図書館の隣の席で新聞繰る 初老の男よ ぼくは苛立つ二十五歳の セールスマンだ 世界はけしからぬかい ぼくはブツブツ言うあなたの口臭がけしからぬ 今日は一件も契約が取れない 図書館の広い窓から五月の 空を眺め 手ごわい現在に耐えている たぶん <世界>などというものはないのだ あるのは あなたとぼくとの 痩せた関係のみ あなたの経てきた関係と ぼくの背負う関係のみ 勝負しようぜ 爺さん