エターナル・サンシャイン |
Eternal Sunshine Of The Spotless Mind |
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監督: |
ミシェル・ゴンドリー |
脚本: |
チャーリー・カウフマン |
音楽: |
ジョン・ブライオン |
出演: |
ジム・キャリー
ケイト・ウィンスレット
キルスティン・ダンスト
トム・ウィルキンソン
マーク・ラファロ
イライジャ・ウッド |
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公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
第77回アカデミー賞脚本賞受賞/主演女優賞ノミネート |
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スピッツ的大傑作!! |
★★★★☆ |
内気で、自己嫌悪のかたまりみたいなオトコ、ジョエル。
衝動的でパンクで超行動派なオンナ、クレメンタイン。
こんな凸凹なふたりは
付き合っていたのに、徐々に溝ができ始め、別れることに。
そしてクレメンタインは衝動的に
ふたりの「過去の記憶」を消し去ることにした。
それを知ったジョエルは…。
こんな出だしでしょうか。
奇抜な発想とテンポの良いセリフを書く脚本家
チャーリー・カウフマンと、
彼とは『ヒューマン・ネイチュア』でもコンビを組んだ
ミシェル・ゴンドリー監督の作品です。
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なんか、この映画については
くわしいことをクドクドと書きたくありません。
っつうか、みんな観ろ!
いますぐ観に行け!
ダッシュで観に行け!
好きな人と、手をつないで行け!
ダメ男たちよ、
要するにオレたちが観る映画だぞ!!
以上、終わり。
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あ、でも、ひとつだけ書いときたい。
この映画を観終わって思ったんだけど、
これって、スピッツ的世界観とカブるなぁってこと。
ヒネくれてるんだけど、心優しい感じ。
ダメ男なんだけど、まっすぐな感じ。
冬の冷たさが春の温かい日差しに変わる感じ。
独りぼっちになった
寂しい夜 大安売り
三塁ベースを踏んで
そこから先は何も思い出せずに
どうぞボクを飲み込んでよ 大きな口で
"トンビ飛べなかった" |
ひとりの夜くちびるを噛んで
氷の部屋を飛び出したのさ
人は誰もが寂しがりやのサルだって
今わかったよ
"裸のままで" |
ふたりで絡まって
夢からこぼれても
まだ飛べるよ
新しいときめきを
丸ごと盗むまで
"ルナルナ"より |
遠い明日につながってる心
こらえきれず飛び起きるほどの
一度だけで終わるかもしれぬ
網をくぐり幼な子に戻る
ただ春を待つのは哀しくも楽しく
強がりでワガママなあなたにも届いたなら
"ただ春を待つ"より |
明日 海を見に行こう
眠らないで二人で行こう
朝一番のバスで行こう
久しぶりに海へ行こう
"海を見に行こう"より |
思い出せないのはキミだけ
キミの声 キミの感じ
思い出したいのはキミだけ
ぼやけた優しい光
それは恋のはじまり 闇の終わり
時が止まったりする
おかしな生き物
明日は晴れるだろう
"恋のはじまり"より |
調べてたらザクザク出てきました。
まさに♪恋のはじまり、闇の終わり♪です。
p.s.
ジョン・ブライオンの音楽は相変わらずハートフルで、
エンディングで流れるBeckの曲がおそろしく感動的!
ちなみに、この映画の原題は
イギリスを代表する詩人、アレキサンダー・ポープが
18世紀に書いた作品の一節から拝借されたなんだ。
(劇中にもセリフとして登場する)
真の幸福は罪なき者に宿る。
忘却は許すこと。
太陽の光に導かれ、無垢な祈りは神に受け入れられる。 |
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posted on 2005.03.27 |
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▲TOP |
サイドウェイ |
Sideways |
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監督: |
アレクサンダー・ペイン |
原作: |
レックス・ピケット |
脚本: |
アレクサンダー・ペイン
ジム・テイラー |
音楽: |
ロルフ・ケント |
出演: |
ポール・ジアマッティ
トーマス・ヘイデン・チャーチ
ヴァージニア・マドセン
サンドラ・オー
メアリールイーズ・バーク |
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公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
第77回アカデミー賞脚色賞受賞/作品賞・監督賞などノミネート |
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ワインのようにじっくり熟成させておきたい映画 |
★★★★ |
大のワイン好きで、小説家デビューを目指している
冴えない高校教師、マイルス。
売れない俳優で、結婚を一週間後に控えたスケベ男、ジャック。
ジャックの結婚前に、独身最後のハメ外しとばかりに
二人はワインの名産地を回る旅に出た。
そこで出会った女性、そしてワインを通じて
マイルスとジャックは…。
というお話。
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結論からいうと、これはジワジワと胸に染みる
楽しくも切ない、そして希望の光が差し込む良品でした。
でも、そんな感慨と同時に
「あぁ〜、アカデミー賞が獲れなかったのもわかる」
という感じの、非常に地味な作品でもありましたね。
あ、勘違いしないでほしいんですけど、
地味=ダメという意味ではありませんよ!
地味=一般市民の視線に近い!ということで、
すごく親近感が湧くという風にとらえてください。
地位も名誉も金もあるアカデミー会員たちに
この映画の良さはわからないのかもしれないっすね。
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なんてたって、やっぱりマイルスですよ!
ポール・ジアマッティです!!
何事にも悲観的で、自信がなくて、
見た目によらず繊細で、気が小さい。
夢と現実のはざまでもがき苦しんでいる。
そんな中年のオッサンが
本能で生きるジャックに振り回されながら、
魅力的な女性ミアに出会いながら、
自分自身を見つめなおし、自分自身に自信を取り戻す。
その過程が見事に表現されていました。
な〜んて、
こんなマジメな感想が似合わない映画なんです、実は!
スケベなオッサンと、ウジウジしたオッサンが繰り広げる
笑いあり・ちょっぴり涙ありの珍道中なんです。ただの。
そこが面白いんですけど、
これはあまりにも年齢が若すぎると
ぜんぜん面白くないかもしれない。
「大好きな女の子にフラれたことがある」とか
「夢をあきらめて、実家の家業を継いだ」とか
毎日をクソ面白くもない仕事をしながら生きてる人とか
やりたいことがあるのにできない人とか
自分の言いたいことが素直に言えない人とか
残念ながら離婚をしてしまった人とか、
ある程度の苦い人生経験を積んだ人が見ると
イッパツでハマる映画なんじゃないでしょうか!?
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ペイン監督の前作『アバウト・シュミット』には
まったく共感できなかったけど、
今回の『サイドウェイ』はドンピシャ!!
今よりもオッサンに近づいた5年後に
もう一度観たいなぁ、この映画。
そのとき、オレは何を感じるんだろう? |
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posted on 2005.03.21 |
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▲TOP |
ロング・エンゲージメント |
Un Long Dimanche de Financailles |
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監督: |
ジャン=ピエール・ジュネ |
原作: |
セバスチャン・ジャプリゾ |
脚本: |
ジャン=ピエール・ジュネ
ギョーム・ローラン |
音楽: |
アンジェロ・バダラメンティ |
出演: |
オドレイ・トトゥ
ギャスパー・ウリエル
ドミニク・ピノン
マリオン・コティヤール
アンドレ・デュソリエ
シャンタル・ヌーヴィル
ジョディ・フォスター
ティッキー・オルガド
ドニ・ラヴァン
チャッキー・カリョ |
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公式サイト(フランス語)
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
第77回アカデミー賞撮影賞/美術賞ノミネート |
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あっけにとられてしまいました…! |
★★★★☆ |
『アメリ』の監督・脚本家・主演女優・脇役までが
再び結集してできた映画、と聞いて、
ワクワクしないわけにはいかない!
そんな気分で公開初日を迎えた、わたくし。
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この映画の日本版チラシを見ると
基本的なコンセプトは『アメリ』をパクっておりまして…、
『アメリ』のコピーフレーズが「幸せになる」だったのに対し、
今回は「予感を信じる」でした。
戦争に行って、そのまま生死不明になってしまった
婚約者を「きっと生きている!」と信じて探す
純粋な女性の物語という「恋愛映画」としての一面に
クローズアップしたフレーズなんだと思います。
『アメリ』チラシ
『ロング・エンゲージメント』チラシ
それはそれで、この映画の重要な一面であることは
紛れもない事実です。
でも、この映画はそれだけに収まらなかった!
あまりにすさまじい「現実」を見せつけられたオレは
映画を観終わってから家に帰るまでのあいだ、
マトモな思考回路を保つことができませんでした。
事前に抱いていた予想を、根底から覆す内容だったから。
やっぱり、この映画の監督
ジャン=ピエール・ジュネはすげぇや。
『アメリ』の手法で『プライベート・ライアン』を撮ったんだもん。
非現実と超現実を一本の映画に同居させたんだよ。
もう、すごすぎ。
っていうか、『アメリ』は
この映画を撮るための実験台に過ぎなかったのかもね。
(そんなような記述が公式サイトに載ってた)
ベッドの中で、ポツンとひとりたたずみながら
自分自身を探す女の子を描く
楽観的なファンタジー『アメリ』から、
悲しい現実に背中を向けながら、
切れかけの運命の糸を手繰り寄せようとあがく女性を描く
行き先の見えないファンタジー『ロング・エンゲージメント』へ。
アリが踏み潰されるのと同じように
大勢の人間が簡単に殺され傷つく現実と、
人生でたったひとりの、かけがえのない人を想い
信じ続けるという、並大抵ではない意志。
この両極端な対比が、この映画のすべて。
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太平洋戦争終戦間近のころの、壮絶な空爆が
行われたのは、今からちょうど60年前。
先日のニュースで、"一夜にして10万人もの命を奪った
東京大空襲の記憶を風化させないための行事"について
放映されていたのを見ました。
昭和48年生まれのオレにとって、
戦争っていうのは、まったくリアリティに欠ける話です。
戦争について話してくれる祖父・祖母もおらず、
学校では、戦後の歴史なんてほとんどすっ飛ばされました。
テレビや映画の中でしか、戦争というものを知りません。
でも、もし、今、日本が戦争状態になったとしたら、
オレは真っ先に徴兵される世代にいます。
病気もケガもしてないしね。国から見たらまさにうってつけ。
そうなったとき、大切な家族、恋人、友人たちと別れて、
今まで何の関係もなかった他国の人たちに
銃を向ける(向けられる)、殺す(殺される)なんていう
究極の状況に耐えられるんだろうか? 耐えて生き残ることができるんだろうか?
もしくは、死ぬか生きるかの場面で
自分の命を投げ出すことができるんだろうか?
この「体験してみないと決してわからない」状況について
答えの出ない想像を延々と繰り返してしまう。
そこまでの現実を提示してくれたという意味でも
素晴らしい価値のある映画でした。
(『ローレライ』を観たあとだったことも影響してるね、たぶん。
映画の出来は雲泥の差だったけど。)
とりあえず、もう一度観たいです。
p.s.
久々にスクリーンで観たジョディ・フォスター、
毅然としてて、背筋がピンと伸びてて、やはり気品が違いますね。 |
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posted on 2005.03.13 |
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ローレライ |
Lorelei |
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監督: |
樋口真嗣 |
原作: |
福井晴敏 |
脚本: |
鈴木智 |
音楽: |
佐藤直紀 |
出演: |
役所広司
妻夫木聡
柳葉敏郎
香椎由宇
堤真一
石黒賢
小野武彦
佐藤隆太
ピエール瀧 |
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公式サイト(日本語) |
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キライじゃないんだけどなぁ〜。 |
★★☆ |
潜水艦映画にハズレなし
これはよく言われている説です。
『Uボート』『レッド・オクトーバーを追え!』『U-571』など
息が詰まりそうになるほどの緊迫感を持った良作が
存在するからだと思います。同感です。
(『K-19』は個人的に納得できませんでしたが…。)
でも、よく考えてみると、日本製の潜水艦映画って
これまで作られたことがあるんでしょうか?
チラっと調べたところ、
『潜水艦ろ号未だ浮上せず』(1954)という映画が
あるようなんですが、それ以外は探し当てられなかったので、
ほとんど作られていないということなんでしょうね。
ま、そのキモチはわかるような気がします。
潜水艦という、大掛かりな舞台装置や
深海という、ごまかしの効かない舞台背景や
密室での命がけの状況を
臨場感とリアリティを持たせながら描くには
相当の労力とお金と忍耐力が必要でしょうからね。
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予告編を見て、「ん!なんか面白そうかも」と思うと同時に、
上に挙げた潜水艦映画の傑作たちのことを
思い浮かべながら、今回の『ローレライ』を観に行きました。
舞台は終戦直前の日本。
東京への原爆投下を阻止するための最終兵器として
任務を帯びた潜水艦"伊507"の壮絶な道のりを描いた
戦争スペクタクルヒューマンドラマ、といった感じ。
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ハリウッド映画に対抗するぞ!
という、この映画の持つ意気込みは、買います。
製作費12億円という、ハリウッドとは比べ物にならない予算で
がんばっている雰囲気は、わかりました。
役所広司&フジテレビ常連の俳優を集めて、
CGにも力を入れて、
今が旬の作家に原作を頼んで作ったんだから。
その結果、少し強引な設定なんかもありつつ、
それなりの緊迫感は出てたんじゃないかな。
けっこう手に汗握りましたもん。
日本の戦争史と絡めた展開も興味深かったし。
しか〜し!
興ざめしてしまうところも、けっこうありました。
・途中、"すこしやりすぎなんじゃない?"と思わせられたCG。
・最近、出演作が多すぎて、少々食傷気味な妻夫木くん。
・ミステリアス感が希薄だったパオラのキャラクター。
・佐藤隆太くんの使われ方が、あまりにももったいない。
・ギバちゃんの役柄は、もう少し年配の人のほうが
良かったんじゃないかという点。
(ギバちゃん自体はすばらしい熱演でした)
・結局、日本映画は役所広司に頼らざるをえないのか!
という、悲しい現実。
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この映画の原作小説を読んでいないだけに
(1000ページにも及ぶ大作、文庫本にすると4巻!)
映画だけの印象しか持てないんですが、
それなりに楽しめたと同時に、
まだまだ物足りない面も多々あったということで
ちょっと複雑な心境です。はい。 |
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posted on 2005.03.13 |
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February,2005 | back number | April,2005  |