歴史のシリア〜セイドナヤ、マアルーラ
 
Seydnaya/Maalula
 
 
セイドナヤ、マアルーラ
 

 
セイドナヤ
 


   
山岳宗教
マアルーラへ向かう途中、こじんまりとした集落が山の斜面にへばりついていました。セイドナヤです。街を一望する山肌に教会が造られており、ここには福音書の作者のひとりであるルカが伝道の旅の途中でイコンを残していったと伝えられています。斜面をなぞるような階段を登り、中を覗いてみることにしました。
     
マリアの奇跡
1978年、巡礼に来た老女が階段にこぼしたオリーブ油が、聖母マリアの形となって染み込むという事件が起こりました。これが「奇跡」と認定され、教会は一躍有名になりました。で、大層に柵で囲まれた現場を実際に見てみました。うーん、あれがマリアなら、ふすまの染みはみんなお釈迦さまじゃないですかね。
   

       
 
伝道の旅
成立初期のキリスト教にとって、シリアをはじめとする東地中海地方は最重要の布教対象地域でした。教会の入口に飾られた絵にはルカの伝道の様子が描かれています。
 
屋上に登る
中庭の階段から教会の屋上に登ってみました。4つ並んだドーム屋根は、それぞれ礼拝堂や鐘楼など。色合いといい大きさといい、まるでお菓子の家みたい。
 
モシモシのジャム
この地域の名産はアプリコット。このようにジャムにすることが多いそうです。ところで、アプリコットはアラビア語で「モシモシ」。うかつに電話できません。
 

   
展望ビュー
屋上からは山肌に張り付く建物が一望に。セイドナヤはここに見えているのがすべてというほど小さく、まるで箱庭のような街です。視界の先に拡がる荒野の向こうは、シリア有数の穀倉地帯。ダマスカスからだと小麦畑の中を走ってやってきます。青い穂が風にそよぐ、のどかな田園です。
   

 
マアルーラ
 


  アンチ・レバノン山脈の谷に隠れ里のようにひっそりと位置するマアルーラでは、イエス時代の言葉であるアラム語が今も話されています。教会とモスクの両方がある街では、キリスト教徒とイスラム教徒が穏やかに共存しています。  

       
 
青い街
どういうわけか、マアルーラでは多くの建物の壁が青く塗られています。初めて訪れた旅行者にとっては、言葉や宗教の違いよりもこの景色の方が印象に残ります。
 
聖テクラ教会
くねくねした登り坂を少しバスに揺られると、ギリシャ・カトリックの聖テクラ教会に着きます。礼拝堂は写真撮影禁止ですが、ガイドさんのよしみで特別に許してもらいました。
 
聖なる祠
礼拝堂からさらに階段を登ったところには、迫害された女性をかくまったという言い伝えのある祠があります。木が生えている山肌から泉が湧き出していました。
 

   
聖セルジウス教会から
聖テクラ教会からさらに、両側を岩に囲まれた狭い急坂を登ること10数分、丘の頂上に造られたギリシャ正教の聖セルジウス教会にたどり着きます。ここで現地の女性から、アラム語による祈りの言葉を聞きました。礼拝堂に響き渡る朗々とした響きは凛として、全くわからないものの聖なる内容だということだけはしっかりと伝わってきました。その後は隣にあるレストランで昼食。なにぶん丘の上なので風が強いのがタマに傷ですが、展望台からはこの通りマアルーラの街が見下ろせます。吹き飛ばされないよう手すりにしがみつきながら撮影。谷に沿って街が開けているのがよくわかります。
 

 
シリア砂漠
 


   
バグダッド・カフェ
パルミラへの道の途中にある、ほとんど唯一の建物と言っていいドライブインは、その名もバグダッドカフェ。この洒落たネーミングと、自転車を模した看板がなんとも楽しいですね。メニュー的にはたいしたものはないのですが、日陰で飲んだコーラのなんと美味しかったこと。
   

       
 
日陰がない
シリア砂漠に引かれた舗装道路をバスはひたすら走ります。灼熱の太陽が容赦なく照りつけるこの砂漠は、世界で最も過酷な自然環境のひとつです。
 
50℃
トイレ休憩のため停車。冷房の効いたバスから降り立った瞬間、誰もが顔色を変えその場に立ち尽くしました。そして「厳しい…」と一言。後は無言でした。
 
気分はベドウィン
バグダッドカフェの隣にあるテントでは、ニコニコしたベドウィンのお兄さんが民族衣装を着せてくれます。記念撮影もOKですが、心づけも忘れないようにしたいものですね。
 


   

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