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軸受/案内要素に関連する用語



【軸】

〔読み〕じく
〔広辞苑(第六版)の掲載〕あり
〔大辞林(第二版)の掲載〕あり
〔類語例〕中心,芯,シャフト
〔英訳例〕axis,shaft
〔特許公報における使用頻度〕★★★★
〔関連事例〕
平成16(ワ)11096  民事訴訟
平成17年09月22日 大阪地方裁判所
(原告は、本件発明における「回動体を軸として」の意味は、回動体が2つの部材間を連結する部材であることを意味すると主張する。しかしながら、・・・本件発明における「軸」の意味について原告主張のように解することはできず、むしろ、「軸」は回転運動の中心を意味しているものと解するのが相当である。さらにいえば、原告は、「軸」には「連結する材」との意味があるとして、広辞苑第5版(甲6)の記載を援用するが、広辞苑第5版(甲6)には、「軸」の意味として、「車の心木。轂を貫き、輪と車体とを連結する材。」と記されているのであって、これ自体、単に2つの部材間を連結するのみならず、回転運動の中心となる部材を表していることは明らかであるから、この点からも原告の上記主張は採用することができない)
 
平成12(ワ)10170  民事訴訟
平成14年10月03日 大阪地方裁判所
(構成要件C、Dにおける・・・「ガイド軸」とは、マンドレルの支持枠及び加圧ローラの可動枠をガイドする「軸」を意味すると解されるところ、「軸」の一般的な語義をみると、「広辞苑」〔第五版〕(岩波書店)には「車の心木(しんぎ)。巻く物の中心にする丸い棒。中心線のまわりに回転する棒状の部材。」などと記載され、「大辞林」(三省堂)には「車の左右二つの車輪をつないでいる棒。車の心棒。巻物や掛物の心にする丸い棒」などと記載されている。・・・また、本件訂正明細書において実施例を示す図として引用する図1〜5(本件訂正前公報参照)によれば、いずれも「ガイド軸」(5a〜5b)に相当する部材が丸棒状のもので構成されており、その他、本件訂正明細書及び図面中に、「ガイド軸」が、丸棒状以外の形態を備えたものを含むと解すべきことを示唆するような記載は見当たらない。・・・そうすると、「ガイド軸」とは、丸棒状の形態を備えたガイド部材と解すべきである)



【軸受】

〔読み〕じくうけ
〔広辞苑(第六版)の掲載〕あり
〔大辞林(第二版)の掲載〕あり
〔類語例〕ベアリング
〔英訳例〕bearing
〔特許公報における使用頻度〕★★★★
〔関連事例〕
平成18(ワ)10128 特許権侵害差止等請求事件 民事訴訟
平成19年10月29日 大阪地方裁判所
(辞書類では,「軸受」とは,「回転運動をする軸を支える装置」(大辞林第2版,1995年),「機械などで,固定部と回転部との間にあって回転部を支える装置。往復運動軸を支えるものも含む。」(広辞苑第5版,1998年),「回転運動または直線運動をする軸を支える役目をするもの。」(図解機械用語辞典第4版(日刊工業新聞社),2005年)と定義されることが認められる。なお,上記図解機械用語辞典第4版は本件発明の出願後の辞典であるが,技術分野からして「軸受」の意味が出願時から変更があったとは認めがたく,出願時にも同様の定義であったと推認される。・・・原告は,@軸受部材は,文字どおり軸となる部材が中に挿入されている部材という以上の意味を有するものではない,A本件発明の軸受部材は,スタンディングボードを地面に水平になるように調整するため装着アームが位置を変えることなくスタンディングボードを回動可能にするものであり,軸受部材につき,装着アームの端部の水平部分が軸受部材に対して回転運動や直線運動を可能にするものに限定されていないと主張する。しかし,「軸受」は,辞書類では前認定のとおりの定義であって,「軸となる部材が中に挿入されている」という意味とはされていない。しかも,本件明細書の発明の詳細な説明及び添付図面における実施例を参照した説明でも,軸受部材は,辞書類で定義される「軸受」としての機能を有することが開示され,本件明細書にはそれ以外に「軸受部材」に関する説明はないのであるから,「軸受部材」は,本件明細書の発明の詳細な説明で開示された装着アームの端部の水平部分が軸受部材の内部で直線運動や回転運動をするのを支える部材と解さなければ,「軸受部材」の技術的意義が理解できない)



【回転】

〔読み〕かいてん
〔広辞苑(第六版)の掲載〕あり
〔大辞林(第二版)の掲載〕あり
〔類語例〕回る,回動,旋回
〔英訳例〕rotate,revolve
〔特許公報における使用頻度〕★★★★
〔関連事例〕
昭和58(ワ)1689  民事訴訟
昭和60年04月26日 東京地方裁判所
(特許を受けようとして出願する者は、その発明について可能な限り最大限の保護を求めていると考えるのが自然かつ合理的であるから、出願人が意識してその発明の技術的範囲を限定しているというためには、明細書その他出願書類に限定している旨が明らかにされていることを要するというべきである。しかしながら、本件明細書の発明の詳細な説明の項において、特許請求の範囲に記載された「回転」の意義を限定するような記載を見い出すことはできない。被告は、本件明細書の発明の詳細な説明の項に記載された五つの実施例がいずれもA態様のものであつてB態様のものでないことを意識的に除外したことの根拠の一つにするが、一般に実施例は発明思想を実際上どのように具体化するかを示すための例示的な説明にすぎないものであるから、実施例にB態様のものがないからといつて、B態様のものを意識的に除外しているといえないことはいうまでもないところである。かえつて、本件明細書の発明の詳細な説明の項に「特定の実施例を参照して物体を動かす方法及び装置について記載したが、搬送装置を変更し得ることが当業者に明らかであろう。当業者に明らかなこのような変更は凡て本発明の範囲に属すると考える。」(別添特許公報第一八欄二〇行ないし同二四行)と記載していることからするならば、出願人においてA態様以外の作動態様のものも本件発明の技術的範囲に含まれると考えていることが推認されるのであつて、出願人が本件発明の技術的範囲をA態様のもののみに意識的に限定しているとは到底いえない。また、他に本件発明にいう「回転」の意義を限定する趣旨が記載された出願書類のあることを認めるに足りる証拠は見当たらない)



【中心】

〔読み〕ちゅうしん
〔広辞苑(第六版)の掲載〕あり
〔大辞林(第二版)の掲載〕あり
〔類語例〕真ん中,中央
〔英訳例〕center
〔特許公報における使用頻度〕★★★★
〔関連事例〕
平成12(ワ)2530  民事訴訟
平成13年08月27日 東京地方裁判所
(構成要件Aの部分では,「モータを中心部へ内蔵した」と記載されている。ところで,「中心」という語は,一般的に「真ん中,周囲や両端から等距離にあるような点とそのまわりの部分」を意味すること,本件明細書の詳細な説明欄において「中心部」を特別な意味で理解すべきとする説明はないこと,実施例図面(図1B)においては,モータは基台の内部の中心部に設置されていること,及び,「中心部」としたことにより,自明の効果として,部品点数を減少させ,コンパクト化に資するという効果を生じること等に照らすならば,構成要件Aにおける「中心部」とは,基台の真ん中の部分ないし基台の側壁から等距離にある部分という意味であることは明らかである。これに対し,原告は,本件明細書の「発明の詳細な説明」欄には,モータ13の位置に関して,単に「基台8内に設けたモータ13」(5欄3ないし4行)と記載され,モータ13が基台の単に内側にあることのみが示されていること,従来技術については,「基台8上に設置したモータ13」(3欄6ないし7行)と記載されていることから,本件発明におけるモータ13の位置に関しては,基台の上ではなく内にあることのみが示されていると解すべきであると主張する。しかし,「中心部」という語は,本件明細書の従来技術に関する図2におけるモータの配置をできる限り避けたことは明らかであること,「中心部」という語を「基台の内側」と理解させるのは,文言からあまりにも乖離して無理があることから,原告の同主張は採用できない)



【案内】

〔読み〕あんない
〔広辞苑(第六版)の掲載〕あり
〔大辞林(第二版)の掲載〕あり
〔類語例〕誘導
〔英訳例〕guide,lead
〔特許公報における使用頻度〕★★★★
〔関連事例〕
平成15(ワ)17475 特許権侵害差止等請求事件 民事訴訟
平成16年09月30日 東京地方裁判所
(本件考案にいう「ガイド用立上り係止爪」の意義については,本件実用新案明細書の「実用新案登録請求の範囲」,「考案の詳細な説明」には特に記載がないため,当業者の技術常識に照らして解釈する。機械工学用語辞典(乙21の1)によれば,「案内 guide」とは,「ある機械部分を,それに沿ってすべらせ,特定の方向に導く棒やみぞなどのこと。」とされ,機械用語図解辞典第2版(甲11)によれば,「guide apparatus 案内装置」は,「@ある機構の運動を既定の方向に導く装置,たとえばカムのみぞなど。」とされている。そうすると,機械における「ガイド」とは,機械のある構成部分の運動を,当該構成部分に求められる機能に応じて既定された,あるいは予定された,一定の運動方向に導くことと解するのが自然である。・・・この点,原告は,ガイドの意義について,予定されていない方向に抜けるのを防止していれば足りる旨主張する。しかし,上記にみたように,機械における「ガイド」とは,ある構成部分の運動方向を既定の方向,あるいは予定された方向に積極的に導くものでなければ意味がないというべきである。原告が主張するような,スライドカムが予定されていない方向,つまり上方に抜け出ることを防止するという機能は,単なる抜け止めの機能というべきで,当該機能をガイド機能に含めて解釈することは,通常の技術常識に照らせば妥当ではなく,原告の上記主張は採り得ない)



【移動】

〔読み〕いどう
〔広辞苑(第六版)の掲載〕あり
〔大辞林(第二版)の掲載〕あり
〔類語例〕動く,進行,変位
〔英訳例〕move,run,shift
〔特許公報における使用頻度〕★★★★
〔関連事例〕
平成20(ネ)10046 特許権侵害行為差止等請求控訴事件 民事訴訟
平成20年11月26日 知的財産高等裁判所
(控訴人は,構成要件1−Eの「移動」の語は一義的に明確ではないから,本件明細書(甲2)の実施例に示された「回動」のみに限定され,脚部が回動することにより開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動するものに限られると主張する。しかし,原判決が説示するとおり(37頁22行〜38頁6行),本件明細書において脚部を「回動」する構造のほか,脚部をスライドさせる構造や,着脱自在とした脚部を付け替える構造をも含み得ることは,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が技術常識をもって本件明細書を見れば容易に理解することができ,かつ,本件明細書には脚部を「移動可能」とする構成として脚部が「回動」する構造に限定する旨の記載や示唆はなく,そのような構造に限定すべき理由もない。したがって,控訴人の上記主張は採用することができない)
 
平成11(行ケ)241  行政訴訟
平成12年03月28日 東京高等裁判所
(原告は、発明の詳細な説明【0007】等及び図8、図9(別紙2参照)から理解されるように、本件訂正前の明細書では、「移動」との語を軸長手方向への変位を意味するものとして使用している旨主張するが、「移動」は、「図中右方に移動させて」や「図中左方に移動し」のように、「右方に」や「左方に」とともに使用されているものであるから、「移動」の語自体が軸長手方向への変位を意味するものとは認められない上、【0007】は、その記載から明らかなように従来技術について説明している箇所であるから、その中で仮に「移動」が軸長手方向への変位を意味するものとして使用されているとしても、そのことは、本件訂正前の発明の要旨にいう「スリーブを操作する」が「スリーブを回転させる」ことに限定されることの根拠となるものとは認められない)



【摺動】

〔読み〕しゅうどう
〔広辞苑(第六版)の掲載〕なし
〔大辞林(第二版)の掲載〕なし
〔類語例〕摺接,滑走
〔英訳例〕slide,rub
〔特許公報における使用頻度〕★★★★
〔関連事例〕
平成17(行ケ)10308  行政訴訟
平成17年07月14日 知的財産高等裁判所
(被告は,刊行物1記載の発明の可動体7と円筒部11の螺合による移動も,第1可動体と第2可動体にとっては擦り合って移動する「摺動」といえると主張するが,刊行物1における可動体と差動部材は螺合するねじを介して係合していることに照らすと,「擦り合って移動する」といえるかには疑問があり,審決の上記認定部分は正確性を欠くといえなくもない)
 
平成12(ワ)11906  民事訴訟
平成14年05月29日 東京地方裁判所
(本件全証拠によるも,本件明細書の特許請求の範囲欄の「摺動部材」の内容を確定することはできない。「摺」という語には,「こする」という意味があり(角川書店「漢和中辞典」),本件明細書の記載及び図面に照らして解釈すると,本件明細書の構成要件B及びDにおける「摺動部材」は,「他の部材と接触してこすれながら動く部材」という意味と推測される・・・。そこで,本件明細書の「発明の詳細な説明」欄を参酌して,「摺動部材」の意味を解釈することとする。・・・そうすると,構成要件B及びD@の「摺動部材」とは,上記各記載及び各図面に参酌するならば,実施例におけるガス通路制御部25(すなわち,ロッド26及びこれに嵌合せしめられた弁部材27)のように,「他の部材と接触してこすれながら移動する部材」を指すと解するのが相当である)



【沿う】

〔読み〕そう
〔広辞苑(第六版)の掲載〕あり
〔大辞林(第二版)の掲載〕あり
〔類語例〕従う,並行
〔英訳例〕along
〔特許公報における使用頻度〕★★★★
〔関連事例〕
平成20(ワ)12501 特許権侵害行為差止請求事件 民事訴訟
平成21年09月03日 東京地方裁判所
(「沿う」とは,「線条的なもの,または線条的に移動するものに,近い距離を保って離れずにいる意。」(広辞苑第5版1538頁)を意味するものである。・・・そうすると,「前記下端部から上端部に沿って若干外側に膨らんだ形状」とは,言葉の通常の意味においては,スナップ片に連結された部分を解除片の下の端(一番下の部分)とし,そこから上方に向かって,いくらか外側に膨らみながら解除片が延びて行き,部品保持部20の側面に近接した位置が解除片の上の端(一番上の部分)となる形状を意味するものということができる)
 
平成18(行ケ)10347 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟
平成19年06月05日 知的財産高等裁判所
(「沿う」の通常の語義は,「線条的なもの,または線条的に移動するものに,近い距離を保って離れずにいる意。長く連なるものから離れずに進んだり続いたりする場合に「沿」を使う。」(広辞苑第五版)というものである。そして,訂正発明の「沿わせる」についても,通常の語義を離れた意味を有すると解すべき理由はないから,釣糸ガイド部材を「隙間」に沿わせるとは,釣糸ガイド部材が,巻回部材側縁間の隙間に対して近い距離を保って離れずにいる状態を意味すると解するのが相当である)
 
平成15(ワ)4361 特許権侵害差止等請求事件 民事訴訟
平成16年07月27日 大阪地方裁判所
(本件明細書の実施例及び図面に記載された短アームは、細長い単純な長方形状のものではないが、その形状に照らして、両端の第1及び第2枢支軸を結ぶ方向が「長さ方向」であると明確に観念できるものである。そして、本件特許発明の「段部」は、短アームの長さ方向に「沿って」いなければならないが、「沿う」とは、一般に、長く連なるものから離れずにいることを意味するから、上記のような意味で「長さ方向」に「沿って」いることを要するものというべきである。この「沿う」の語義からすると、「長さ方向に沿う」とは、「ある程度の長さにわたって、所定の方向(長さ方向)の向きに延びている」という意味に理解するのが自然であるといえる)