オオキンケイギク

ヤグルマギクやナガミヒナゲシが盛りを過ぎる夏の初めの頃、路傍で一番目に付くのがオオキンケイギクである。
北アメリカ原産で、明治の中頃、観賞用に導入されたものが野生化し、各地に広がりつつあり、又、繁殖力が強く、排ガスにも強い事から、近年は法面等にワイルドフラワーとして播種されることも多く、河川岸や高速道路の壁面を黄色に染める。 この時期には散歩道でも一番目立つ花である。
ヒルザキツキミソウ、ムシトリナデシコ、アカバナユウゲショウ等、観賞用に導入され、野生化した花は多いが、この花は特別派手で、草を抜く時にも残されるので、毎年同じ所に群生して散歩をする人の目を楽しませてくれ、又、高速道を走るドライバーにとっても楽しい気分にさせてくれる花である。
ところが、2006年に特定外来生物に指定されたとたん、各地で撲滅キャンペーンが始まり、毎年、新聞紙上でも撲滅の論議がかしましい。 特定外来生物法は日本の生態系を崩すとして駆除の対象を定めた法律で2005年に制定され、植物の項ではオオキンケイギクやアレチノウリ等が挙げられている。( 「アレチノウリは強害雑草」 の項参照)
しかし、筆者にはしっくりこない。
タンポポ、オオイヌノフグリ等々、外来種が席巻している例はきわめて多く、また、日本に古来からある植物でも史前帰化植物が大半で、日本固有種はほとんど無いのが実情であり、植物も歴史と共に変わっていくものなので単純に生態系を変えると言うだけできれいな花を駆除するのはいかがなものであろうか?( 「タンポポ今昔」 「オオイヌノフグリの名の由来」 の項参照)
同じキク科でも同様に繁茂しているフランス菊は指定されず、又、撲滅すべきブタクサやアレチノウリなどの有害植物はあまり話題に上がらず、オオキンケイギクだけが駆除の対象として新聞紙上を賑わしているのは納得しかねる。 ( 「ブタクサはマッカ−サ−の置き土産」 「ややこしい名のフランスギク」 の項参照)


オオキンケイギクは大きなキンケイギク(金鶏菊)の意味で、キンケイギクが一年草に対し、オオキンケイギクは多年草で、花びらに切れ込みがある等、違いははっきりしているが、一般にはオオキンケイギクがキンケイギクとして取り扱われているようである。
名の由来は花の色を金鶏(黄色の鳥)に見立てて名付けられたと言う説と、金色に輝き、花の形が鶏の鶏冠(とさか)に似ているからと言う説の二説ある。 
目立つがゆえに撲滅キャンペーンのいの一番に挙げられるかわいそうな花である。

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