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トップページ> 映画> レビュー> 2005年> 3月
March, 2005
エターナル・サンシャイン
Eternal Sunshine Of The Spotless Mind
監督: ミシェル・ゴンドリー
脚本: チャーリー・カウフマン
音楽: ジョン・ブライオン
出演: ジム・キャリー
ケイト・ウィンスレット
キルスティン・ダンスト
トム・ウィルキンソン
マーク・ラファロ
イライジャ・ウッド
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
第77回アカデミー賞脚本賞受賞/主演女優賞ノミネート
スピッツ的大傑作!! ★★★★☆
内気で、自己嫌悪のかたまりみたいなオトコ、ジョエル。
衝動的でパンクで超行動派なオンナ、クレメンタイン。
こんな凸凹なふたりは
付き合っていたのに、徐々に溝ができ始め、別れることに。
そしてクレメンタインは衝動的に
ふたりの「過去の記憶」を消し去ることにした。
それを知ったジョエルは…。

こんな出だしでしょうか。

奇抜な発想とテンポの良いセリフを書く脚本家
チャーリー・カウフマンと、
彼とは『ヒューマン・ネイチュア』でもコンビを組んだ
ミシェル・ゴンドリー監督の作品です。

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なんか、この映画については
くわしいことをクドクドと書きたくありません。

っつうか、みんな観ろ!
いますぐ観に行け!
ダッシュで観に行け!
好きな人と、手をつないで行け!
ダメ男たちよ、
要するにオレたちが観る映画だぞ!!


以上、終わり。

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あ、でも、ひとつだけ書いときたい。
この映画を観終わって思ったんだけど、
これって、スピッツ的世界観とカブるなぁってこと。
ヒネくれてるんだけど、心優しい感じ。
ダメ男なんだけど、まっすぐな感じ。
冬の冷たさが春の温かい日差しに変わる感じ。

独りぼっちになった
寂しい夜 大安売り
三塁ベースを踏んで
そこから先は何も思い出せずに
どうぞボクを飲み込んでよ 大きな口で

"トンビ飛べなかった"

ひとりの夜くちびるを噛んで
氷の部屋を飛び出したのさ
人は誰もが寂しがりやのサルだって
今わかったよ

"裸のままで"

ふたりで絡まって
夢からこぼれても
まだ飛べるよ
新しいときめきを
丸ごと盗むまで

"ルナルナ"より

遠い明日につながってる心
こらえきれず飛び起きるほどの
一度だけで終わるかもしれぬ
網をくぐり幼な子に戻る
ただ春を待つのは哀しくも楽しく
強がりでワガママなあなたにも届いたなら

"ただ春を待つ"より

明日 海を見に行こう
眠らないで二人で行こう
朝一番のバスで行こう
久しぶりに海へ行こう

"海を見に行こう"より

思い出せないのはキミだけ
キミの声 キミの感じ
思い出したいのはキミだけ
ぼやけた優しい光
それは恋のはじまり 闇の終わり
時が止まったりする
おかしな生き物
明日は晴れるだろう

"恋のはじまり"より

調べてたらザクザク出てきました。
まさに♪恋のはじまり、闇の終わり♪です。

p.s.
ジョン・ブライオンの音楽は相変わらずハートフルで、
エンディングで流れるBeckの曲がおそろしく感動的!

ちなみに、この映画の原題は
イギリスを代表する詩人、アレキサンダー・ポープが
18世紀に書いた作品の一節から拝借されたなんだ。
(劇中にもセリフとして登場する)

真の幸福は罪なき者に宿る。
忘却は許すこと。
太陽の光に導かれ、無垢な祈りは神に受け入れられる。
posted on 2005.03.27
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サイドウェイ
Sideways
監督: アレクサンダー・ペイン
原作: レックス・ピケット
脚本: アレクサンダー・ペイン
ジム・テイラー
音楽: ロルフ・ケント
出演: ポール・ジアマッティ
トーマス・ヘイデン・チャーチ
ヴァージニア・マドセン
サンドラ・オー
メアリールイーズ・バーク
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
第77回アカデミー賞脚色賞受賞/作品賞・監督賞などノミネート
ワインのようにじっくり熟成させておきたい映画 ★★★★
大のワイン好きで、小説家デビューを目指している
冴えない高校教師、マイルス。
売れない俳優で、結婚を一週間後に控えたスケベ男、ジャック。
ジャックの結婚前に、独身最後のハメ外しとばかりに
二人はワインの名産地を回る旅に出た。
そこで出会った女性、そしてワインを通じて
マイルスとジャックは…。

というお話。

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結論からいうと、これはジワジワと胸に染みる
楽しくも切ない、そして希望の光が差し込む良品でした。
でも、そんな感慨と同時に
「あぁ〜、アカデミー賞が獲れなかったのもわかる」
という感じの、非常に地味な作品でもありましたね。

あ、勘違いしないでほしいんですけど、
地味=ダメという意味ではありませんよ!
地味=一般市民の視線に近い!ということで、
すごく親近感が湧くという風にとらえてください。

地位も名誉も金もあるアカデミー会員たちに
この映画の良さはわからないのかもしれないっすね。

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なんてたって、やっぱりマイルスですよ!
ポール・ジアマッティです!!

何事にも悲観的で、自信がなくて、
見た目によらず繊細で、気が小さい。
夢と現実のはざまでもがき苦しんでいる。
そんな中年のオッサンが
本能で生きるジャックに振り回されながら、
魅力的な女性ミアに出会いながら、
自分自身を見つめなおし、自分自身に自信を取り戻す。
その過程が見事に表現されていました。

な〜んて、
こんなマジメな感想が似合わない映画なんです、実は!

スケベなオッサンと、ウジウジしたオッサンが繰り広げる
笑いあり・ちょっぴり涙ありの珍道中なんです。ただの。
そこが面白いんですけど、
これはあまりにも年齢が若すぎると
ぜんぜん面白くないかもしれない。

「大好きな女の子にフラれたことがある」とか
「夢をあきらめて、実家の家業を継いだ」とか
毎日をクソ面白くもない仕事をしながら生きてる人とか
やりたいことがあるのにできない人とか
自分の言いたいことが素直に言えない人とか
残念ながら離婚をしてしまった人とか、
ある程度の苦い人生経験を積んだ人が見ると
イッパツでハマる映画なんじゃないでしょうか!?

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ペイン監督の前作『アバウト・シュミット』には
まったく共感できなかったけど、
今回の『サイドウェイ』はドンピシャ!!

今よりもオッサンに近づいた5年後に
もう一度観たいなぁ、この映画。
そのとき、オレは何を感じるんだろう?
posted on 2005.03.21
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ロング・エンゲージメント
Un Long Dimanche de Financailles
監督: ジャン=ピエール・ジュネ
原作: セバスチャン・ジャプリゾ
脚本: ジャン=ピエール・ジュネ
ギョーム・ローラン
音楽: アンジェロ・バダラメンティ
出演: オドレイ・トトゥ
ギャスパー・ウリエル
ドミニク・ピノン
マリオン・コティヤール
アンドレ・デュソリエ
シャンタル・ヌーヴィル
ジョディ・フォスター
ティッキー・オルガド
ドニ・ラヴァン
チャッキー・カリョ
公式サイト(フランス語)
公式サイト(英語)
公式サイト(日本語)
第77回アカデミー賞撮影賞/美術賞ノミネート
あっけにとられてしまいました…! ★★★★☆
アメリ』の監督・脚本家・主演女優・脇役までが
再び結集してできた映画、と聞いて、
ワクワクしないわけにはいかない!

そんな気分で公開初日を迎えた、わたくし。

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この映画の日本版チラシを見ると
基本的なコンセプトは『アメリ』をパクっておりまして…、
『アメリ』のコピーフレーズが「幸せになる」だったのに対し、
今回は「予感を信じる」でした。
戦争に行って、そのまま生死不明になってしまった
婚約者を「きっと生きている!」と信じて探す
純粋な女性の物語という「恋愛映画」としての一面に
クローズアップしたフレーズなんだと思います。

『アメリ』チラシ
『ロング・エンゲージメント』チラシ

それはそれで、この映画の重要な一面であることは
紛れもない事実です。

でも、この映画はそれだけに収まらなかった!

あまりにすさまじい「現実」を見せつけられたオレは
映画を観終わってから家に帰るまでのあいだ、
マトモな思考回路を保つことができませんでした。

事前に抱いていた予想を、根底から覆す内容だったから。

やっぱり、この映画の監督
ジャン=ピエール・ジュネはすげぇや。
『アメリ』の手法で『プライベート・ライアン』を撮ったんだもん。
非現実と超現実を一本の映画に同居させたんだよ。
もう、すごすぎ。

っていうか、『アメリ』は
この映画を撮るための実験台に過ぎなかったのかもね。
(そんなような記述が公式サイトに載ってた)
ベッドの中で、ポツンとひとりたたずみながら
自分自身を探す女の子を描く
楽観的なファンタジー『アメリ』から、
悲しい現実に背中を向けながら、
切れかけの運命の糸を手繰り寄せようとあがく女性を描く
行き先の見えないファンタジー『ロング・エンゲージメント』へ。

アリが踏み潰されるのと同じように
大勢の人間が簡単に殺され傷つく現実と、
人生でたったひとりの、かけがえのない人を想い
信じ続けるという、並大抵ではない意志。

この両極端な対比が、この映画のすべて。

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太平洋戦争終戦間近のころの、壮絶な空爆が
行われたのは、今からちょうど60年前。
先日のニュースで、"一夜にして10万人もの命を奪った
東京大空襲の記憶を風化させないための行事"について
放映されていたのを見ました。

昭和48年生まれのオレにとって、
戦争っていうのは、まったくリアリティに欠ける話です。
戦争について話してくれる祖父・祖母もおらず、
学校では、戦後の歴史なんてほとんどすっ飛ばされました。
テレビや映画の中でしか、戦争というものを知りません。

でも、もし、今、日本が戦争状態になったとしたら、
オレは真っ先に徴兵される世代にいます。
病気もケガもしてないしね。国から見たらまさにうってつけ。

そうなったとき、大切な家族、恋人、友人たちと別れて、
今まで何の関係もなかった他国の人たちに
銃を向ける(向けられる)、殺す(殺される)なんていう
究極の状況に耐えられるんだろうか?
耐えて生き残ることができるんだろうか?
もしくは、死ぬか生きるかの場面で
自分の命を投げ出すことができるんだろうか?

この「体験してみないと決してわからない」状況について
答えの出ない想像を延々と繰り返してしまう。
そこまでの現実を提示してくれたという意味でも
素晴らしい価値のある映画でした。
(『ローレライ』を観たあとだったことも影響してるね、たぶん。
 映画の出来は雲泥の差だったけど。)

とりあえず、もう一度観たいです。

p.s.
久々にスクリーンで観たジョディ・フォスター、
毅然としてて、背筋がピンと伸びてて、やはり気品が違いますね。
posted on 2005.03.13
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ローレライ
Lorelei
監督: 樋口真嗣
原作: 福井晴敏
脚本: 鈴木智
音楽: 佐藤直紀
出演: 役所広司
妻夫木聡
柳葉敏郎
香椎由宇
堤真一
石黒賢
小野武彦
佐藤隆太
ピエール瀧
公式サイト(日本語)
キライじゃないんだけどなぁ〜。 ★★☆

潜水艦映画にハズレなし

これはよく言われている説です。
Uボート』『レッド・オクトーバーを追え!』『U-571』など
息が詰まりそうになるほどの緊迫感を持った良作が
存在するからだと思います。同感です。
(『K-19』は個人的に納得できませんでしたが…。)
でも、よく考えてみると、日本製の潜水艦映画って
これまで作られたことがあるんでしょうか?
チラっと調べたところ、
潜水艦ろ号未だ浮上せず』(1954)という映画が
あるようなんですが、それ以外は探し当てられなかったので、
ほとんど作られていないということなんでしょうね。

ま、そのキモチはわかるような気がします。
潜水艦という、大掛かりな舞台装置や
深海という、ごまかしの効かない舞台背景や
密室での命がけの状況を
臨場感とリアリティを持たせながら描くには
相当の労力とお金と忍耐力が必要でしょうからね。

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予告編を見て、「ん!なんか面白そうかも」と思うと同時に、
上に挙げた潜水艦映画の傑作たちのことを
思い浮かべながら、今回の『ローレライ』を観に行きました。

舞台は終戦直前の日本。
東京への原爆投下を阻止するための最終兵器として
任務を帯びた潜水艦"伊507"の壮絶な道のりを描いた
戦争スペクタクルヒューマンドラマ、といった感じ。

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ハリウッド映画に対抗するぞ!
という、この映画の持つ意気込みは、買います。
製作費12億円という、ハリウッドとは比べ物にならない予算で
がんばっている雰囲気は、わかりました。
役所広司&フジテレビ常連の俳優を集めて、
CGにも力を入れて、
今が旬の作家に原作を頼んで作ったんだから。

その結果、少し強引な設定なんかもありつつ、
それなりの緊迫感は出てたんじゃないかな。
けっこう手に汗握りましたもん。
日本の戦争史と絡めた展開も興味深かったし。

しか〜し!
興ざめしてしまうところも、けっこうありました。

・途中、"すこしやりすぎなんじゃない?"と思わせられたCG。
・最近、出演作が多すぎて、少々食傷気味な妻夫木くん。
・ミステリアス感が希薄だったパオラのキャラクター。
・佐藤隆太くんの使われ方が、あまりにももったいない。
・ギバちゃんの役柄は、もう少し年配の人のほうが
 良かったんじゃないかという点。
 (ギバちゃん自体はすばらしい熱演でした)
・結局、日本映画は役所広司に頼らざるをえないのか!
 という、悲しい現実。

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この映画の原作小説を読んでいないだけに
(1000ページにも及ぶ大作、文庫本にすると4巻!)
映画だけの印象しか持てないんですが、
それなりに楽しめたと同時に、
まだまだ物足りない面も多々あったということで
ちょっと複雑な心境です。はい。
posted on 2005.03.13
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