心と体の対話
Dialogue with heart and body

第1話『肥満とその心』

どうしてもダイエットが続かない。
どんな事をしても痩せられない。
ダイエットしてもすぐに戻ってしまう。
そんな声を良く聞きます。

こんなに世の中で話題になり続け、人の興味を引くダイエット。
この科学と医学の発達した時代に、どうして未だ完全な方法が現れないのでしょうか?
不思議に思った事はありませんか?


私は、その理由をこんな風に考えています。

  • ダイエットには誰にでも当てはまる方法はなく、一人一人によって違うものである。
  • 一時的なものではなく、生涯続ける習慣である。
  • 体重という体の一部を切り離した考え方ではなく、心を含むトータルな人としての自己像を変化させていくことである。

今日は、特にその3つ目について、私の考えをお話したいと思います。

肥満する人は、遺伝的な体質、幼少期の肥満細胞の数、食習慣、運動習慣など、原因は様々ですが、メンタルな面で考えた時に、ストレスとの関りがあると思います。

=代理摂食=

ストレスの発散を、食べることに求める行為です。
ストレスが溜まると、脳内のアドレナリンやノルアドレナリン、コーチゾールといった、抗ストレスホルモンが分泌され、いろいろ体に悪い反応を起こします。
脳は『これは大変』と、セロトニンという体内麻薬のような気持ちのよい神経伝達物質を出して、体を快適な状態にしようとします。
ずっとストレスが続くと、セロトニンも不足しがちになり、無意識に食べ物の中に良く似た作用を求めます。
炭水化物を多く取ると、これに似たような作用が得られるようです。
甘いものを食べる事で、脳内で快適な気持ちを感じ、セロトニン不足を補っている事もあるでしょう。
アルコールの力を借り、酔っ払う事で、似たような脳内環境を作る人もいるでしょう。
代理摂食をする限り、ダイエットは難しいという事になります。

=セットポイント説=

食欲をコントロールしている脳の中枢で、個人の体重を維持し、それを一定に保とうという働きがあり、そのコントロール基準をセットポイントといいます。
“セットポイントは、ストレスによって上がってしまうので、一度上がったセットポイントを元に戻さない限り、いくらダイエットしてもすぐにその体重に戻ってしまい、戻そうという脳の指令は生命活動そのものと言って良い程の根源的なものなので、その強力な食欲に「意志」の力で勝つ事は難しい。”という説を唱える先生もいます。(セットポイントは、運動や、ストレス解消で下がるそうです。)

代理摂食にせよ、セットポイント説にせよ、ストレスへの対処が上手く出来ていない事によって起こる問題です。
肥満を、単なる食べ過ぎの問題と捉えていると、いつまでもダイエットは成功しないし、長続きしないという事です。


ストレスを理解し、どう対処するか、その方法は一人一人違うはずです。
又、人生には思いもかけない出来事がたくさん起こるもの。
その時々で受けるストレスの強さも違うもの。
一人では対処しきれない時もあるでしょう。
そんな時は、他の人の力を借りる事も大切です。

『ストレスへの対処』その為には、自分の人生への関り方、ものの見方から変えなければならない時もあるでしょう。
でも、それができた時、『本当のダイエットが成功する』と私は思います。