歴史のシリア〜パルミラ(アラブ城、墓の谷)
 
Palmyra(Arab Castle/Valley of Tombs)
 
 
パルミラ(アラブ城、墓の谷)
 

 
アラブ城
 


  ローマ遺跡の北西、ちょうど全景を見渡せる位置に岩山がそびえています。誰が考えても見張り台にするには絶好の場所です。  

       
 
迷路
アラブ城に登ってみました。内部は意外に複雑で、通路や階段のいくつかは行き止まりになったり途中でなくなったり、ちょっとした忍者屋敷気分が味わえます。
 
遺跡全景
アラブ城からは遺跡全景はもちろんのこと、遺跡の隣に拡がる現在のパルミラの街や、それらを取り囲むオアシスの緑までもが一望のもとに見渡せます。
 
日没
アラブ城に登るのは夕方がオススメ。傾いた陽が徐々に遺跡を赤く染め上げていくさまは「来て良かった」と感激することしきり。地平線に沈む太陽も感動的です。
 

 
墓の谷
 


   
金持ち
ローマ遺跡の西に拡がる谷に墓が集中しているエリアがあります。裕福な人々は塔を建て、貧乏な人々は地面を掘り、その中にいくつも部屋を造っては布に包んだ遺体を収納して墓としました。当時の有名な富豪であったエラベール家の塔墓は5階建てにもなります。「俺はそれだけ金持ちだ」という自慢でもあるわけですね。
     
墓マンション
時代が下り、一家族でひとつの墓を維持するのが難しくなると、墓の分譲が始まりました。塔墓や地下墳墓のひと部屋ひと部屋を切り売りするわけです。縁もゆかりもない人の隣で永遠の眠りにつくのもどうかと思いますが、墓の谷にはそうした墓マンションが林立しています。バブル景気による建設ラッシュだったのか。
   

       
 
塔墓内部
棚のように数10cm大に仕切られた区画の奥行きは約2m。CTスキャンのように横たわって入るわけですね。なんだかコインロッカーみたいだな。
 
屋上から
塔墓の各階は窓のない階段でつながれていて、最後は屋上に出ます。運動不足のせいか、急な段差のせいか、5階分も登るとさすがに息が切れます。
 
強風
そんなわけで屋上に着いてひと休み。爽やかそうに見えるも風がビュービュー。もっとも、そのおかげで昼の砂漠の過酷な暑さは和らぐんだけど。
 

 
未公開墓に潜入!
 


     
パイプライン
街を挟んで遺跡と反対に位置する東の砂漠では、地下墳墓の発掘・修復作業が今も続いています。日本からの援助も行われており、史実の解明と新たな観光スポットの開発が期待されています。今回は特別に、発掘調査中の墓を見学させてもらうことになりました。砂漠の地面に落とし穴のように突如として現れる地下への入口。面白いことに石油のパイプラインが貫通しています。イラクの油田地帯と地中海岸の積出港とを結ぶ、まさに中東の大動脈。そんな大事なものを墓の敷地に造っていいのか?
     

       
 
生前のレリーフ
墓の部屋の前には被葬者の生前の姿を描いたレリーフが飾られています。どれもみな若々しい姿ですが、人生の中で最も輝いた時期を彫るのが決まりだったそうです。
 
国際協力
この墓は奈良のシルクロード研究センターから派遣されている佐藤さんが発掘の指揮をとっていました。三ヶ月交替でベル神殿に住みながら作業をしているそうです。
 
発掘現場
佐藤さんに職場を案内してもらいました。修復作業もまもなく終了で、2000年8月から一般公開を予定しているとのことでしたが、今はどうなっているのでしょう?
 

 
博物館
 


   
親日家
ローマ遺跡に隣接した街の入口にある博物館は、地下墳墓から出土したレリーフの展示が充実しています。発掘援助のおかげか、係員の人たちは日本人にとても親切。率先して次から次へと中を案内してくれました。しまいには普段は未公開というミイラまで見せてもらっちゃいました。得した。
   

 
街角の風景から
 


       
 
メインストリート
博物館の前から伸びる500mほどのこの通りがパルミラのメインストリート。というか、繁華街はこれ一本だけなんだけど。両側は庶民的なホテルが建ち並んでいます。
 
シャームパレス
パルミラ唯一の高級ホテルであるシャームパレスは、遺跡を挟んで街と反対側のオアシスの中にあります。開放感あふれるロビーに快適なリゾートプール。天国です。
 
オアシス
街を取り囲むようにナツメヤシの林が拡がっています。パルミラの語源はギリシャ語の「パルマ(ナツメヤシの意味)」。泉となって湧き出す地下水は今も健在です。
 


   

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