2006年4月の映画  戻る


ヒストリー・オブ・バイオレンス A HISTORY OF VIOLENCE
 
2005年 米国 96分
監督 デイヴィッド・クローネンバーグ
脚本 ジョシュ・オルソン
音楽 ハワード・ショア
撮影 ピーター・サシツキー
美術 キャロル・スピア
原作グラフィック・ノベル ジョン・ワグナー/ヴィンス・ロック
出演 ヴィゴ・モーテンセン(トム・ストール)/マリア・ベロ(エディ・ストール「シークレット・ウィンドウ」)/エド・ハリス(カール)/ウィリアム・ハート(リッチー)/アシュトン・ホームズ(ジャック・ストール)/ハイディ・ヘイズ(サラ・ストール)/ピーター・マクニール(サム・カーニー保安官)
メモ 2006.4.28(金) シネ・リーブル梅田 
あらすじ
アメリカ中西部のインディアナ州、素直で愛情深いティーンエージャーの息子とかわいい幼い娘を持つストール夫妻は満ち足りた生活を送っていた。夫婦仲もとてもむつまじい。チアリーダのかっこなんかして新鮮味を楽しんでいる。ところがトム・ストールが営むダイナーに極悪犯が押し入る。
感想
デイヴィッド・クローネンバーグ監督は「スパイダー −少年は蜘蛛にキスをする−」以来。さぼてんが敬愛する監督だ。やっぱ好きだな。(この監督の映画って静かでどこか知的でしょ。弱いんだな、知的な事に知的なヤツに(苦笑)) しかし、またしても賛否両論ありそというか、好き嫌いが出てきそう。とはいえ「クローネンバーグらしくない」なんて血に飢えたやつらどもはクソクラエなのだ。
 
「誰もが楽しく幸せに暮らすだけの映画なんて、君はそんなの金払って観たいか? 私はごめんだ。自分自身は楽しく幸せに暮らしたいけど、他人がそうしているのを金払って観たくない。」の監督インタビューにちょい笑う。なんてこったい。言い切るところがさすがですな。 「アーティストや研究家には、物事の本質を見極めたいという願望があるんだ。物事の表面を剥がしてその内側を見たいという欲望がね。家族とご飯を食べているだけでは人間の内側はみえない。非常事態に置かれて初めてその本質が見えるんだ。」 実生活でひっぺがえして見たいと思わないけどね(笑)。そっとして置きたいけどね。 映画とか本では見たいか、、、、やっぱ。
 
ふりかかった火の粉は自分で払わなきゃいけない。家族を守るために。そんな事をしたくなくても。。。たとえ血塗られた手をじっと見る事になったとしても。。。。(そんな世に住んでいるトムがほんとかわいそうなんだよよよ)。エド・ハリスとウィリアム・ハートのちゃらけたすごみ演技も見ものだったけれど、やはり好みのヴィゴ・モーテンセンが葛藤に苦しむ姿と内面が変化する静かな演技がいい。何回も見たい。はっきりいってめちゃめちゃかっこいい。男の中の男だ。マリア・ベロとの20年を経ようとする夫婦の姿もいいな。
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シムソンズ
 
2005年 日本 113分
監督 佐藤祐市
プロデュース・原作 森谷雄
脚本 大野敏哉
音楽 佐藤直紀
撮影 川村明弘
主題歌 JUDY AND MARY「BLUE TEARS」
出演 加藤ローサ(伊藤和子)/藤井美菜(尾中美希)/高橋真唯(小野菜摘)/星井七瀬(林田史江「フライ,ダディ,フライ」)/大泉洋(大宮平太)/田中圭(加藤真人)
メモ 2006.4.21(金) 九条シネ・ヌーヴォ
あらすじ
知る人ぞ知る日本のカーリングのメッカ・北海道常呂市(ところし)。オホーツク海に面したこの町は人口5000人の内7割がカーリングの経験者なんですと。学業にも何にも男以外燃える物のない女子高生伊藤和子は、あこがれの先輩・カーリング選手の加藤真人に頼まれカーリングチームを作る事になった。つけたチーム名は「シムソンズ」。アメリカのアニメからとった・・・・ってそりゃあ「シンプソンズ」だろうがっ。 和子は幼馴染で大学受験を目指す史江を拝み倒してメンバーをひとりゲット。二人目はクラスでもっともめだたない小野菜摘。畜産農家の菜摘んちは、娘ふたりも大きな働き手だ。母親に「早く婿さんをもらってくれ」と言われ「私の一生は牛と玉ねぎの世話なの・・・」といささかブルーな菜摘はふたりの話に飛びつく。3人はカーリングは中学の授業でやっただけというズブの素人だった。4人目のメンバーは尾中美希。加藤先輩は実は美希のためのチームを作りたかったのである。
2002年ソルトレークオリンピック・カーリング出場チーム「シムソンズ」をモデルに映画化。
感想
あのでっかいおはじき(20kg)を使うカーリングという競技は4人一組でひとり2投計8投、相手チームと合わせると16投が1エンドで、10エンドまで競う競技だそうです(オリンピックとかぜんぜん見ないので始めて知った)。長野オリンピックから正式種目になったらしく、ソルトレイクでは参加は9カ国。よく正式種目になったもんだと(爆)。まあ地味といいながらもあの床掃除風のインパクトは大きいかな。ひょうきんなポーズなのにすっごく真剣な目だしぃ。「氷上のチェス」と言われ優雅さを持ちつつ頭脳戦でもある(らしい)。
 
このジャンルには「がんばっていきまっしょい」という傑作が存在するのでそれを凌ぐのはいささか難しい。
そやねんけど、4人共みんなかわいくてキラキラしてて。ほれぼれした。 若いっていいよなって素直に思える映画だった(素直な割りにブルー色)。男同士で観にいっって「俺はあの子がいいな」「俺はこっちの子」って話なんかしたらとっても楽しいかも。さぼてんなら、、、、んんん〜どの子も甲乙つけがたい(オヤヂかよ)。 高橋真唯(小野菜摘)の目がよかったかな(写真一番右端の子)。
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かもめ食堂
 
2005年 日本 102分
監督・脚本 荻上直子(「バーバー吉野」)
原作 群ようこ(「かもめ食堂」(幻冬舎))
撮影 ドゥオモ・ヴィルタネン
キャスト 小林聡美(サチエ)/片桐はいり(ミドリ)/もたいまさこ(マサコ)/ヤルッコ・ニエミ(アニオタ・トンミ)/タリア・マルクス(リーサ)/マルック・ペルトラ(マッティ)
メモ 2006.4.5(水) 梅田ガーデンシネマ 立ち見 雨曇り
あらすじ
北欧フィンランドの港町ヘルシンキに「かもめ食堂」はある。サチエなる日本女性がひとりでやっているが、店はいまだ閑古鳥が鳴いていた。メインメニューはおにぎり。シャケが好きな民族同士、熱々のおにぎりはヘルシンキで受け入れられるはず、とサチエは思っている。まあこのまま客がこずにフェードアウトしてもいいかとも思っている。初めての客は日本のアニメをこよなく愛する青年トンミであった。彼に「ガッチャマン」の歌詞を教えて欲しいと言われたサチエだったが、「おお、ガッチャマン、ガッチャマン♪」だけが頭をぐるぐる。ほとほと困っていた所(ネットでちゃちゃと調べたりはしないのだ。あくまでローテク)、街の本屋で「ムーミン」を読んでいる日本女性を見かけ「あのー、ガッチャマンの歌詞ご存知ですか?」と話かけた。彼女ミドリはノートに「誰だ、誰だ、誰だ、空のかなたに踊る影♪ 白い翼のガッチャマン・・・・」と歌詞を書き出すのであった。
感想
スローライフっていうのかな。たゆたゆとした面白い映画であった。間の取り方がうまい映画だったな。訳ありそなサチエとミドリとマサコ。マサコが両親を長い間看病して看取った後と言う話がされるだけで、「サチエが何故フィンランド語を流暢にしゃべれるのか?」とか「ミドリがおにぎりを見て涙ぐむのは何故なのか?」という謎が明らかにされる事はない。
他人を直感にしたがって、詮索せず素のまま受け入れるのだ。不思議ちゃんがいっぱいでアキ・カウリスマキ監督作品(「過去のない男」「浮き雲」)に似ている。