歴史のシリア〜ダマスカス(旧市街)
 
Damascus(Old City)
 
 
ダマスカス(旧市街)
 

 
城砦
 


       
 
サラディン像
スークを囲む城壁の前にアラブの英雄サラディンの銅像が誇らしげに建っています。渋谷のモアイ像のように待ち合わせスポットとして使えるんじゃないですかね、これ?
 
ゆでトウモロコシ
カメラを向けるとトウモロコシ屋の少年はわざわざ鍋からトウモロコシを挟み出し、ポーズ。しかし撮影直後、不運な彼はトウモロコシを地面に落としてしまったのです。
 
城壁
城砦から一体となって続く、大きな石を重ね合わせた城壁が、旧市街をぐるりと取り囲んでいます。その周りの路上には屋台が軒を連ね、歩行者天国のようでした。
 

 
サラディン廟
 


   
ふたつの墓
十字軍からエルサレムを奪回したアラブの英雄サラディンは、ダマスカスに眠っています。珍しいことに柩はふたつあり、奥の木製の柩が本人のもの、手前の大理石の柩は、サラディンのファン(?)だったドイツ皇帝ヴィルヘルム二世により、19世紀になってから記念に贈られたものです。
   

 
ウマイヤド・モスク
 


     
燃え上がる緑の樹
8世紀、ダマスカスを首都とした世界最初のイスラム王朝であるウマイヤ朝によって建てられた、現存する世界最古のモスク。形状の異なる4本のミナレットと広い中庭を持つ壮大な建物は、夜にはライトアップされるなど、今も街のシンボルとして君臨しています。偶像崇拝を禁じるイスラムには珍しく、建物の壁一面に具象的な絵が描かれています。金色を背景として緑の樹々が燃え上がるように隆々と茂るそのさまは、イスラムが考える「楽園」のイメージを表現したものだとのこと。砂漠地帯ならではの発想ですね。
     

   
現存するモザイク
サラディン廟に隣接する門をくぐると、四方を建物に囲まれた広い中庭が現れます。ロの字型になってるんですね。正面のファサードと並んで西側の壁のモザイクも比較的良く残っています。それにしても、金に緑というこの色のセンスをシリアの人々はどう評価しているのでしょう。
   

   
寛大
モスクには異教徒である私たちも何の問題もなく入れます。このあたりは歴史的に寛大を旨としてきたイスラム教ならではですね。二階部分まで吹き抜けとなった天井の高い会堂には絨毯が敷き詰められ、ちょっとギリシャチックな装飾の柱が林立しています。うーん、オリエンタリズム。
   

   
ヨハネの遺体?
モスクの敷地からは、建設時に首なし死体が発見されました。遺体の状況を史実と照らし合わせると、どうやらイエスに洗礼を施したヨハネである可能性が高いようです。イスラム教ではイエスも預言者の一人であることから、その師であるヨハネもこのように手厚く葬られています。
   

   
ステンドグラス
建物内部の窓という窓にはステンドグラスが埋め込まれています。キリスト教様式のものもありますが、美しいのはやはりイスラムの伝統に従い幾何学状のモザイクに仕上げたイスラム様式。比べれば一目瞭然、細かさが違います。射し込む光の屈折も複雑で、万華鏡のような輝きです。
   

 
アゼム宮殿
 


  18世紀、ダマスカスの統治者であったアッサード・パシャ・アル・アゼムにより造られた宮殿。現在はシリアの伝統的な風俗や工芸を集めた民族博物館として公開されています。どこか「侘び」「寂び」を感じさせる渋い雰囲気が日本人の心をくすぐります。  

       
 
中庭
宮殿にはかつてハレムがありました。女性たちはなかなか外出が許されなかったため、気晴らしのために広い中庭を造り昼間はそこで過ごしていたそうです。
 
工芸建築
はりの部分に木材を使ったり寄木細工の装飾が施されていたりと、建物自体も興味深い建築技法が使われています。石材中心の遺跡を見慣れた目にはとても新鮮に映ります。
 
説明図
入口近くに説明図がありました。楽器の部屋、昔の家具の部屋、結婚衣裳の部屋など、部屋ごとに異なる品を展示しています。最初に見ればよかった。
 

 
聖アナニア教会
 


   
地下礼拝堂
キリスト教初期の伝道の様子を描いた30枚の絵が有名なアナニア教会。旧市街の東の一角にひっそりと佇んでいます。今でこそ礼拝堂をはじめとした教会の施設は地下にありますが、これは長い年月の間に建物が土に覆われてしまったせいなのです。2000年の歴史の重みか。
   

   
洞窟教会
現役の教会らしく祭壇も椅子も綺麗に整えられてありますが、壁はぼろぼろ。石というより岩みたいです。この雰囲気から、ガイドさんの説明を聞くまでは、てっきり穴を掘って造った洞窟教会だと思ってました。ほら、トルコとかギリシャとか、キリスト教って、そういうの多いじゃない。
   

 
街角の風景から
 


   
路地
近代合理主義とは異なる価値観で築かれた旧市街の都市計画。その最たるものは複雑に入り組んだ狭い路地でしょう。迷路のような道を当てもなく歩いていると、突然思いもよらぬ光景が目に飛び込んできて、旅の風情をいっそうかき立ててくれます。
   
スーク
路地を歩いているうちにスークに辿り着きました。静かだった界隈が一転して、威勢の良い掛け声と人々の熱気に取って代わられます。下から上を見上げると、建物が必ずしも真っ直ぐには建っていないことがわかります。二階の方がはみ出しているものも。
   

       
 
キリスト教地区
旧市街の東側には今もアラブ人キリスト教徒が多く住んでいます。その南側はかつてユダヤ人地区だったそうで、まるでエルサレム旧市街みたいです。
 
青空市場
スークではない通りでも、屋台を並べて即席の青空市場に早変わり。散歩しながらウインドーショッピングもできちゃいます。こんな買い物も楽しいですね。
 
スイカ売り
馬に引かせた屋台に山積みされたスイカ。こうした形で街をよく売り歩いているのですが、買うとしたら丸ごと一個が最低ロット。旅行者にはちょっと勇気が要ります。
 

     
水売り
ウマイヤドモスクのライトアップを見に行ったら、「よう、外国人、もう店じまいだからタダでいいよ」と水売りのおじさんに声を掛けられました。水といってもミネラルウォーターではなく、インドで採れる果実のジュースにバラ水をふりかけた飲み物です。お腹を壊さないかと一抹の不安はあったものの、せっかくの名物を試さないわけにはいかないと、勧められるままに飲んでみました。香りが良く、イチヂクのようなほんのりとした甘さがあって、なかなか美味しい。ついでに記念写真も撮ってもらいました。
     


   

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