2010年8月の映画  戻る


瞳の奥の秘密
アカデミー外国語映画賞
2009年 スペイン/アルゼンチン 129分
監督 フアン・ホセ・カンパネラ
原作 エドゥアルド・サチェリ
脚本 エドゥアルド・サチェリ/フアン・ホセ・カンパネラ
撮影 フェリックス・モンティ
キャスト リカルド・ダリン(退職した裁判所の書記官ベンハミン・エスポシト)/ソレダ・ビジャミル(元判事補、検事イレーネ)/ギレルモ・フランチェラ(ベンハミンの部下パブロ)/パブロ・ラゴ(リリアナの夫・銀行員リカルド・モラレス)/ハビエル・ゴディーノ(リリアナの幼なじみイシドロ・ゴメス)/カルラ・ケベド(教師リリアナ)
メモ 2010.8.27(金)シネ・リーブル梅田
あらすじ
1999年、裁判所を退職し独り者のベンハミンは、25年前の職場を訪れる。忘れがたい25年前の事件を題材に、小説を書こうと思ってのことだ。裁判所には、今は検事となったイレーネがいる。
25年前、家柄も良く学歴も高いエリートの判事補だったイレーネは、結婚して2児の母になっていた。今も美しい。1974年に起こった事件は、新婚間もない23歳の美しい女性教師が、自宅でレイプの果てに殺された陰惨な事件だった。年若い銀行員の夫は、茫然自失。ベンハミンは、深く同情し犯人を挙げたいと願う。
感想
久しぶりに衝撃的な作品を観た、気がする。悲しいし、恐ろしい。
最近「雪冤」という本を読んで、そのあまりの「親不孝ぶり」に憤っていたん。何がメロスだディオニスだ。とんでもない話だ。人は、もてる力を全て使って、出来る限り犯罪や事故を起こすことはもちろん、巻き込まれようにせんとあかんと強く思う。不可抗力もあるやろうけど、自分だけではなく、大切な人の人生も苦しめて台無しにしてしまいかねないねん。
 
この映画は、クライムサスペンスと思って見ていたら、ちゃうかってん・・・。瞳は心の鏡やねんね。
重い題材なんやけど、ところどころ笑えるところもあって、背筋が寒くなったり、はらはらしたり、写真やTV映像、鏡に顔が写るシーンが巧みに組み込まれた映像とお話に引き込まれた。評価はわかれるかもしれんけど、さぼてんは、とても秀でた作品やと思う。
お薦め度★★★★1/2戻る

インセプション
2010年 米国 143分
監督・脚本 クリストファー・ノーラン(「フォロウィング」 「メメント」 「ダークナイト」
撮影 ウォーリー・フィスター
音楽 ハンス・ジマー
キャスト レオナルド・ディカプリオ(コブ)/渡辺謙(サイトウ)/ジョセフ・ゴードン=レヴィット(アーサー「BRICK」/マリオン・コティヤール(コブの妻・モル「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」)/エレン・ペイジ(、“設計士”アリアドネ)/トム・ハーディ(“偽造士”イームス)/ディリープ・ラオ(“調合師”ユスフ)/キリアン・マーフィ(ロバート・フィッシャー)/トム・ベレンジャー(ブラウニング)/マイケル・ケイン(コブの父・マイルズ)/ピート・ポスルスウェイト(ロバートの父・フィッシャー)/ルーカス・ハース(ナッシュ)
メモ 2010.8.11(水)梅田ピカデリー
あらすじ
ターゲットの夢に入り込む。というか、夢を共有して、操作した夢を見させて、情報を引き出す産業スパイのコブ(レオナルド・ディカプリオ)は、妻殺しの容疑をかけられ国際指名手配されている。子供たちと会いたいというコブの願いをエサに、実業家のサイトウ(渡辺謙)は、今までにない依頼をする。それは、「盗む」のではなく、相手の潜在意識にある事を「植え付ける」というものであった。
感想
  難しい。1回見ただけでは、ようわからん。仲間のためにそれぞれが、奮闘するのがいいな。無重力状態は、エレガントだし、雪山の銃撃戦は、007かとおもた。が、エレン・ペイジのスーツの似合わないのと、CMでさんざ流れていた「街が立ち上がるシーン」があれで全てなのには、驚いた。
たっぷり寝て、お目目ぱっちりで観に行くことをお勧めする。興味津々で観ないと、みごとな映像ながらお話についていけないし、それでは監督に負けてしまう。こっくり寝てしまうことにもなりかねない。たとえば、「インセプション」を観に行った後輩に、「ディカプリオは、雪山とかで、いったい戦っていたんですかね?」と聞かれた・・・。「たぶん、それはぁお金持ちやし一流企業のトップやから、つけこまれへんよう心理的防御の訓練を施されてたんと、、、ちゃうかったっけ?」という風に。
2→1→0と階層を上がって行って、0→1→2・・・と潜っていく構成がよく出来ていると思う。「深層心理物」ということで、映画を見ながら、「第七のヴェール」や、「影なき狙撃者」を思い出していた。だからどうという事は、ないんですけど、昔の映画ばかり思い出すとは・・・。
ネタバレ
結局ラストはどうだったのか? ディカプリオとケン・ワタナベの次々目が覚めていく映像がなかったし、コマは止まらなかったし、子供たちは別れた時のままで、小さすぎると感じる。 ディカプリオは、目覚めなかったと思う。
お薦め度★★★★戻る

イカとクジラ
2005年 米国 81分
監督・脚本 ノア・バームバック
撮影 ロバート・イェーマン
キャスト ジェフ・ダニエルズ(バーグマン家の父:バーナード)/ローラ・リニー(母ジョーン)/ジェシー・アイゼンバーグ(長男:ウォルト)/ オーウェン・クライン(次男:フランク:ケビン・クラインの息子)/ウィリアム・ボールドウィン(テニスのコーチ:アイヴァン)/アンナ・パキン(バーナードの教え子:リリー)/ヘイリー・ファイファー(ウォルトの彼女:ソフィー)
メモ 2010.8.7(土)レンタルDVD
あらすじ
バーグマン家は4人家族。父は作家で、若い頃はもてはやされた・・・が今は停滞期というか、黄昏れている。いつも誰かに褒めて欲しい人だ。母も作家。ニューヨーカーにも掲載され、今売り出し中。何事も夫が自分の考えを押し付け、子供に考えさせようとしないのを苦々しく思っていて、なぜか節操無く長男の親友の父とも火遊びを繰り返している。長男のウォルトは、16歳。イケメンでわかったような事を言いたいお年頃。彼は父親を信奉している。次男のフランクは12歳。こちらは母親派で、まだまだ子供の甘えたさんだったが、父母が離婚することになり、共同監護という名のもとに、兄弟は父と母の家を行ったり来たりの毎日となる。そして始まった弟の奇行。その上優等生の兄も、世間を甘く見た様な行動をしてしまう。
感想
地味に評判だったが、劇場で見逃した映画。いつものごとく忘れてはてていたところ、「ゾンビランド」のパンフを読んでいて、ジェシー・アイゼンバーグ(コロンバス)が出演していたと書いてあり、さっそくレンタル。
 
シニカルな辛口ドラマ。なのにアットホームで、おかしみもある。映画は、ノア・バームバックという監督さんの実体験が元になっているらしい。81分と短い尺の中での「必要かつ十分」なお話は、練られた巧みな脚本だ。「色々あったけど、パパとママと弟を大切に思っている」というのが根底にあり、それが感じられるからだと思う。
 
思春期という多感な子供の親として、「おとなとしての自信と落ち着き」をもって対する。ようなことは、バーグマン家のパパとママにはできない。自分たちがいまだに迷子の毎日だからだ。思春期という多感な子供の親として、子供と共に「わめいたり泣いたり悩みを聞いたり」もできない。彼らは純文学の作家でインテリジェンスだからだ。この一家はこういう一筋縄では行かぬ人々で構成されている。