一次写像(線形写像)の代数系 : トピック一覧
・一次写像の和/一次写像のスカラー倍/Hom(V,V')/一次写像の合成
※一次写像関連ページ:定義/ベクトル演算の一次写像/一次写像と線形独立/一次写像―全射・単射/階数/同型写像/同型写像と線形独立
※実ベクトル空間から実ベクトル空間への一次写像の代数系
定義:一次写像(線形写像)の和
[志賀『線形代数30講』16講(p.101);ホフマン『線形代数学I』3.2一次変換の代数系定理4(p.76);砂田『行列と行列式』§5.1c定義5.10(p.157);『岩波数学辞典』項目210-D(p.571);]
(舞台設定)
K:体 (例:有理数をすべてあつめた集合Q、実数をすべて集めた集合R、複素数をすべてあつめた集合C)
V :K上のベクトル空間
V' :K上のベクトル空間
+:ベクトル空間Vにおいて定義されているベクトルの加法
+:ベクトル空間V'において定義されているベクトルの加法
スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの:K上のベクトル空間Vにおいて定義されているスカラー乗法
および、K上のベクトル空間V'において定義されているスカラー乗法
f:V→V':K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像
g:V→V':K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像
(本題)
一次写像f,gの和 (f+g) とは、
任意のv∈Vに対して、 f(v)+g(v)
で定義された一次写像(f+g):V→V'のこと。
(証明)「(f+g)がK上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像」の定義を満たすことの証明:未稿
定義:一次写像のスカラー倍
[志賀『線形代数30講』16講(p.101);ホフマン『線形代数学I』3.2一次変換の代数系定理4(p.76);砂田『行列と行列式』§5.1c定義5.10(p.157);『岩波数学辞典』項目210-D(p.571);]
(舞台設定)
K:体 (例:有理数をすべてあつめた集合Q、実数をすべて集めた集合R、複素数をすべてあつめた集合C)
V :K上のベクトル空間
V' :K上のベクトル空間
+:ベクトル空間Vにおいて定義されているベクトルの加法
+:ベクトル空間V'において定義されているベクトルの加法
スカラーに続けてベクトルを並べて書いたもの:K上のベクトル空間Vにおいて定義されているスカラー乗法
および、K上のベクトル空間V'において定義されているスカラー乗法
f:V→V':K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像
(本題)
一次写像fのスカラー倍 (af) とは、
任意のa∈Kと任意のv∈Vに対して、 f(av)
で定義された一次写像(af):V→V'のこと。
(証明) 「(af)がK上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像」の定義を満たすことの証明
定理:VからV'への一次写像全体のなす集合 Hom (V,V') は、ベクトル空間をなす。
[志賀『線形代数30講』16講(p.101);ホフマン『線形代数学I』3.2一次変換の代数系定理4(p.76);『岩波数学辞典』項目210-D(p.571);砂田『行列と行列式』§5.1c定義5.10(p.158);]
(舞台設定)
K:体 (例:有理数をすべてあつめた集合Q、実数をすべて集めた集合R、複素数をすべてあつめた集合C)
V :K上のベクトル空間
V' :K上のベクトル空間
f:V→V':K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像
(本題)
・Hom (V,V')は、K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像全体のなす集合をあらわす。
・Hom (V,V')は、
「一次写像の和」「一次写像のスカラー倍」という演算の定義された代数系として、K上のベクトル空間。
定理:一次写像の合成写像
[永田『理系のための線形代数の基礎』1.3問2(p.20);志賀『線形代数30講』16講(p.101);ホフマン『線形代数学I』3.2-定理6(p.78);砂田『行列と行列式』§5.1c(p.157);]
(舞台設定)
K:体 (例:有理数をすべてあつめた集合Q、実数をすべて集めた集合R、複素数をすべてあつめた集合C)
V :K上のベクトル空間
V' :K上のベクトル空間
V'' :K上のベクトル空間
f:V→V':K上のベクトル空間VからK上のベクトル空間V'への一次写像
g:V'→V'':K上のベクトル空間V'からK上のベクトル空間V''への一次写像
(本題)
・gとfとの合成写像g〇f を、
v∈Vに対して、 g ( f ( v ) ) で定義する。
・g〇f は、VからV''への一次写像の定義を満たす。
(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目210線形空間(pp.570-576)
線形代数のテキスト
志賀浩二『数学30講シリーズ:線形代数30講』朝倉書店、1988年、16講線形写像(pp.100-105)。
ホフマン・クンツェ『線形代数学I』培風館、1976年、2.3基底と次元(pp.41-50)。
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、1.3ベクトル空間(pp.14-6)。
砂田利一『現代数学への入門:行列と行列式』2003年、§5.1-c(p.157).
佐武一郎『線形代数学(第44版)』裳華房、1987年、Vベクトル空間§6ベクトル空間の公理化(p.115)。線形従属・独立については、数ベクトルに限定?
藤原毅夫『理工系の基礎数学2:線形代数』岩波書店、1996年、4.1線形空間と写像(p.91)。 線形従属・独立については、数ベクトルに限定?
斎藤正彦『線形代数入門』東京大学出版会、1966年、第4章§2線形空間(p.96):実線形空間・複素線形空間のみ;附録V§2体(p.249)。
代数学のテキスト
本部均『新しい数学へのアプローチ5:新しい代数』共立出版、1969年、5.2-Aベクトル空間(p.132)。
酒井文雄『共立講座21世紀の数学8:環と体の理論』共立出版、1997年、1.6ベクトル空間(p.22)。:数ページしか触れていないが、逆に、一般の線形空間の理論の骨組みだけを浮かびあがってくるので、何が重要事項なのかを見極める上で便利。
数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.1ベクトル空間とは何か(p.105)。