平成14年度の企業関係の主な税制改正の内容をご案内いたします。
改正項目は他にもありますが、中小企業にとって重要と思われるものをピックアップしました。
法律の詳細及び運用についてはご相談ください。
主な改正項目
(法人税)
1.交際費課税の緩和
2.中小企業投資促進税制の改正
3.自己株式の譲渡損益
4.受取配当金の益金不算入制度の改正
5.退職給与引当金の廃止
6.同族会社の留保金課税の軽減
7.連結納税制度の創設
改正内容
1.交際費課税の緩和
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法人の支出する交際費等の額については、期末資本金額に応じて、一定額を損金に算入しないこととされています。
(改正前)
資本金 |
損金に算入できる額 |
1,000万円以下 |
400万円と交際費の額のいずれか少ない額 × 80% |
1,000万円超5,000万円以下 |
300万円と交際費の額のいずれか少ない額 × 80% |
5,000万円超 |
0円 |
(改正後)
資本金 |
損金に算入できる額 |
5,000万円以下 |
400万円と交際費の額のいずれか少ない額 × 80% |
5,000万円超 |
0円 |
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2.中小企業投資促進税制の改正
1) |
概要 |
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特定の中小企業が一定の機械設備等を取得した場合、取得価額の7%の税額控除または取得価額の30%の特別償却をすることができる制度です。 |
2) |
改正の内容 |
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対象機械設備等の取得価額要件が、230万円以上から160万円以上(リースの場合、300万円以上から210万円以上)に引下げられ、適用期限が平成16年3月31日まで延長されました。 |
3.自己株式の譲渡損益
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商法改正により自己株式の保有が自由化されましたが、これを受けて税法では、自己株式の譲渡に伴う譲渡損益を、資本積立金額の増加・減少として、課税しないこととされました。 |
4.受取配当金の益金不算入制度の改正
1) |
改正前の制度 |
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法人が受取る配当金等のうち所定の額を、課税しない制度です。
課税されない金額 = A + B
A = 特定株式等の配当等 − 左に係る負債利子
B = (特定株式以外の配当等 − 左に係る負債利子) × 80%
※ 特定株式等とは、発行済株式等総数の25%以上を6ヶ月以上所有している株式等をいいます。
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2) |
改正内容 |
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上記の80%を次の割合に変更されました。
年度 |
中小法人等 |
その他 |
平成14年度 |
70% |
50% |
平成15年度 |
60% |
平成16年度以降 |
50% |
また負債利子の計算方法も変更されていますので、注意が必要です。 |
5.退職給与引当金の廃止
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平成13年度で退職給与引当金が廃止され、既存の残高は、平成14年度より大法人は4年間、中小法人等は10年間で取り崩すことになります。 |
6.同族会社の留保金課税の軽減
1) |
概要
同族会社の所得の内部留保額が一定の額を超える場合に、その超える金額に対し、所定の税率で、通常の法人税とは別に法人税が課税される制度です。
創業10年以内の中小企業や所定のベンチャー企業については、現在、留保金課税が停止されています。 |
2) |
改正内容
資本金1億円以下の中小企業の留保金課税に対する税額が5%減額されます。
また、所定の金額の試験研究開発費を支出した所定の中小企業についても、留保金課税が停止されることとなりました。
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7.連結納税制度の創設
1) |
概要
親会社と100%子会社からなる企業グループを、ひとつの単位として、課税を行う制度です。
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2) |
承認
連結納税制度の適用を受けるためには、所定の期限内に、国税庁長官の承認を受ける必要があります。
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3) |
税率
連結納税制度の税率は、「親会社の資本金」と「連結所得金額」により判定することになります。
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ただし、2年間は2%の付加税が上乗せされます。 |
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