供への虐待を放置するのは言語道断である。
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あるスキャンダルの覚え書き NOTES ON A SCANDAL
2006年 米国 92分
監督 リチャード・エアー
原作 ゾーイ・ヘラー
脚色 パトリック・マーバー
撮影 クリス・メンゲス
音楽 フィリップ・グラス
キャスト ジュディ・デンチ(バーバラ)/ケイト・ブランシェット(シーバ・ハート)/ビル・ナイ(リチャード・ハート)/アンドリュー・シンプソン’(スティーヴン)
メモ 2007.6.10(日)晴れ時々豪雨 OS名画座
あらすじ
バーバラ(ジュディ・デンチ)は中学校の歴史の教師。家族は愛猫一匹のみ。男と縁遠く独身のまま今に至る。労働者階級の子供達に”歴史”を教える仕事はマンネリで新しい驚きも希望もない、ゼロ。子供の頃から書き続けている日記が彼女を支えている。新学期となり美術の新任教師シーバ(ケイト・ブランシェット)が現れた。不思議な雰囲気を持つ女性だ。大人か少女か・・・周りに溶け込もうとはしているが何かに”取り残された”みたい。道に迷った妖精のよう。
バーバラ(ジュディ・デンチ)はシーバに狙いを定める。バーバラは心の底から”生涯の伴侶”を探し求めていたのである。クモのように網を張っている。伴侶とは友である。大切な連れである。
感想
現実ではありえん事を「こうなったらいいな、ああなったらいいな」と頭の中で想像しているだけなら害はないが、自分の都合のいいように事実を歪め、パワーを手に入れ人を操り、それに愉しみを見出すバーバラ。魔女化している。人を操るなんて面倒な事愉しいか? わからん。 バーバラは今まで友情が続いた事もないのに、いつかと希望にしがみついている。そうでもしなきゃ生きていけんからな。
一方、ルックスに恵まれ20歳の時に略奪した夫をもつシーバ(ケイト・ブランシェット)。子供ふたりを授かり満ち足りた日々のはずが、虚しさを感じている。お嬢さん育ちで根がヒッピーな彼女は、変化が欲しいのである。年を取りたくないのである。人間は生ものだしな。年はとるわな。
食べるに困らんというありがたい身分なのに(からかもしれん)、欲望に果てが無く人間は業が深いねぇと思わす映画であった。人生の落とし穴はあちこちにあるんだ。
 
シーバ(ケイト・ブランシェット)の年の離れた夫リチャード・ハート役のビル・ナイは「カリブの海賊」のディヴィ・ジョーンズ→。「ステイル・クレージー」のボーカルの人。
 
ジュディ・デンチを見てて思ったんやけど、一流の役者さんってどんな表情をすれば観客からどう見えるか、わかりつくしている人達なんやね。人の心が操れる人たちなんだな。操られるのって気持ちいいかも(笑)
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BRICK   :煉瓦 俗:1kgのコカイン :いいやつ頼もしいヤツ :くたばれ!
   2005年サンダンス映画祭審査員特別賞
2005年 米国 110分
監督・脚本 ライアン・ジョンソン
撮影 スティーヴ・イェドリン
音楽 ネイサン・ジョンソン
キャスト ジョセフ・ゴードン=レヴィット(ブレンダン「陪審員」)/ノラ・ゼヘットナー(ローラ)/ルーカス・ハース(ピン「刑事ジョン・ブック/目撃者」)/ノア・フレイス(タグ)/マット・オリアリー(ブレイン)/エミリー・デ・レイヴィン(エミリー)/ミーガン・グッド(カーラ)/ブライアン・ホワイト(ブラッド)/ノア・セガン(ドード)/リチャード・ラウンドトゥリー(トゥルーマン副教頭)
メモ 2007.6.2(土)晴れ シネマート心斎橋・レイトショー
あらすじ
舞台は南カリフォルニア、郊外のサンクレメンテ高校。アウトサイダーでいつも校舎の裏で昼ご飯を食べているブレンダンは、彼女と別れて2ヶ月。つるまず一匹狼を貫くブレンダンについていけなくなったエミリーは離れていった。ブレンダンはエミリーさえいればそれで満ち足りていたのに。。。そのエミリーからSOSが入る。ロッカーに入っていた紙切れには「12時30分、サルメントソとデルリオ」とあった。12時30分からサルメントソとデルリオの交差点で待っていたブレンダン。そして公衆電話のベルが鳴った。
感想
古典的なフィルム・ノワールを平和な土地の高校生に置き換えた映画。その一点だけのアイデアであるにもかかわらず、結構がんばってはいた。オタクが意外に喧嘩に強かったり、ドンがマザコンだったり、情報屋が友情に厚かったりしてた。
「如何にスジを通すかという男の美学」もあったよ。
「シン・シティ」といい、もう手垢がついたと思っていても色々知恵を絞れば出て来るんだ。ハメット、チャンドラーの世界だよ。純愛もあるしね。そう思って見る映画なん。影のドンだけでなく、ファム・ファタールも登場する。高校生の分際で。。。しかし考えてみれば高校時代というのは大人でも子供でもない、もやもやした不完全な人間達が閉鎖的な空間にうようよしていた。さぼてんにとって、今までの人生で一番生きにくい時代やったなぁ。ああ、やな事思い出したヨ(笑)。
 
「『豪華な秘密パーティ』、『シーザーのコスプレ』・・・・この子達、ほんまに高校生なん?親はどうした。」と思っていたら、母親がクッキーとりんごジュースでもてなすシーンが出てくる。そしてブレンダンもいつもちゃんと家に帰る事で辻褄あわせしている。
「この時代にケータイはないん?」と思っていたら、母親のケータイがどうやらこうやら。高校では禁止されているのか?。ここんとこ、昔の暗黒映画にこだわって、ちょっと無理があるかも。
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