心と体の対話
Dialogue with heart and body

第4話 『胃痛とその心』

「お腹が痛い」「胃が痛い」この二つは似ているようで、聞いた感じが何となく違う。
使う人も使い分けているような気がします。

多分「お腹が痛い」という人は、食中毒か、食べ過ぎてお腹をこわしているか、風邪の菌がお腹にきているか、そんな感じだと思います。
その時は、腸の方にも問題が起こっていると事が多くて、下痢や便秘を伴う事が多いですね。

対して「胃が痛い」と言うのは、ストレス性の胃炎であったり、胃潰瘍であったりするところを表現されているようです。

そんな違いを特に医学的な知識がなくても、身体の感覚としていつの間にか人は身に付けているのですね。


ここで一つ質問です。
「胃がん」は痛いと思いますか?
初期の胃がんは、痛みを伴わない事が多く、自覚症状が出る頃には病状が進んでいる事が多いのです。この事は意外と知られていません。

悪い事には何でも「痛み」や変な感じがつきもの。身体の感覚としてそう理解している所が多いですもんね。
その意味では、自覚症状とは有り難いものです。何か異変が起きている!と言う事を知らせてくれているのですからね。
では、何故?体にとって一大事である「がん」の発生に対して、体は早くからそのサインを発しないのでしょうね。
私はそれが不思議です。


一つ考えられるのは、がん細胞は、日々発生しているからかもしれません。
毎日いたる所で、がん細胞は生まれ、体の守り手であるNK細胞にやっつけられています。
NK細胞の数が減ったり、働きが落ちたり、追いつかない速度でがん細胞が増殖すると、「がん」という病気が出来あがってしまうのです。
日々発生してる事にサインを出すのは、難しいことなのかもしれません。

胃潰瘍や、胃のポリープそのものが、がん化して「胃がん」になる事はほとんどありません。
でも胃炎や、胃潰瘍になるというのは、心や体にストレスが強くかかり、辛いよという体のサインですよね。
その状態を続けると、NK細胞の働きは低下します。
それは胃がんに限らず、がんを増殖させやすい状態を作るという事です。


「胃が痛い」という表現を使う事がある時は、心と体へのストレスに、対処して欲しいという体の訴えと理解して、早めに対応してあげるのが、大切だと思います。