定義:ゼロベクトルのみからなるベクトル空間の次元
[斎藤『線形代数入門』4章§2例1(p.97)§3(p.104);永田『理系のための線形代数の基礎』1.5(p.32);]
ゼロベクトルのみからなる実ベクトル空間Vには基底は存在しないが、
このような実ベクトル空間Vにたいしては、dimV=0と定義する。
定理:m個のベクトルから生成されたベクトル空間の線形独立系に属すベクトルは最大m個。
[ホフマン『線形代数学I』2.3基底と次元:定理4(p.44);]
(舞台設定)
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
W:実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
v1, v2, …, vm:W上のベクトル。つまり、v1, v2, …, vm ∈W
a1, a2, …, am :スカラー。a1, a2, …, am ∈R
V:{ v1, v2, …, vm }から生成された「Wの部分ベクトル空間」
これは、{ v1, v2, …, vm }を含む最小の「Wの部分ベクトル空間」であり、
{ v1, v2, …, vm }が張る「Wの部分ベクトル空間」でもある。
(本題)
{ v1, v2, …, vm }から生成された「Wの部分ベクトル空間」Vの部分集合Sが線形独立系であるならば、
Sは有限集合であって、
Sには、m個よりも多くのベクトルが属さない。
(証明)
定理:基底に属すベクトルの数と、線形独立になるベクトルの数。
[永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);]
(舞台設定)
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
V:実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
U:Vの部分集合で、有限集合。つまり「Vに属すベクトル」を有限個だけあつめた集合。
u1, u2, …, ulをVに属すベクトルとすれば、 U={ u1, u2, …, ul }
(本題)
実ベクトル空間Vに属すベクトルの有限集合{ u1, u2, …, ul }が、実ベクトル空間Vの基底であり、
かつ、
実ベクトル空間Vに属すベクトル v1, v2, …, vm が線形独立である
ならば、
m≦l
(証明)永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);
数ベクトルの性質を、同型写像でうつす。
定理:
[永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);]
(舞台設定)
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
V:実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
U:Vの部分集合で、有限集合。つまり「Vに属すベクトル」を有限個だけあつめた集合。
u1, u2, …, ulをVに属すベクトルとすれば、 U={ u1, u2, …, ul }
(本題)
実ベクトル空間Vに属すベクトルの有限集合{ u1, u2, …, ul }が、実ベクトル空間Vの基底であり、
かつ、
実ベクトル空間Vに属すベクトル v1, v2, …, vl が線形独立である
ならば、
{ v1, v2, …, vl }も、実ベクトル空間Vの基底である。
(証明)永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);
数ベクトルの性質を、同型写像でうつす。
定理:拡大して得られる基底
[永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);砂田『行列と行列式』§5.3-b定理5.47(p.175):証明付.]
(舞台設定)
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
V:実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
U:Vの部分集合で、有限集合。つまり「Vに属すベクトル」を有限個だけあつめた集合。
u1, u2, …, ulをVに属すベクトルとすれば、 U={ u1, u2, …, ul }
(本題)
実ベクトル空間Vに属すベクトルの有限集合{ u1, u2, …, ul }が、実ベクトル空間Vの基底であり、
かつ、
実ベクトル空間Vに属すベクトル v1, v2, …, vm が線形独立であり、
かつ、
m< l
ならば、
{ u1, u2, …, ul }から選んだ、ある(l−m)個のベクトルを{ v1, v2, …, vm}に加えて、Vの基底とすることができる。
これを、{ v1, v2, …, vm}を拡大して得られる基底と呼ぶ。
(証明)
永田『理系のための線形代数の基礎』定理1.3.7(p.22);→数ベクトルの性質を、同型写像でうつす。
砂田『行列と行列式』§5.3-b定理5.47(p.175)→数ベクトルの同型写像を持ち出さない証明
定理:有限次元ベクトル空間の基底に属すベクトルの個数。
[ホフマン『線形代数学I』2.3基底と次元:系1(p.45);永田『理系のための線形代数の基礎』系1.3.8(p.23);
神谷浦井『経済学のための数学入門』定理3.1.5(p.113);]
(舞台設定)
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
V:R上の有限次元ベクトル空間
(本題)
R上の有限次元ベクトル空間Vの基底に属すベクトルの個数は、Vの基底のとり方にかかわらず、一定。
すなわち、
任意の二つの「Vに属すベクトルの有限集合」{ u1, u2, …, ul }と{ v1, v2, …, vm }について、
{ u1, u2, …, ul }も{ v1, v2, …, vm }もVの基底であるならば、
l=m。
(証明)
定理:有限次元ベクトル空間の次元 dimension
[ホフマン『線形代数学I』2.3基底と次元:系1(p.45);永田『理系のための線形代数の基礎』系1.3.8(p.23);
『岩波数学辞典』210線形空間:C線形結合(p.571);志賀『線形代数30講』15講(p.97);
神谷浦井『経済学のための数学入門』§3.1.3(p.110);藤原『線形代数』4.2(p.95);]
(舞台設定)
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
V:R上の有限次元ベクトル空間
(定義)
R上の有限次元ベクトル空間Vの基底に属すベクトルの個数は、
Vの基底のとり方にかかわらず、一定。(→詳細)
したがって、R上の有限次元ベクトル空間Vの次元dim Vは、Vの基底に属すベクトルの個数のこと。
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(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目210線形空間(pp.570-576)
線形代数のテキスト
志賀浩二『数学30講シリーズ:線形代数30講』朝倉書店、1988年、15講基底と次元(pp.94-99):有限次元ベクトル空間のみ扱っている。
ホフマン・クンツェ『線形代数学I』培風館、1976年、2.3基底と次元(pp.41-50)。
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.3ベクトル空間(pp.14-6)。
砂田利一『現代数学への入門:行列と行列式』2003年、§5.3-b(p.173).
佐武一郎『線形代数学(第44版)』裳華房、1987年、Vベクトル空間§6ベクトル空間の公理化(p.115)。線形従属・独立については、数ベクトルに限定?
藤原毅夫『理工系の基礎数学2:線形代数』岩波書店、1996年、4.1線形空間と写像(p.91)。 線形従属・独立については、数ベクトルに限定?
斎藤正彦『線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第4章§3基底および次元(pp.99-107)。
数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.1ベクトル空間とは何か(p.105)。