長生上人(S28 最後の講習会)
長生医学の創始者(長生上人)は人間の体を、肉体、プラーナ、心、の三要素が相互に関連したレベルにおいて活動していると考えていたようです。病気はそのバランスが乱れた状態と位置づけ、「身体的レベル」「生命エネルギー的レベル」「精神的レベル」に適切に働きかけ、三要素のシステムの調和を図ることが根本的な病気の治療と理論づけています。臨床的には、従来のアロパシー医学的治療法(対処療法)に比べ、人間が本来持つ生命力「自然治癒力」を重視した治療法が特色と思われます。


*長生医学の3本柱

一般的な身体的要因へのアプローチは脊椎矯正法が用いられます。視診や触診を通じ、直接見る触れるといった物理的レベルで認識出来るため最も分かりやすい概念です。広義的には、背骨を手で操作し身体の機能を整えるマニピュレーションと理解して差し支えないと思われます。

プラーナ療法は、施術者の持つ「プラーナ」と呼ばれる微細な生命エネルギーを診断と治療に活用しようとするもので、これを意識的に操作することで、患者さんの生命エネルギーに働きかける事を目的とします。物理的に直接触れる事が出来ないため一般的には理解し難い概念ですが、術者や患者さんが特殊な波動や温感として認識することも少なくありません。これは生理学で学んだ、感覚受容器からの刺激を主観的に認める皮膚感覚(触覚、圧覚)とは異なり、意識と結びついた感覚機能として感じる事が可能です。

視覚や聴覚といった感覚系のように、外的要因として大脳皮質感覚野に変換されることのない「心」の認識は更に理解し難い概念です。しかし身体に悪影響を及ぼす内的要因へのアプローチを目的とした精神療法は治療過程において不可欠のものとされています。長生医学には「心身一如」の大前提があるため、身体と心を別の次元では考えません。

こうした三つの基本的な概念を一体化したものを「長生医学の3本柱」と呼び、長生医学の核心をなすものと定義付けられています。

 

*長生医学のスタンス

長生医学のこうした理論体系が、近代医学における科学的思想と異なる面がある事は認めざるを得ません。しかし長生医学の診断、研究会における症例報告には必ず医学的所見や検査法が要求され、医学的概念を無視した言動は厳しく非難されます。

現代医学を否定せず、自然治癒を重視した概念はナチュロパシー的であり、プラーナをはじめ、アーユルヴェーダーや中国医学、アメリカやオーストラリアのシャーマニズムなど、世界各地の異なった文化や理論からなる伝統医療の概念にも多くの類似性が見られます。医学の主流を離れず、心身相関関係を重視する長生医学のスタンスは全人的治療という意味で、自らホリスティック医学と呼んで誇るべきものと思われます。

1932年に「長生療法」と名づけられたこの理論と技術が次第に認知されるにつれ、創始者は訓練を受けた特定の技術者だけが用いる特殊な治療としてでなく、一般家庭で容易に活用出来る予防医学として広く普及させることを望んだようです。晩年、自らの命を削り尚布教活動を続けたのは、創始者が少年期に遭遇した親兄弟の急死が起因していると伝えられています。しかし皮肉な事にそのトラウマ的体験が、長生医学誕生の礎になったともいわれます。(1970純宏法師は生きている、1990長生健康読本参照)

 


T.CONCEPT  II.RELIGION  III.THERAPIES  IV.DIAGNOSTIC

V.SPINAL MANIPULATION  VI.PRANA  VII.PSYCHOTHERAPY

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