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34年眠りこける片割れの為の慰みの花輪
ベニヤ板、石膏、フジツボの殻、猫の頭骨、犬の頭骨
最初の就職の時、私は美術関係の色々を諦めることを覚悟しました。
製造業開発設計の残業続きの毎日では、せいぜい写真を撮ることぐらいの
余裕しかないと考えたのです。
眠り続ける片割れとは、工業系大学の学生にもかかわらず、
恋もせず、車にも乗らず、
未練たらしく美術を続けてきた私自身です。
が、その18年半後に、実にばかばかしい経営戦略により職を失ってみると、
多様でしかるべき人格の全てのスペクトルを道具とせず、
残り半身だけで生業を為そうとした過去の自分を青臭く感じます。
(製作記録)
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本作品はジグソーでカットした厚手のベニヤ板の上に石膏を塗り重ねて制作しました。
手順を左図に示します。
まず、石膏を塗ります。
次に、石膏が固まりきる前に泥を塗ります。
更に、最初の石膏が固まったら泥の上から石膏を再び塗ります。
これを繰り返して層を作り、最後に水で泥を洗い流します。
最後には石膏のひだ状構造が残ります。
泥が生乾きの石膏に食い込むので、複雑なマチエールが出来ます。
中央には、故郷の川で拾った猫と犬の頭骨を貼り付けています。
その左右には泥で型取った私の腕を配置。
(下の写真参照)
後は大量のフジツボの殻です。

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(搬送)
本作品の展示は東京の銀座の画廊で行われました。
製作した東京工業大学の美術部部室前からの搬送は人力で行いました。
車では無く、電車での移動です。
手伝ってくれたお二人、ありがとう。

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