北欧フィンランドの港町ヘルシンキに「かもめ食堂」はある。サチエなる日本女性がひとりでやっているが、店はいまだ閑古鳥が鳴いていた。メインメニューは
おにぎり。シャケが好きな民族同士、熱々のおにぎりはヘルシンキで受け入れられるはず、とサチエは思っている。まあこのまま客がこずにフェードアウトしてもいいかとも思っている。初めての客は日本のアニメをこよなく愛する青年トンミであった。彼に「ガッチャマン」の歌詞を教えて欲しいと言われたサチエだったが、「おお、ガッチャマン、ガッチャマン♪」だけが頭をぐるぐる。ほとほと困っていた所(ネットでちゃちゃと調べたりはしないのだ。あくまでローテク)、街の本屋で「ムーミン」を読んでいる日本女性を見かけ「あのー、ガッチャマンの歌詞ご存知ですか?」と話かけた。彼女ミドリはノートに「誰だ、誰だ、誰だ、空のかなたに踊る影♪ 白い翼のガッチャマン・・・・」と歌詞を書き出すのであった。
感想
スローライフっていうのかな。たゆたゆとした面白い映画であった。間の取り方がうまい映画だったな。訳ありそなサチエとミドリとマサコ。マサコが両親を長い間看病して看取った後と言う話がされるだけで、「サチエが何故フィンランド語を流暢にしゃべれるのか?」とか「ミドリがおにぎりを見て涙ぐむのは何故なのか?」という謎が明らかにされる事はない。
他人を直感にしたがって、詮索せず素のまま受け入れるのだ。不思議ちゃんがいっぱいでアキ・カウリスマキ監督作品(「過去のない男」
「浮き雲」)に似ている。
ええ映画やって十分満足したんやけどね、そやねんけど、非日常を表わしているとはいえ日本ではなくフィンランドが舞台というのがちょい悲しい。日本はせからしい国なん。早足で歩いて40分も前に行ったのに水曜日レディスデーとはいえ立ち見しかなくそれもbR6。それから並んで呼び出される順番にしたがってぞろぞろシネマに入って、バッグをお尻の下に敷いて見る。こんなにアクセクがんばらなきゃ「スローライフ」が見れないの。なんか違っているよな。これがシビアな現実。