まえがきから引用する。
本書は確率論の入門書である.(中略)現代確率論は,コルモゴロフの理論体系,いいかえればルベーグの測度論・積分論に基づいて構成されている.(後略)
第 1 章を除き、章末問題がある。巻末には解答がある。
私のような、頭が弱い者にはわからない。ただ、p.2 の次の記述には感心した。
確率論とは,ランダムな現象を対象として,それを数学的に解析し,そこから一定の法則性を発見することを目標とする学問分野である. (中略)確率論は,「確率があらかじめわかっている」ということを前提にしてスタートするからである. 確率自体を,たとえば観測データから推定したり求めたりすることは,むしろ統計学とよばれる分野の役割であり, 確率論ではあくまで個々の確率は既知であるとして解析を始める.
一つは問題を解いてみたい。p.71 にある章末問題のうちの一つである。
問題 2.6 コーシー分布密度関数(`m = 0, sigma = 1`)について
`int_RR 1 / (pi(1+x^2)) dx = 1`であることを示せ.
巻末解答は複素関数論の留数を用いて導いている。私は頭が弱いので高校数学程度でなんとかしたい。`x = tan t` と変換すると、
`(dx)/(dt) = 1 / cos^2t` であり、
積分範囲は `(-oo, oo)` から `[-2/pi, 2/pi]` に変換される。置換積分により、
`int_-oo^oo1/(1+x^2)dx = int_(-pi/2)^(pi/2) 1 / (1 + tan^2t) * (dt)/(cos^2t) = [t]_(-pi/2)^(pi/2) = pi`
よって`int_RR 1 / (pi(1+x^2)) dx = 1`(証明終)
数式記述は ASCIIMathML を、 数式表現は MathJax を用いている。
書名 | 確率論 |
著者 | 舟木直久 |
発行日 | 2003 年 7 月 5 日(初版第 1 刷) |
発行元 | 朝倉書店 |
定価 | 3400 円(本体) |
サイズ | 276ページ |
ISBN | 4-254-11597-0 |
その他 | 草加市立図書館で借りて読む |