まえがきから引用する。
本書の最初の目的はガロワ理論をできるだけすっきりと解説することである.(中略) 本書の第二の目的は可換環論入門である.
私のような、頭が弱い者にはわからない。ただ、少しは問題をやってみよう。p.43 にある次の問題だ。
問題 2.2 次の数の `QQ` 上の既約多項式を求めよ。
- `sqrt(2)+sqrt(3)`
- `root(3)(2)+i`
- `2cos{:(2pi)/5:}`
- `2sin{:(2pi)/5:}`
上記問題の (1) を本書の例 2.12 の (1)(p.41)にしたがって解答してみた。ここで `QQ[X]` は `QQ` 上の多項式環であり(本書 p.4)、`"Irr"_QQ(alpha)` は `alpha` の `QQ` 上の規約多項式(または最小多項式)である(本書 p.38)。
`alpha = sqrt(2)+sqrt(3)` とする。`alpha - sqrt(2) = sqrt(3)` の両辺を 2 乗して移項すると `alpha^2 - 1 = 2sqrt(2)alpha` が得られ、さらに 2 乗して `alpha^4-10alpha^2+1` が得られる。 ゆえに `X^4-10X^2+1` が `QQ[X]` で既約なら `"Irr"_QQ(alpha) = X^4 - 10X^2+1` がいえる。 一方 `sqrt(2) = (alpha^2 - 1)/(2alpha) in QQ(alpha)` より `sqrt(2), sqrt(3) in QQ(alpha)` が示せる。 したがって `QQ(alpha) sup QQ(sqrt(2), sqrt(3))`。拡大次数の連鎖律を `QQ sup QQ(sqrt(2)) sup QQ(sqrt(2), sqrt(5))` に使うと `[QQ(alpha) : QQ] = 4` がわかる。`X^4-10X^2+1` が可約とすると `[QQ(alpha) : QQ] = "deg"\ "Irr"_QQ lt 4` となってしまうので、 `X^4-10X^2+1` が既約、`"Irr"_QQ = X^4-10X^2+1`である。
数式記述は ASCIIMathML を、 数式表現は MathML を用いている。
書名 | 環と体 |
著者 | 渡辺敬一 |
発行日 | 2002 年 11 月 25 日(初版第 1 刷) |
発行元 | 朝倉書店 |
定価 | 3400 円(本体) |
サイズ | |
ISBN | 4-254-11592-X |
その他 | 草加市立図書館で借りて読む |