実ベクトル空間における同型写像:トピック一覧
・定義:同型写像、同型
・定理:同型の反射律・対称律・推移律
※実ベクトル空間のあいだの一次写像関連ページ:
一次写像−定義/ベクトル演算の一次写像/一次写像の代数系/一次写像と線形独立/一次写像―全射・単射
同型写像/同型写像と線形独立
定義:同型写像・同形写像 linear isomorphism
[『岩波数学辞典』210線形空間:B(p.570);砂田『行列と行列式』§5.1C(p.159);斎藤『線形代数入門』4章§2(p.98)
永田『理系のための線形代数の基礎』1.3(p.20);ホフマン『線形代数学I』3.3同型(p.86);
佐武『線形代数学』V§7(pp.119-120);藤原『線形代数』4.1(pp.93-4);志賀『線形代数30講』16講(p.104);]
【舞台設定】
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
V:実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
V' :実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
f:V→V':実ベクトル空間Vから実ベクトル空間V'への写像
【本題】
同型写像linear isomorphismとは、全単射である一次写像のこと。
つまり、
「写像f が、VからV'への同型写像である」とは、
写像f が、次の2要件を満たすことをいう。
要件1: 写像f が、VからV'への一次写像であること。
論理記号で表すと、すなわち、
(1-1) (∀x,y∈V) ( f ( x+y )=f ( x )+f ( x ) )
(1-2) (∀x∈V) (∀a∈R) ( f (a x )=af ( x ) )
要件2: f が全単射であること。[→一次写像が単射・全射となるための必要十分条件]
論理記号で表すと、すなわち、
(2-1) f (V)=V' つまり、Imagef=V'
(2-2) v,v'∈Vかつf ( v )=f ( v' ) ⇒ v =v'
※代数系一般における同形写像の定義、線形独立と同型写像、計量同型写像
→[トピック一覧:同型写像]
→線形代数目次・総目次
定義:同型・同形
[『岩波数学辞典』210線形空間:B(p.570);砂田『行列と行列式』§5.1C(p.159);斎藤『線形代数入門』4章§2(p.98)
永田『理系のための線形代数の基礎』1.3(p.20);ホフマン『線形代数学I』3.3同型(p.86);
佐武『線形代数学』V§7(pp.119-120);藤原『線形代数』4.1(pp.93-4);志賀『線形代数30講』16講(p.104);]
【舞台設定】
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
V:実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
V' :実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
【本題】
・「VはV'に同型である」とは、VからV'への同型写像が存在することをいう。
・「VはV'に同型である」を次の記号で表す。
定理:同型の性質
[砂田『行列と行列式』§5.1C(p.159);藤原『線形代数』4.1(p.94);斎藤『線形代数入門』4章§2(p.98);
ホフマン『線形代数学I』3.3同型(p.86);志賀『線形代数30講』16講(p.104);]
【舞台設定】
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
V:実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
V' :実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
V'' :実ベクトル空間 (実数体R上の線形空間・ベクトル空間」)
【本題】
(1)反射律

つまり、VからVへの写像は、同型写像
(2)対称律
⇒
つまり、同型写像の逆写像も同型写像
(3)推移律
かつ
⇒
つまり、同型写像の合成写像は同型写像
定義:正則な写像 regular, nonsingular
[志賀『線形代数30講』16講(p.102;104);『岩波数学辞典』210線形空間:B線形写像(p.570);
ホフマン『線形代数学I』3.2基底と次元(p.82);
【舞台設定】
R:実数体(実数をすべて集めた集合)
【本題】
・ホフマン『線形代数学I』3.2基底と次元(p.82)は、単射(T対1写像)である一次写像(これは、そのKernelが{0}であることと同値)を正則な写像と呼ぶ。
・志賀『線形代数30講』16講(p.102;104)は、一次写像f :V→V'が、単射(T対1写像)であり、かつ、dimV=dimV'であるものを正則写像と呼んでいる。
(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目210線形空間(pp.570-576)
線形代数のテキスト
志賀浩二『数学30講シリーズ:線形代数30講』朝倉書店、1988年、16講線形写像(pp.100-105)。
ホフマン・クンツェ『線形代数学I』培風館、1976年、2.3基底と次元(pp.41-50)。
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.3ベクトル空間(pp.14-6)。
佐武一郎『線形代数学(第44版)』裳華房、1987年、Vベクトル空間§7底の変換・直交変換(pp.119-120)。
藤原毅夫『理工系の基礎数学2:線形代数』岩波書店、1996年、4.1線形空間と写像(p.91)。
斎藤正彦『線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第4章§2線形空間(p.98)。
砂田利一『現代数学への入門:行列と行列式』2003年、§5.1(p.159).
数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.1ベクトル空間とは何か(p.105)。